Dragoon which came from the different world第1話


夜になり、レイジとスマーティは今日もまた小さな

事件を片付けて郊外からカマロのパトカーで署に戻る。

「ふー、今日の犯人はちっとばかし厄介だったぜ」

「ああ。結構長い時間立てこもってたからな」

最後はその犯人を強行突入の挙句に制圧して逮捕に漕ぎ着けた訳だったが、流石に

長い時間膠着状態が続いていた事もあってか百戦錬磨のバーチャコップの2人も疲労が残っている。

しかしその疲労を一気にぶっ飛ばす位の光景が、この後2人の目の前に現れるのであった。


「……ん?」

「な、何だあれは?」

夜の空をバッサバッサと大きな鳥が飛んで行く。

いや、鳥と言うには余りにもでか過ぎるそのシルエット。

「お、おいまさかあれって……」

「やめろよレイジ……縁起でも無いぜ」

でもやっぱり気になるものは気になる。その奇妙なシルエットが飛んで行く方向は以前、

VSSEと一緒に事件を解決した事のある郊外の大きなビルがある方角であった。



そしてそのバーチャコップに協力した経験のあるVSSEの6人は

再びそのバーチャコップと一緒に事件を解決したあのビルへとやって来ていた。

「このビルは良い思い出が無いな」

「ああ、だけどこのビルは老朽化が進んで取り壊しが決定。

今は立ち入り禁止になってる。だから犯罪をするにはうってつけなんだろうな」

若干うんざりしながら呟くロバートにキースが慰める様な口調で

そう情報を提供し、入り口のドアを開けて武器を構えつつ中に入る。


しかし、その瞬間ウェズリーが違和感を覚えた。

「……何か、上の方が騒がしく無いか?」

そう彼が口にした次の瞬間、上の方から何と人間が降って来た。

「うおお!?」

思わずエヴァンがそんな声を上げてしまったが、調べない訳には行かない。

落ちて来た人間はそんなに高くは無い所から落ちたのか、意識はある様だ。


しかしよくよく見てみれば、ここに追い込んだ犯罪組織の一員では無いか。

「こ、こいつは……」

「間違い無いな。こいつは昨日の……」

ロバートの言葉にキースが続ける形でその落ちて来た人間の正体を

見破ったが、だとしたら何処からか落とされたかあるいは自分で

落ちてしまったかのどちらかと言う事になる。



その男を落としたのは寄せ集めサーティンデビルズの小野田博人だった。

「な、何でドラゴンじゃなくて銃を持った奴等に襲われるんだよ!?」

「俺に聞くな! いきなり撃って来たんだぜ!」

まさかの事態にSpeed Produceの稲本明も困惑している。

しかしまたもや今しがた蹴り落とした男の仲間と思わしき奴等に

銃撃され始めた。

ひとまず固まっていたらまずいと言う事でメンバー全員が

バラバラになり、まずはこの窮地を何とかして脱出する事に専念し始めた。


バラバラと言っても1人ずつバラバラになるのでは無く、2、3人で固まって

向かってくる謎の敵を倒して行く。

本当にそのヘルヴァナールからやって来たドラゴンが居るのかどうかと

言うのも未だに半信半疑なのだが、はるばる35人がこのバーチャシティに

来てしまった以上はまず今の現状をどうにか打破してからでないと

話が全く持って進まない。


だから今自分達は戦っている。あの忌まわしきヘルヴァナールでの

逃走劇、そして戦ったあの日々。それがまさか地球に迄及んで

来る事になろうとは。でも、まだこっちの人間達にはドラゴンの存在が

余り認知されていないらしい。事実、動画サイト等に出回っている動画も

見てみたがピンボケしていたり遠目だったりで特撮だとも思われている。

だが、実際にドラゴンが世の中に出てしまえば大きな被害が

出る事は免れない。だからまずはこのビルに誘い込む為にここにやって来た。

ちなみに日本からやって来た30人は車を事前に船で運んで貰い、

移動手段として来たのである。事は一刻を争うのだ。


どうしてここに誘い込む事が出来ると言う事が前提なのかと言うと、

あのイークヴェスの声には続きがあった。

35人の内何人かが、あのドラゴンが人間の身体になる事が出来る

薬の入っているビンをこっちに持って来て思い出として取っておいたのだが、

その薬には龍族しか反応出来ない臭いが混じっている為に、それを撒けば

ドラゴンが寄って来るのではないかと言う事であった。

バーチャシティに持ち込むのはテロ対策等もあり大変だったが、それでも

何とか持ち込む事に成功し、後は何処か広い場所でビンの中身を撒くだけだ。


そこでこのビルの近くに誘い込む事にしたのであったが、ビルの中で

作戦会議をしようと思っていた矢先に何と今度はいきなり、銃を持った

大勢の人間にビルの中で絡まれてしまう。

警察に電話しようとしたがその前に携帯電話を取り上げられて

しまった為に、まずはこの銃を持っている人間達と戦うしか無いと思い

現在に至るのである。


(まさか取り壊しが決まっているビルでこんな事になるなんて!)

舌打ちしながらもMaster'sのアレイレル・エスイトクスはエスクリマ中心の

格闘戦を駆使して撃たれる前に潰して行く。

更にRacing Projectのグレイル・カルスはマシンガンを奪い取って

向かって来る敵を射殺して行く。

(何で俺等、こんな特殊部隊みたいな事してるんだっけ!?)

