寄せ集めサーティンデビルズの冤罪編 第5話(最終話)


洋子とジャネットがタイヤショップで大変な事になっている丁度その頃、

もう1つのグループである兼山、大塚、レイジ、スマーティの4人は

モーテルへと辿り着いた。あの倒れて来た木は撤去作業が迅速に行われ、

道路が半分通れる様になっていた。

「御前達はここで待っていろ、俺達が話をつけて来る」

「ああ、分かったよ」

レイジにカマロの中で待っている様に言われ、兼山と大塚は2人で待つ事に。


そしてカマロの中で待っていると、おそらく麻薬の冤罪事件の黒幕が中に

居る事が分かったのであろう。銃撃戦の音が響いて来た。

「始まったか……」

「頼む、流れ弾とかこっちに来ないでくれよ〜!」

自分達が巻き添えになるのだけは勘弁であると言う事で、バーチャコップの2人は

そうそう負ける事が無いと言う期待で2人は事件の解決を待つ。

しかしこの後、自分達が事件のクライマックスを飾ると言う事になろうとは

兼山も大塚も思っても見なかったのであった!


銃撃戦が収まったかと思って様子を見ていた兼山と大塚だったが、その直後1台の車が

勢い良くカマロの横を通り過ぎて行った!!

「うおう!?」

「あ、今のプジョーに乗ってたのって……このモーテルの受付してたオヤジじゃねぇの!?」

「は? って事は……」

今、物凄いスピードで走り去ったラリー仕様のプジョー206がもしかしたら黒幕なのかもしれない。

しかしバーチャコップ達はすぐに出て来ようとしない様だ。まだモーテルの中で戦っているらしい。

「なぁ、兼山……」

「ああ、俺も同じ事を考えていた。捕まる時は一緒だぜ!!」

「おう!」


と言う訳でキーが挿しっぱなしだったカマロのエンジンをスタートさせ、さっきのプジョー206を追いかける。

プジョーがカマロの横を通り過ぎ、2人がカマロをスタートさせて約25秒。

圧倒的なアドバンテージだが、絶対に逃がす訳には行かないみたいだ。

ここを走るのは2回目だが、あのプジョーのテクニックがどれ位かは分からないので追いつけないかもしれない。

更に自分達が初めて乗る車なのでどんな挙動を出すのか想像がつかないパワーのあるカマロを

振り回すのは大変そうだ。

なので大塚は、後ろからあの時ソアラを追って来ていたカマロの挙動を必死で思い出す。

「このカマロ、コーナーは辛そうだけどかなりパワーはあるみたいだ。だからストレートスピードを稼いでくれ!」

「分かった!」


奥がきつくなっている急勾配のコーナーが多いワインディングなので、目一杯突っ込みたい気持ちを我慢して

立ち上がり重視のコーナリングで見えない相手を必死で追いかけて行く。

「考えてみれば、同じFRで重たいソアラを振り回しているから基本的にドラテクは変わらなさそう

だけど、そこの所はどうだ?」

全開ダウンヒルをする兼山に大塚はそう問うが、兼山の口からは苦い言葉が。

「足回りが柔らかい。エンジンのパワーはあるけど、足のセッティングがされていない。アメリカらしい発想と

言えばらしいけどな。何でもパワーで解決出来る訳じゃないんだが。更にノーマルシートだから

ホールドが悪いぜ!! 腰と足も痛い!! そして左ハンドルだから運転しにくい!」


そう、このカマロはパトカーとして使う以上完璧なチューニングマシンでは無いので、捜査に必要な

色々な機材や道具、更にパトランプも載せているので凄い重い。

コーナーでは足回りの柔らかさでロールするし、エンジンパワーがあるのでパワースライドも起き易い。

そこを何とかソアラ、そして一時期使っていた80スープラやR34GT−Rで培ったテクニックでカマロを

ねじ伏せてこの難しいダウンヒルを駆け下る兼山信也!

左ハンドルなのもハンデだが、そこをストレートスピードを稼げる様なドライビングをして行く!


そしてスタートしてからおよそ2分、ついに……!!

「い、居た!!」

「あれだ、あのプジョーだ!!」

さっき自分達の横を駆け抜けて行ったプジョー206の姿を捉える事に成功。

しかしプジョーもカマロの存在に気がついたのかスピードを上げる!!

「よーし、絶対に逃がすなよ!!」

プジョーのコーナリングは丁寧なグリップ走行であるが、後ろから数コーナー見ていても

確かに突っ込みでは若干離されるもののストレートでは圧倒的にカマロが速い。プジョーの

ドライバーはそんなに大した腕では無い様である。


心の中でそう確信した兼山と大塚は、後ろからカマロで思いっきりプレッシャーをかける。

そうするとだんだんプジョーの挙動が乱れ始め、コーナー出口で膨らんだり壁にヒットしたりして

とっちらかり始めた。カマロに張り付かれているのが相当なプレッシャーになっている様だ。

「あーあ、走りのリズムもラインも、もうめちゃくちゃだぜ」

「動きがかなりやばいな。何処かで自滅しそうだ!!」

そして奥がきつくなっている左複合コーナーに突入した時、明らかにオーバースピードでプジョーが

アンダーステアを出してアウトに膨らんで行く!


「あっ、駄目だ……やっちゃった」

そう大塚が呟いた直後、思いっ切りプジョーはそのまま止まり切れずに外側の壁にヒット。

そのまま逆方向にスピンして来たプジョーをギリギリでかわして、兼山と大塚もカマロから降りる。

そして中に居たモーテルのオーナーをぶん殴って気絶させ、着ていたジャケットで縛り上げて

大塚がそのオーナーをカマロの助手席に乗せてカマロをバーチャコップの2人に返しに行って

このカーチェイスは幕を閉じた。

(しっかし、良くこんなカーチェイスでここまで出来たぜ、俺も)

フロントがベッコリへこんだプジョーにもたれかかりながら、兼山は満天の星空を見上げた。



その後、洋子とジャネットの方も完膚なきまでに麻薬組織の残党である

タイヤショップの従業員と店長を叩きのめして逮捕して事件は終わった。

当然勝手な真似をした兼山と大塚はこっぴどくレイジとスマーティから怒られたが、

犯人を取り逃がす事にならなくて良かったと言う事で不問と言う結果にもなった。

その翌日にはソアラの修理も終了し、日本人トリオの3人は日本へと帰る事に。

「色々世話になったな」

「こっちこそ。犯人逮捕に協力してくれた事に礼を言う」


わざわざ第2分署の前まで見送りに来てくれた特捜課の4人に日本人トリオは握手を

交わし、このバーチャシティから帰る準備が出来た。

「願わくば、もう2度とこんな事件に巻き込まれたくないもんだよ」

「本当だな」

「それじゃあ、色々お世話になりました!」

それだけを言い残して、まずは兼山のソアラを日本へと運ぶ為に日本人トリオは

バーチャシティの港へと向かうのであった。


寄せ集めサーティンデビルズの冤罪編 

挿入歌:The Race Of The Night/Dave Rodgers


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