Dragoon which came from the different world第4話


令次とハリドはあのビンをひたすらドラゴンの口に投げ入れる事に

集中していたが、大暴れするドラゴンはそんなチャンスを

与えてくれそうに無い。

そしてスマーティもレイジと合流してガーディアンKで、キースは

ハンドガンでは歯が立たないと悟りショットガンとマシンガンで対策をしているが

以外に動きが素早いドラゴンはヒョイヒョイと銃撃をかわす。

「くそ、あたらねぇ!」

イライラしているレイジはリロードをしようとしたが、そこにドラゴンが一気に

接近して来たかと思えば突然尻尾をぶん回して攻撃して来た。


「っ!」

とっさにE・Sモードと呼ばれるハイテク機能を展開するレイジとスマーティ。

これは時間の経過を遅らす事が出来る機能であり、絶体絶命のピンチの時に

非常に役に立つ代物である。

その機能を展開させ、尻尾を重点的に撃ちまくる事で何とか

ドラゴンを怯ませてバーチャコップの2人は危機を逃れる事が出来た。


だが次の瞬間、ドラゴンはとんでもないアクションを起こす。

再接近して来たドラゴンは素早く令次とハリドを前足で捕まえ、大空へと飛び立つ。

「んのぉ!?」

「う、うわわわわっ!!」

その行動にバーチャコップの2人とキースが唖然としている間に、ドラゴンは大空の

彼方へと飛び去ってしまった。

「お、おいレイジ、あいつ等……」

「くそ、ジャネット! あの方向には何がある!?」


インカムでオペレーターのジャネットに問いただすレイジに、絶望的な答えが

ジャネットから返って来た。

「あの方角にはかつて、ジョー・ファングが現われた軍事基地だった廃墟があるわ」

「あそこか……」

スマーティも思わず歯軋りする。その場所は2003年にジョー・ファングが

当時最新鋭の戦車に乗って現われ、その後に地下の秘密基地が発見された事で

強くまだそのイメージが焼きついているあの軍事基地であった。

現在は軍事基地の移転が行われ、もう少しだけ街に近い所に移転されている。


『とにかくあいつをこのまま放置して置く訳にはいかない。VSSEが何でここに

居るのかは知らないが、後は私達に任せて……』

カランザ主任がインカムを通してそう言うが、キースは首を横に振った。

「いや、俺達にも関係があるかもしれない」

『どう言う事だ?』

「あの連れ去られた方の金髪の奴、若干英語にドイツ訛りが入っていた。

VSSEの本拠地はEUだからな。EU連合がVSSEの派遣を決定するのだが、

ヨーロッパに関係があるとなればこちらとしてもあのドラゴンによる被害が懸念される。

だから、俺達VSSEも協力させて貰う」


その発言を聞いたバーチャコップの2人は顔を見合わせてうなずいた。

「……分かった」

「まずはあいつ等の仲間から事情を聞きつつ、軍事基地へ向かうぞ!」

迅速な行動を心がけ、まずは情報収集から始める事に。

先程ロバートが呼び寄せた他のエージェント達とも合流し、ジョルジョに

任せて拘束している東洋人と白人達の元へと8人は行く事に。


そうして合流した東洋人と白人達、そしてVSSEからバーチャコップが

事情を聞いた結果、VSSEはあのドラゴンに全く関係が無い事が分かったのだが

残りの33人は口を揃えて「あのドラゴンとは大いに関係がある35人である」と

言うのであった。

「ドラゴンなんて信じられねぇぜ……」

エヴァンが呆然としたまま呟くが、それにキースが口を挟む。

「しかし俺はこの目で見て、そして戦った」

「俺達もそうだ。あいつを野放しには出来ない」

スマーティもキースに同意する。


『あのドラゴンが街に行ったりする前に止めなければ!