全てはあのイークヴェスの声が原因だ、と恨み節を心の中で吐き捨て、

さっさとこのバトルを終わらせる為に目の前の敵を倒す事に専念するのであった。



バーチャコップの2人はジャネットのオペレートの下、

そのビルへと辿り着いて上へと進む。

『かなりの被害が出ているみたいです、まだ上の階にも

生体反応が多数。用心して!』

「「了解!」」

レイジとスマーティは同時に返事をして、ガーディアンKを

構えながら大勢の死体が転がるビルの中を進んで行く。


しかし、それ等の死体の中には銃で撃たれた物もあるのだが

他に首をへし折られた物やナイフで喉を切り裂かれている物、

更には心臓をナイフで滅多刺しにされていたり背骨を折られて

死んでいる物もある。

「ハリケーンでも通ったのか……?」

「いずれにせよ、並大抵の奴がやった訳では無さそうだ」

唖然としながら呟くレイジにスマーティは冷静に分析する。


一方のVSSEチームはそれぞれのコンビで手分けして

進んでいたのだが、ジョルジョとエヴァンが思いも寄らない

人物と再会する事になった。

それは通路の曲がり角で鉢合わせした男だったのだが……。

「……うおっと!?」

「おい、何者だ……って、え……?」

「あ、あれ……? え、も、もしかして……ジョルジョ?」


ジョルジョが出会った人物、それは顔見知りで、以前に別の任務で

事件に巻き込まれてしまったRacing Projectの橋本信宏だった。

「な、何故あんたが?」

「今はそれ所じゃない。俺達はちょっとばかし大きな陰謀に

巻き込まれててな。それにしてもこいつ等は何なんだ?」

「こいつ等生物兵器を使ったテロリストだ。俺達がここに追い込んだ」

「また生物兵器テロかよ……って、悪い、敵が来た!!」

会話は一旦中断されてしまった。


その頃別のフロアの通路においては、Destruction Performersの

宮川 哲がキースとロバートにハンドガンを向けられている。

「よーしそこ迄だ、大人しく良い子ちゃんにしろよ?」

「お、おいおいちょっとストップ。俺、正当防衛だぜ」

ハンドガンを向けつつ先に歩み寄って来るロバートに、

哲は苦笑いを浮かべながらもホールドアップ。


だがその2人の後ろからこっそりやって来ていた、同じく

Destruction Performersの白井永治がキースを目にも

留まらぬ早業で背後から組み付いて背負い投げ。

「うおあ!?」

キースの悲鳴にロバートの気がそれた所で、哲はダッシュで

間逆の方向へ駆け出したつもりだったが……。

「おーっと、動くなよ?」

目の前にはまたハンドガンが突きつけられる。それはウェズリーと

一旦別ルートを取って行動していたが、こっちの方が騒がしい事に

気がついてやって来たアランの物であった。


哲と永治が修羅場になっている頃、Be Legendの椎名連とハクロ・ディールは

そのアランと別行動を取っていたウェズリー相手に連係プレイをかます。

狭い通路を最大限に活用して挟み込む様にウェズリーとの位置を調整し、

なるべく自分達が有利になる様にしているのだった。

「ぐのう!」

連に意識が向いているウェズリーを後ろからディールが羽交い絞めにし、

そこに連がドロップキックをかましてディールごと倒すと言った様に

ウェズリーは段々追い込まれて行くのであった。


そしてまた別の場所においてはEuropean Union Fightersの

アイトエル・ガエリセンとSpeed Produceの沢田弘樹の凸凹コンビが

バーチャコップの2人と向かい合っていた。

「この惨状をじっくり署で説明して貰おうか?」

「悪いけど後にしてくれないか。俺達はまだここでやるべき事があるんでね」

アイトエルが問い掛けて来たスマーティにそう言うが、見逃してくれそうも無い。

「それは無理だ。俺達から逃げようったって、そうはいかねぇ!」

レイジがそう言いながらじりじりと距離を縮めて来るのを見て、弘樹が咄嗟に

2人の後ろに向かって手を振る。


「あ、おい、御前等!」

「?」

そのリアクションにレイジとスマーティの気がそれたのを見て、弘樹と

アイトエルはダッシュで2人と反対方向に向かって駆け出したが、そんな

彼等2人にガーディアンKのスタン弾が撃ち込まれた。

「ぐお!?」

「うああああっ!?」

スタン弾はその名前の通り痺れ効果のある銃弾だが、スマーティが

つけているゴーグルのセンサーの反応で対人には痺れ効果、対物では逆に

パワーを高めた銃弾が撃ち出される様になっているハイテクだ。

弘樹もアイトエルも痺れて立ち上がる事が出来ず、レイジとスマーティに

それぞれ拘束される破目になってしまった。


レイジとスマーティは応援を要請すると共に、他にも仲間が居ると踏んで

上へと向かうと今度は寄せ集めサーティンデビルズの大塚誠と

European Union Fightersのジェイノリー・セイジールと

サエリクス・サウントゥルの3人と出会う。

「御前達も重要参考人として署迄来て貰うぞ」

「えっ? それは良いけど……頼む、後にしてくれないか」

「同じ様なセリフをさっきも聞いた。さぁ、観念するんだな」


それを聞いて大塚が思いっ切りレイジとスマーティに飛び掛かって

行ったが、2人は冷静にガーディアンで撃退。

だがその隙にサエリクスとジェイノリーが逃げ出してしまう。

「あ、くそっ!」

「追うぞレイジ!」

勿論このまま逃がす訳には行かないので、レイジとスマーティは

大塚を拘束してからその2人を追って駆け出して行った。


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