寄せ集めサーティンデビルズの冤罪編 第4話
「そうなると、俺のあのソアラの何処かにそのGPSが知らない内に取り付けられていたって事になるのかな?」
「話を聞いているとそうらしいわね。ちなみにそのGPSってソアラのどこについていたんですか?」
「車の下だな、シャシー部分だ」
レイジの報告で大塚が考えてみる。
「ソアラの下かぁ。潜ればどうって事は無いけどな。……でも、そんな人が
潜れる位車高があったっけ? 結構ローダウンはしてたよな?」
「今は地上7センチ位だったな」
「あ、じゃあ普通に潜るのは無理だ」
「GPSを気づかれずに取り付けられそうな場所に心当たりは無いかしら?」
ジャネットが再び3人に問う。
「そうだなぁ……唯一車から目を離したのはパンクを修理したタイヤ屋かな。
でもパンクを修理しただけだしあんまり時間が……あっ!?」
兼山が何かを思い出して声を上げた。
「どうした?」
レイジが訝しげに問いかけると、兼山は後出しの事実を話し始めた。
「そのタイヤ屋で……オイルの無料交換サービスをやっているって言われたから
ついでに交換して貰う事にしたんだよ。もしかしたら、その時に……」
だんだん疑惑の念が3人の中に浮かび上がって来る。
「し、しかもあの時……店長っぽい人に聞かれたろ。今夜のドリフトイベントを
見に行くのか? ってさ……」
「そうね。それに答えたら、行く途中のモーテルの食事のサービス券をやるから
良かったら飯でも食べて行きなよ、とも言われたわね!!」
「何か、凄く繋がって来た気がする」
事実を色々と思い出して日本人トリオは更に眉間にしわを寄せる。
それを横で聞いていたバーチャコップのメンバーは当然気になる。
「もう少し俺達にも分かる様に、また説明してくれないか?」
「そうだな、重要な手がかりを思い出してくれた様だしな」
「一気に事件の捜査が進展するわね」
「思い出した事があれば私達にも全て報告してくれ」
と言う訳で、タイヤ屋でオイルの交換サービスを受けた事、その間はソアラから
目を離していた事、タイヤとオイルの交換の為にはジャッキアップをしなければいけない事、
ジャッキアップをしてタイヤとオイルを交換する時についでにGPSも取り付けたのでは
無いのかと予想した事を告げる日本人トリオ。
更に大塚はこんな事まで言い出した。
「これ……俺の勝手な予測なんだけどさ、モーテルの食事券をくれるなんて普通は
ありえない事だと思う。だからもしかしたらそのタイヤショップとモーテルの関係を洗ってみれば
何か分かりそうな気がする。素人の考えだけどよ」
「ああ、それからタイヤとオイル交換した時に移動の為にソアラのキーも渡したから、トランクを開けて
アタッシュケースを入れるって言う事も出来なくは無さそうかも知れない」
兼山も自分の考えをバーチャコップ達に伝えてみた。
「分かった。ならばそのタイヤショップと君等3人が行ったと言う郊外のモーテルの背後関係を
徹底的に洗うんだ。すぐに捜査を始めてくれ」
「「「了解!」」」
カランザ主任にバーチャコップの3人は完璧に揃った返事を返し、事件は大詰めを迎えようとしていた。
それと同時に、今度は兼山がこんな提案を。
「それと俺からも提案があるんだけど……」
「何だ?」
その兼山の提案は全うではあるが、一種の賭けでもある物であったので綿密に
バーチャコップ達と日本人トリオで作戦を練った。
そしてそのタイヤショップとモーテルにはパトカー2台でそれぞれ分担して向かう事に。
洋子とジャネットでタイヤショップへ向かい、兼山と大塚とレイジとスマーティでモーテルへ向かう。
ちなみにジャネットはもう1台のバーチャコップ専用パトカーである、コルベットZ06の
チューンド白黒カラーリングのパトカーに自分の運転で洋子を助手席に乗せて向かう。
「コルベットのパトカーなんて初めて見たわ。でもカラーリングがあのカマロのと違うわね」
「こっちは予備として使っている物ね。カランザ主任が所有の手配をしてくれたわ。
この色は昔の時の色をそのまま引き継いで、他のパトカーと見分けがつく様にしたのよ。
他にも色々改造されているけど、乗るのは私も今が初めてなの。さぁ、行きましょう」
「分かったわ」
パトカーなのにGTウィングがついているのはこの際何も聞かないでおこう、と考える洋子であった。
タイヤショップへと辿り着いた2人は、営業時間ギリギリで店の中へと滑り込んだ。
そこの店長の顔を知っているのは洋子だけなので、事前にコルベットの中でも2人で
ある作戦を立ててそれを計画的に実行する手筈だ。
「こんばんわー、まだやってますか?」
「ああ、もう今日は店じまいだ……って、あんたは昼間の日本人?」
「ええそうよ。ちょっと気になる事があってね。この人と一緒に来たの」
「なっ……」
タイヤショップの店長は洋子の隣に立っているアーマー姿のジャネットを見て若干目を見開いた。
「こんばんは。バーチャコップのジャネット・マーシャルよ。あなたにちょっと聞きたい事が
あってね。今日の昼にタイヤを交換したソアラって言う車から、大量の麻薬が入った
アタッシュケースが大量に発見されたの。それでそこから、あなたの指紋が大量に出て来たわ」
ジャネットが店長に喋らせる隙を与えずにそう言い切ると、何だか店長がガタガタと震えだした。
「ば、馬鹿な……確かに指紋は全て拭き取って載せた筈……あっ……」
(あれ、凄く簡単に引っかかった……全部嘘なのに)
洋子は心の中でそう思う。実際の所指紋は出て来なかったのだが、嘘も方便と言う事で
カマをかけたらあっさり引っ掛かってくれた様だ。コルベットの中で立てた作戦がそれであった。
「こうなったら御前達を始末してやる! やっちまいなー!!」
しかしそれだけで事件が解決する訳では無かったらしい……。
洋子とジャネットは向かって来るタイヤショップの一同に向かって、それぞれ拳とガーディアンKを構えた。