Dragoon which came from the different world第3話


6人がそんな事態になっている時、別の場所ではSpeed Produce、

Racing Project、Be Legend、そしてEuropean Union Fightersの

それぞれのリーダーである宝坂令次、市松孝司、坂本淳、ハリド・エンリスの

4人が27階にあるパーティホールの広いテラスに辿り着いていた。

「ここで良いですか?」

「ああ、ここでこれを撒けばドラゴンも現れるだろうよ」

「まぁあいつ等も全員ぶちのめしたし、第2ラウンドスタートだぜ」

「こっちの世界でドラゴンなんてのは、もうこれっきりだ!」


そう叫びつつハリドはビンのフタを開け、思いっ切りテラスの地面に叩き付ける。

そしてビンの中身の液体がテラスの床に広がる。

「後はこれで、そのドラゴンがこっちに来るのを待つだけだ」

「それしか無いぜ。……それと、他の奴等呼んで来てくれないか?」

「あ、じゃあ俺が行くぞ」

「俺も行く」

ハリドの願いに孝司が応じ、淳も一緒に他のメンバーを呼びに行こうと

パーティホールから出ようとしたその瞬間だった。


「ぶぐぉ!?」

「うおあ!?」

突然思いっ切り開かれたドアに孝司が盛大に吹っ飛ばされ、

淳は間一髪で回避。正確には開かれたのでは無く蹴り破られたと

言う方が正しいのだが。

そしてそんな淳と孝司の目の前にはそれぞれガーディアンKと、

VSSEから支給されているハンドガンの銃口が向けられる。


「ここで何をしている?」

「え、いや……日向ぼっこ……」

「夜に太陽は出ていないがな?」

レイジに問い掛けられた淳はきょとんとしつつもそう答えたが、

その横からキースが冷静な口調で突っ込んだ。

「バーチャシティ警察のバーチャコップとVSSEだ。大人しく投降しろ」

「け、警察?」

「VSSE……何の団体だ?」


いきなり身分を明かされて戸惑う淳と孝司を気にも留めず、

レイジとスマーティで淳を、キースとロバートで孝司を拘束する。

「向こうのあいつ等もそうだな」

「スマーティ、後は頼むぞ」

「ああ、分かった」

「後は任せるぜ、キース」

スマーティが淳を、ロバートが孝司を連れてパーティホールから

退散して行く。


その様子は勿論令次とハリドにもバッチリ聞こえていたし見えていた。

「……くっ、ここに来て警察ですか!?」

「やべぇぞ、このままじゃドラゴンを迎撃出来ない!」

舌打ちしつつ、じりじりとこっちに詰め寄って来るレイジとキースを

テラスの窓越しに確認して如何するか悩む2人のリーダー。

テラスの外側は飛び降りられる筈も無いし、かと言って他の場所にも

逃げ道は無い。


しかしその時、何だか空がざわつき始めたのをリーダー2人が感じ取った。

「ん……?」

「お、おいこの感じってもしかして……」

「凄く、嫌な予感がしますね……」

「何をこそこそ喋ってるんだ!」

キースが鋭い声を上げるがそれを2人のリーダーは華麗にスルーして、

空を見上げてざわめきの正体を視界に捉えようとする。


「おい、聞こえないのか! ならば……」

レイジが2人を捕まえようと更に1歩踏み出した時、バサバサと

テラスの死角から大きな影が4人の前に姿を現した。

それは2人のリーダーにとっては嫌に成る程見慣れた生き物である

一方で、バーチャコップとVSSEの2人にとっては空想の世界にしか

現われる事の無かった生き物であった。

「な、何だあれは!?」

「……俺達はあいつを止めに来たんだ。この世界に来てはならない存在をな!!」


キースの叫び声にハリドは落ち着きつつも何かを決意した感じで答え、

ジャケットの内ポケットからもう1つ新しいビンを取り出した。

「これを使えば何とか……」

「おい、来るぞ!!」

レイジの言葉に令次とハリドも素早く反応し、突進攻撃をかわす。

一方のレイジとキースはそのドラゴンに向けて発砲したが、全くドラゴンは

怯む様子が無い。

「う、嘘だろ!?」


しかしこのまま戸惑っていたらドラゴンと壁に挟まれて圧死して

しまうので、素早く令次とハリドに続いてレイジとキースもパーティホールに

逃げ込んで難を逃れる事に成功。

「お、おい! あいつの倒し方分かるのか!?」

キースがハリドに問い掛けるが、ハリドは首を横に振る。

「俺等も正確には良く分からない」

「はぁ? 何だそれ!」

レイジは驚きを隠せない上に呆れた口調で聞き返すが、ハリドには

1つの考えがあった。

「だけど、このビンの中身を使えば何とかあいつを倒せるかもしれない!」



ハリドと令次がドラゴンと対峙しているその時、孝司と淳は

スマーティとキースに拘束されながらビルの中を歩いていた。

しかしその時、スマーティのインカムにレイジから通信が。

『スマーティ! 非常事態だ! もっとローカルポリスの応援を要請しろ!』

「何だ、どうした?」

『ドラゴンが……ドラゴンが現れた!』

「……は?」


レイジは気がおかしくなったのかと事態を呑み込み切れない

スマーティだが、VSSEのキースの悲鳴まで聞こえて来る。

『あ、あんなの歯が立たないぜ! ショットガンもマシンガンもだめだ!』

「お、おい……!?」

何だかとてつもなく嫌な予感がしたスマーティはロバートに孝司と淳の

2人を任せて屋上へと戻って行った。

「すげぇ慌ててたみたいだがどうしたんだろ?」

「ドラゴンがどうのこうのとか言ってたな……」

孝司の問いかけに無線の内容が聞こえたロバートがそう漏らした途端、2人の日本人の顔色が変わった。


「ドラゴンだって!?」

「奴だ……奴が来たのか!」

「ど、どうした?」

「やっぱりカシュラーゼからやって来たってのは嘘じゃ無かったって訳か。だったら俺達に止める責任がある。

あー、えーと、あんたは?」

淳に名前を聞かれたロバートは2人の様子に戸惑いつつも答える。

「ロバートだ」

「そっか。俺は淳。こいつは孝司」

簡単な自己紹介が終わり、淳はロバートに聞きたい事が。

「俺達2人だけじゃ無くて、他に33人居る筈なんだ。上に2人居るのは知ってるけど、他の奴知らないか?」

それを聞いてロバートはああ、とうなずく。

「さっき仲間からインカムで通信があって、御前達の仲間らしき東洋人や白人を拘束しているとな」


すると今度は孝司からこんなリアクションが。

「こ、拘束?」

「ああ、怪しい奴等だったからな。こうして俺がお前達を拘束しているのも同じ理由だが」

「えーっと、その仲間と連絡って取れる?」

「取れない事はないが、何をするつもりだ?」

「その拘束されている奴等に連絡して、ドラゴン退治を手伝って貰うのさ!」

だが孝司がそう意気込んだその瞬間、ロバートが耳につけているインカムからまたキースの悲鳴が響いて来た。


『やばい、歯が立たない! 他のエージェントの応援も頼む!!』

「何だと……? くそ、冗談じゃないらしい」

ロバートは舌打ちをしてから通信を他のエージェント達への一斉通信に切り替える。

「大至急27階のパーティホールのテラスに急げ。ただしそいつ等の

見張りとして1人残して行け。まず俺はすぐにそちらに向かう!」

通信を切ったロバートはひとまず、淳と孝司を他のメンバーの所へ送り届ける事にしたのであった。


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