至急、ドラゴンを追ってください!』

そのジャネットからの通信を聞いていたウェズリーが当たり前の事を言い出す。

「……なぁ、軍に要請は出来ないのか?」

しかしジャネットから驚きの答えが返って来る。

『それが……軍に要請をしようとしてもネットワーク障害が発生して繋がらないのよ。

滅多にこんな事なんて起きない筈なのに……』

困惑した様子のジャネットがそう情報を伝え、軍の要請は出来ないと悟る。


「私達だけでどうにかするしかないって事ね」

洋子がそう言い出したのをきっかけに、33人の中にドラゴンに対する怒りがふつふつと徐々に湧き上がる。

「令次とハリドがさらわれたんだし、俺等が何よりも関係があるんだ。向こうで5年間アイリラークに居た俺達がな」

栗山もそう言って立ち上がる。

「ああ、ヘルヴァナール時代から何かとドラゴンには因縁があるからな、俺等は。だから俺等で止めなきゃいけねぇぜ」

「ゼッザオだけじゃなくて、こっちまで来るなんてね。最後までこれだけは私達がやり遂げなきゃ」

陽介と和美も決心して立ち上がった。


だがバーチャコップの2人とVSSEはまだ33人を信じた訳では無い。

「おいちょっと待て、色々知らない単語が出て来たんだが」

「どう言う事かもっともっと詳しく話して貰うぜ」

「俺達を差し置いて御前達だけ行く訳には行くまい?」

「バーチャシティでこれだけの騒ぎを起こされて、俺等もこの街の刑事としては黙ってられないからな」

ジョルジョの言葉を皮切りにアランもロバートもレイジも33人に詰め寄る。


しかし博人がそんな4人の様子に割と冷静に対処。

「後でな。俺達は車で来てるけど、あんた等はパトカーで来てるのか?」

「……あ、ああ」

「だったらその基地まで先導してくれ。俺等は道を知らない」

それに加えてVSSEにはジェイノリーからこんな質問が。

「そっちの皆さんの移動手段は?」

「……いや、それが無いんだ」


そう答えたキースに今度はハールがこう答える。

「だったら僕達の車に同乗しよう。ヨーロッパの4人も車では来てないから、

とりあえず……誰が誰の横に乗るかを駐車場まで行く間に決めよう」

その言葉をきっかけにして、駐車場まで行く途中に決まった結果としては

グレイルのZ32の横にアラン、和美のスープラの横にジョルジョ、弘樹のFC3Sの

横にエヴァン、ディールのセドリックの横にウェズリー、アレイレルのソアラの横に

ロバート、ハールのセルシオの横にキース、洋子のGTOの横にサエリクス、

真由美のスープラの横にジェイノリー、由佳のRX−8の横にバラリー、

栗山のチェイサーの横にアイトエルが乗る事になり、軍事基地まで

バーチャコップの2人の先導でスタートして行った。



29台の日本車がVCPDのカマロの後を数珠繋ぎで追いかけて行く。

カマロの後に続くのは和人のシルエイティ、哲のS12シルビア、恵の

S14シルビアと言った具合にかつてのサーティンデビルズの遅い順から

始まり、サーティンデビルズとゾディアックの間に藤尾のS15、由佳の

RX−8、博人のR33GT−R、淳のPV36スカイラインとなり、

最後尾は孝司のFD3Sになっている。

こうして遅い車が引き離されない様に気を配りながら軍事基地跡へと

向かう一行だが、その途中で何と土砂降りの雨が降り出して来た。


(うわ、雨だよ雨……)

(これってFRとMRはきついだろ……俺はGTOだから良いけどよ)

(カマロ、凄くきつそうだな……)

ハイパワーを持て余しているのであろうか、哲の目から見ても

バーチャコップのカマロは何処となくフラフラしている。

それでもスピンせずに道を走って行くテクニックは流石と言うべきであろう。

その後ろを走っている和人はコーナーで一気に追いついて直線で離される。

(パワーは間違い無く向こうが上か。だけどアメ車は重量があるし

パトランプとか色々つけてそうだし俺等の方が速い!)


