Training along with the dragon第6話


「もしもし、俺だ。……そうか、分かった」

バーチャコップの2人がこの港に向かって来ているとの情報をキャッチした

生物兵器の開発者は、自分が開発している生物兵器を見ながら

パソコンでカタカタとプログラムを打ち込む。

(まぁ良い。もうこいつは出来上がる。出来上がったらこのバーチャシティから

まずは手中に収める。俺の計画の第1歩だ)

その為には何としてでもバーチャコップ達が来る前に……と、開発者は

プログラムの最終段階をキーボードで打ち込むのであった。


そんな作業が続けられている港にバーチャコップを始めとしたバーチャシティポリスの

一行がやって来た。勿論ジャネットが言っていた怪しい人物の捜索の為である。

「くまなく調べるぞ。何処に何が居るか分からん。用心しろ!!」

スマーティの指示が飛び、バーチャシティポリスの一斉捜索が幕を開ける。

怪しい所はそれこそアリ1匹も見逃さない。港の全ての施設を隅から隅まで調べ尽くす

勢いでバーチャシティポリスが港中に散開して行く。

バーチャコップの2人もまた同じ様に怪しい人物を見つけるべく捜索に加わる。


しかし、どうやらここにも敵の手は及んでいた様だ。銃弾が飛んで来たのを察知した

レイジが戦闘態勢に入る。スマーティも、それから他のローカルポリス達も気がついた様で

一気に港はバトルフィールドと化した。

やはり、ここに生物兵器があると見て間違いは無さそうだ。

でなければ、この港でこんな大規模な銃撃戦になる事は日常ではあり得ないからだ。

「右だ!」

「おう!」

スマーティの冷静な判断と、レイジの驚異的な瞬発力で港が着実に少しずつ

バーチャシティポリスに制圧されて行く。


だが、肝心の生物兵器は一体何処にあるのだろうかと言うその心がバーチャコップ達を

焦りたてる。「もうおせーよ」と言っていたあの赤いTシャツの男のその言葉通りだとすれば、

生物兵器の完成はすぐそこまで迫っていると言う事になるのでは無いか?

(何処だ、何処にいる!?)

(闇雲に探しても意味は無い。何処かに……この港の何処かに居る筈なんだ!!)

スマーティもレイジも焦りと戦いながら、生物兵器の居場所を探る事にする。

この広い港で、バックアップのローカルポリスも頑張って探してくれているのは分かるのだが

それでも焦りは拭えない。


しかしそんな時、スマーティの耳が変な音? をキャッチ。

「……ん?」

立ち止まって耳をすませるスマーティに気がついたレイジが振り返って声をかける。

「どうした、すま……」

「しっ! ……何か聞こえる」

「え?」

2人はまだローカルポリス達が見回っていない、そして銃撃戦も行われていない区画を探していたのだが

それが逆に良かったらしい。

スマーティの先導に従ってレイジも彼の後ろについて行くと、2人の目の前に地下へと続く謎の階段が

姿を現わした。倉庫の陰に丁度隠れて見えない位置に建設されている。

「ここからだ。呻き声みたいなのが聞こえないか?」

「ああ、確かに聞こえるな。それじゃあ行ってみるか!!」

『気をつけて。何があるか分からないわ』


ジャネットの心配を後押しに、2人はその階段を下りて進んで行く。

ローカルポリス達のバックアップは港で戦いを繰り広げている為に期待出来ないので、2人だけで

進むしか無さそうであった。

「意外としっかりした造りなんだな」

そうレイジが呟きながらフラットな地下2階位の通路を奥へと進んで行くと、最深部の部屋の中に

1つの人影が見えた。

「……!」

「誰か居るぞ!」


腰まで届く程の長い黒髪を持っている……肩幅からして恐らく男が2人に背中を向けてパソコンの

キーボードを打っている。更にその後ろには鎖で手足を繋がれた、青い身体の大きなドラゴンが!!

一体何をしているんだ? と考えつつ警戒しながら男へと近付いて行くバーチャコップの2人だが、

次の瞬間男は何と椅子ごと後ろに背中から倒れつつ、白い皮手袋をはめたその右手に握った

H&KのHK45を上下逆さまの状態から2人に向けて撃って来る。

「っ!!」

御世辞にも上手いとは言いがたい射撃だったが、それでもバーチャコップ2人の動揺を誘うには

十分だった様でレイジとスマーティは横っ飛びでその銃弾を回避。


その間に何ともアクロバティックな動きで男は立ち上がる。見た所ブレイクダンサーの様な動きだ。

「バーチャコップか」

「そうだ。御前の後ろにあるのが生物兵器だな。ドラゴンとはまた悪趣味な」

吐き捨てる様にレイジが言うが、黒髪の男は冷静な態度を崩さない。

「もうこいつは完成だ」

軍服に似た感じのいかめしい黒いスーツを着込んだ男は何時の間にか、こちらも白い皮手袋を

はめている左手に持っているスマートフォンの画面をその手袋越しの親指でタッチ。

すると次の瞬間、後ろの生物兵器が激しく暴れ出した。

「っ!?」

「な、何をした!!」


男は冷静な上に寡黙な性格の様で殆ど喋らないが、それでも次のセリフはバーチャコップの2人を

戦慄させるのには十分過ぎる破壊力だった。

「起動完了。兵器開発阻止は失敗だ」

「させるかっ!!」

レイジが男に向かって銃弾を放つが、更に生物兵器が暴れ出して地下が少し揺れる。

「うお!?」

その揺れにバーチャコップ達が動揺した所で、今の銃弾を転がって回避した男は

これもまた地下に運び込まれていたスズキ製の大型バイクのGSX−R1000を起動させる。


そうしてGSX−Rにまたがって縦横無尽に地下の部屋を駆け回りながらバーチャコップ目掛けて

銃弾を放って来る。命中率はそれほど高くない様だが、生物兵器で揺れる地下の状況を物とも

しないライディングテクニックは凄い。

しかも銃を撃って来るだけでは無く、バイクでそのまま2人を轢き殺そうとして来るのだから厄介だ。

「くっ!!」

闇雲に動き回っていたら向こうの思う壺だとスマーティが悟り、ここは集中してワンチャンスに賭ける。

(狙うのはあいつじゃない!!)


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