Run to the Another World第49話
『他に何か聞きたい事はあるか?』
「あー、えっとそれじゃあ、他のドラゴンの事について教えて欲しい:」
「それから何時もここに居るのかどうかについても!」
「後は波動を持っている奴を集めてくれば良いのかな?」
栗山と博人と橋本のその質問にもドラゴンは答える。
『ふむ、私は大抵はここに居る。本当は御前達について行きたいが私はこの遺跡を
守らなければいけないからな。それから波動の事に関しては私もわからない。何せ
初めての経験だからだ。他のドラゴンについては5体居る筈だ。灰色、白がファルスに、
青と緑がバーレンに、そしてシュアはこの私と赤い奴だ』
「わかった、ありがとう」
『では、赤い奴に会ったらまたみんなで来てくれ。甲冑はとりあえず預かっておく。頼んだぞ:』
こうして1つのミッションを終えてドラゴンに別れを告げ、13人は駅へと戻って王都に向かう事になった。
……かと思いきや、グレトルからこんな提案が。
「先に山に行くと良いと思う。王都はドラゴンも言っていた通り危険だ」
「あー、それもそうか」
「なら皆、それで良いかな?」
それならばと他のメンバーも納得し、13人は次に王都では無く先に赤いドラゴンの居場所へ向かう事になった。
「登山道は何処の駅で降りるんだ?」
「登山客も結構多いから、その登山道の近くに駅が造られた。だからそこで降りて、5分程歩けば登山口だ:」
「へーそうなんだ」
このソヴェルークの町から登山口迄は、前にグレトルが栗山のグループに言っていた通りあの始まりの町から
4時間位、そこからソヴェルークの町迄1時間なので、4引く1で3時間と言う所である。
そして王都迄はあの町から3引く1で2時間なので、13人はそのまま座席で眠る事になった。
しかし。
「ぬおおおおおお!?」
「は、え、な、何だ!?」
「おはぁっ!!」
「んえ!?」
どれ位時間が経ったのかはわからなかったが、列車の座席で目を開けた12人を待ち構えていた物は、
目の前に突きつけられる無数の剣や槍、斧等の大小様々な武器の先端であった。
「おっおっおっ……御前等、何なんだよ!?」
焦った様子の博人が、目の前に立っている金髪で赤い服を着た男に叫び声で問いかける。
そんな男から帰って来たのは信じられない答えであった。
「俺達はシュア王国騎士団だ。この列車の中に不審人物達が居ると聞いたんだ。大人しく俺達と一緒に来てもらおうか」
有無を言わせない口調で男は目の前の博人を拘束する様に部下らしき騎士団員に命じる。
良く良く外を見れば既に列車は何処かの町に到着しており、更にはグレトルの姿も何処かに消えているのであった。
その上に幾ら12人も居ると言っても、騎士団員は見るからにそれ以上の人数で列車の中、それから外にも
騎士団員が居るので、抵抗した所であっと言う間に制圧されてしまうのは目に見えている。
それならば抵抗せずにこのまま大人しく連行された方が良いと言うのは誰の目にも明らかな物である。
12人はシュアの王都であるコーニエルにて降ろされ、そのまま王城へと連行されて行った。
「それで、この者達が異世界人であると言う事なのですね?」
「はっ!」
玉座に座っているのは、グレトルの言う通りまだまだ若い男の国王である。
話によるとまだ23歳だと言うのだから納得だ。
そして玉座の目の前には、後ろ手は元よりまるでミノムシの様にぐるぐる巻きにされて荒縄で縛られた
12人の異世界人達の姿があった。
あの後連行された12人は厳しい尋問が行われ、調書を事細かく取られた後にこうして国王のレフナスの前に突き出された。
「それでは幾つか質問をさせて頂きましょう。調書を拝見させて頂きましたが、貴方達はこの世界では無く違う世界から
やって来たと言う事ですね?」
玉座の間には国王、騎士団員、宰相だけで無く他にも多数の貴族が12人を見下ろしていた。
グレトルから列車の中で聞いた所によれば、この国は他の国から渡って来た貴族が起こした国であり、それ故に貴族
特有のプライドが高い者が殆んどで、騎士団も全員貴族出身者。なので平民もシュア王国に住む事は出来るが、
規則として騎士団に貴族の人間以外は入団出来ない様になっている。
「そう……です」
戸惑い気味に淳がその質問に答えるが……。
「ハッキリ答えろ!!」
12人を連行してきた部隊のリーダー格であった、あの金髪の男の怒声が響き渡る。
「お、俺達は異世界人です」
何だあいつはと思いつつも、渋々ハッキリと淳は答えた。
「わかりました。では真相はその不思議な声だけが知っていると言う事ですね」
「そうですね。そう言う事になります」
だがこの後、国王の口から思いも寄らない質問が12人にされるのであった!!