そんなこんなで最後まで引き離されずに何とか軍事基地跡に

たどり着いた30台のマシンが、入り口近くにそれぞれぞろぞろと

横1列で並んで停車する。

雨はどうやら通り雨だった様で軍事基地跡にたどり着いた時には

すっかり止んでいた。

「さぁて、これからどうするかだけど」

「とりあえずドラゴンの姿は見当たらない。本当にここに来たのか?」

「ジャネット、ドラゴンは補足できたか?」

インカムでスマーティがジャネットに問いかける。


『途中までは。でも、この軍事基地辺りに来た時から忽然と

痕跡が消えてしまったのよ』

「何だって?」

痕跡が消えたとなればどうにもならないでは無いか。

『この辺りの捜索を頼む。こちらも補足を再開する』

「了解」

どうにかしてドラゴンと令次とハリドを探し出さなければいけない。


「とりあえず手分けして探した方が良いと思う」

永治のその一言でチームが組まれる事に。

「なら俺達は7チームに分かれてるから、その7チームごとで

分かれた方が良いかもしれないな」

と言う訳でSpeed Produceにはレイジとスマーティ、Master'sには

エヴァン、Racing Projectにはキース、Be Legendにロバート、

寄せ集めサーティンデビルズにアラン、Destruction Performersにウェズリー、

そしてEuropean Union Fightersにはジョルジョがつく事になった。


そうしてドラゴンの捜索が開始されたものの、あれだけの図体を

隠しておける部分に限りがある筈なのに全然見つからない。

「あれぇ? ここに居ないんじゃね?」

「んー、そんな確率が高そうだぞ」

「あいつ、スゲー目立つよな」

「空飛んでるって訳でも無さそうだし、もしかして見失ったか?」

「後隠れられそうな場所ってあったっけ?」

「大体奴が身を隠す事が出来そうな部分は探した筈だけどなぁ」


それぞれのチームの中でこんな感じの会話がされる様に、一向に

ドラゴンと遭遇する事が出来ない。

その中で寄せ集めサーティンデビルズとBe LegendとMaster'sが一旦合流。

「どうだ、見つかったか?」

「いいや。そっちもその様子じゃダメか」

「ああ、俺達も全然。令次とハリドって携帯持ってるから連絡がつけば良いんだけど」

「電話してみるか?」

だが、博人の言葉に反応した陽介が携帯をポケットから取り出した次の瞬間!


「ぶぐぉ!」

突然横っ腹に物凄い衝撃を受け、陽介がぶっ飛んだ。

「……は?」

博人は何が起こったのか分からなかったが、良く見てみれば

陽介をぶっ飛ばしたのは音をなるべく立てない様にして急降下し、

そのまま突っ込んで来たドラゴンであった。

「ど、ドラゴンだ!」

一気にざわめきが広がり、無線で他のチームにも連絡が入る。


「は、早く病院に!」

陽介を助け起こす流斗と博人だったが、そこに上空を旋回して来た

ドラゴンが再び突っ込んで来た。

「うおわ!」

「きゃあっ!」

「うおあ!」

再び陽介が撥ね飛ばされ、更に博人も思いっ切り吹っ飛ぶ。

何とか2人は受け身を取ったのだが、病院に行った方が良いのは明白だ。


Speed Produceの一行もバーチャコップの2人と共にドラゴンを

発見するが、何とレイジとスマーティのガーディアンKでもびくともしない。

「くそ、駄目か!」

「何だよあいつは……!!」

そして良く良く見てみると、連れ去られて行った筈の令次とハリドの姿が無い。

「あ、あれ……令次とハリドは?」

「そう言えば居ないな」

あのドラゴンの足に掴まれて連れ去られたと言うのはキースから聞いている。


「とにかく、如何にかしてあいつを倒さなければいけないな!」

エヴァンがそう言いつつショットガンをドラゴンに向けて連射するが、

ドラゴンは自由自在に空を飛び回って余裕でかわす。

そして一通り弾丸の雨をかわすと今度は何と思いっ切り火を吹いて来た。

「んんあぁ!?」

「おわぁ!?」

「うお、あぶな!」

ドラゴンのテンプレート通りとも言うべきだろうか、このドラゴンも火を吹いた。


こうなったらどうやってこのドラゴンに勝つかと言う事を考えなければいけない。

そこでハリドが持っていたあのビンの事をスマーティが思い出した。

「なぁ、あの奇妙な液体が入ったビンはまだ誰か持っていないのか?」

「あ、それなら俺が持ってるぜ」

手を上げたのはスペインからやって来たバラリーであり、ビンの事を知らない

一行の目の前に差し出した。

「あのドラゴンに効くかどうかは分からないけど、このビンの中にある

液体をあのドラゴンに飲ませる事が出来れば、ドラゴンが人間の姿になるんだ!」

「凄い事を言い出すな。で、仮にそうだとしてどうやって飲ませる?」

「そうだな……」


キースの言う通り、まずはドラゴンにあの液体を飲ませなければ全てが始まらない。

ドラゴンがこのまま暴れ回って被害を拡大させない内に何とかしなければ

いけないのでどうすれば良いかバラリーが考えていると、レイジがある事を思い出した。

「そうだ、あいつが満足に動き回る事が出来ない場所に誘い込めば良い!!」

「そんな場所があるのか?」

ジョルジョの問いかけにレイジが首を縦に振る。


「ああ、この先の当時最新鋭戦車を保管していた場所がある。そこは

広場になっているんだが壁もあるからなかなか身動きが取り難い。

そこに誘い込んで何とかしてビンを投げ入れる。登る事が出来る足場もある!」

だったらそこに誘い込もうと言う事になり、まずはチームを再び分けてドラゴンを

上手く誘い込む事に。

しかしこの後、想定外の出来事が一同に襲い掛かる!!


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