Run to the Another World第54話


まずは確認の為レフナスに謁見をしなければいけない。しかしレフナスは自分達と違って

まだまだ国王としては若手であり、その国王として国を引っ張っていかなければ行けないのだ。

「……なので、俺は国王様は超忙しいと思う」

「それはあるなぁ」

「他の謁見もあるだろうし、それから執務に政務にエトセトラで結構先になりそうな気がする」

「だったら、今からすぐに予約を入れておいた方が良いんじゃあ無いのか?」

「そうだな」

栗山の提案で、部屋の外にいる兵士に謁見の許可を取りたいと申し出る淳であったが……。

「ダメだ。俺達は軟禁状態で、むやみに謁見させる訳には行かないって上の重役とか

貴族の方からきつくお達しって形で言われてんだとよ」

「そんな……」

「じゃあせめて、俺達の軟禁が何時迄続くのかの確認だけして欲しいぜ」

今度は博人がそう提案し、それなら確認して来るとの事で兵士に確認しに行って貰った。


その結果……。

「不法入国、それから異世界人と言う事で上層部も扱いに困っているらしくて

まだ期間について詳しい事はわからないって兵士が」

「マジかよ……だったら、俺等には打つ手は無いって事か」

博人ががっくりと頭を抱える。

「こうなったらもう、最終手段の脱走しか無いだろ」

こんな異世界に突然連れて来られて、訳のわからないミッションを遂行しなければ

元の地球に帰る事が出来ないのだ。生まれ育った地域もバラバラで、ただ偶然が重なり合って

この35人はヘルヴァナールと言う異世界にやって来たのだから。


「とは言う物の……脱走って言うのは簡単だけどやるのはリスク高すぎだよ」

「それはなぁ……」

国を敵に回して迄逃げる価値が果たしてあるのだろうか。

結局2日目の夕方になってもいっこうにその答えは出ず、トレーニング等をして

時間を潰しながらもそうメンバーが悩んでいた時に部屋のドアがコンコンとノックされる。

「はい?」

しかし、その来訪者は意外な人物であった!!

「レフナスです。入っても宜しいですか?」

「へっ、陛下!?」

驚きつつも和人がドアを開けてみると、そこには確かに若き国王の姿が。

その後ろには護衛として見た事の無い男が2人控えている。

「入っても?」

「どっ、どうぞ……」


部屋の中に招き入れられたレフナスは、12人に話したい事があるのだと言う。

「ああ、その前にこちらの2人を皆さんにご紹介しておきます。魔導師部隊隊長のアーロスと、

同じく魔導師部隊の副隊長のセフリスです」

白い髪に黄緑のローブの男がアーロスで、オレンジの髪に茶色のローブの男がセフリスである。

「初めまして、異世界の人達。初対面でこんな事言うのもあれだが異世界人には非常に興味がある。宜しく」

「副隊長のセフリスです。シュア王国を楽しんで行って下さい」


2人の自己紹介が終わって、いよいよレフナスが本題に入る。

「断片的に御話の方は伺いました。釈放の日付を知りたいとの事で?」

「あ、はい」

サエリクスがそう返事すると、レフナスは苦々しげに言い始める。

「正直な所、何分異世界人と言う存在はこの国……いえ、この世界でも初めての事ですから。

色々検査とかをしたいですし、どんな能力を持っているのか非常に興味があります。……ですが、

貴方達はドラゴンを追い求めていると言う話もお伺いしましたので、そちらの件をどうするかで今検討中です」

12人としては、やはりもう1匹の赤いドラゴンの方を優先したいのが本音だ。


しかし、次の瞬間レフナスから信じられない発言が飛び出して来た!!

「……あの、それとは別に皆さんに関係がある事なので、御話しておきたい事がございます」

「な、何ですか?」

凄い神妙な顔付きでそう言うので、思わずどもってしまう由佳。そしてその内容は、12人を

仰天させるには余りにも充分過ぎる程の内容であった!!

「実はこのシュア王国に隣接しているファルス帝国と言う所で、貴方達の知り合いと思われる異世界人が、

帝国の王城において事件に巻き込まれたのです」

「へっ?」

「ええ!?」

「如何言う事?」

「全然言っている事がわからない……」

突然のレフナスの告白に、12人はそれぞれ戸惑いや疑問の色を顔に浮かべてリアクションする。


レフナスはファルス帝国から飛んで来た伝書鳩に結わえられていた手紙の内容を話す。

「……と言う訳でそう言った内容がファルス帝国から伝書鳩で連絡が入りまして。王城が襲撃されたらしいのです。

しかも……その知り合いと思われる異世界の方達が混乱に乗じて逃げ出したと言う事なのです」

「逃げ出したって事は、じゃあ……」

「はい、そのドラゴンが向かったのはアーエリヴァと言うファルス帝国の東に存在する国なのですが、万が一こっちに

来る様な事があった時には合流する可能性は高いと言う事ですね」

まさかのレフナスからの情報に、12人は喜んで良いのか戸惑った方が良いのかがわからなかった。


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