Training along with the dragon第3話


そして辿り着いた所は約束通りに訓練のスタート地点になる、バーチャシティの郊外に

建設されたスタジアムの前だった。すでに現場には大勢のパトカーや警官達が集まっており、

騒々しい雰囲気が遠目でも分かる程であった。

そんな雰囲気のスタジアムにバーチャコップ2人の先導で辿り着いた3人と1匹はインプレッサを

GT−Rパトカーの隣に停めてキーを警察関係者に預ける。

訓練開始時刻までは少しあったので、3人と1匹はストレッチをして身体をほぐしたり、

紙に纏めたストーリーに不備が無いかバーチャシティポリス上層部の人間と最終チェックを済ませて

いよいよ訓練開始の時間を迎える事になるのであった。


「いよいよ始まるみたいだ」

「それじゃ俺と令次は別の場所へ移動だな」

『僕も忘れないでよね』

「大塚さん、ここはお願いします」

3人と1匹は訓練開始の挨拶を聞き、今回は最終的に倒されるであろう

役目をする為にそれぞれの持ち場へと移動する事になった。

とは言うもののこのスタジアムに残るのは大塚のみであり、残りの2人と1匹は

また違う場所へとそれぞれ別れて移動する様にとの指示があったのである。


そもそも今回の訓練その物が、訓練用にこのスタジアムを始めとして街の至る所や

建物を借りて、そこで訓練を行う。勿論一般市民は立ち入り禁止なので邪魔は入らない。

なので気兼ね無く行う事が出来る大規模な訓練だ。

まずは警察チームと敵チームに警察で分かれ、敵チームは訓練場所の到る所に様々な

シチュエーションを想定しての敵としての戦略を練る。そこに大まかなあらすじとして

日本の3人と1匹が考えたあのストーリーが入って来ると言う訳だ。

そのメインストーリーは何とあのままでOKと言う事で採用され、大塚はステージ1のボスとして

スタジアムに乗り込んで来た警察官を迎え撃つ敵のボスとしての役目をする事になった。


(俺、大丈夫かな?)

生真面目な性格の大塚は心配性になりがちなのだが、バーチャシティポリスが全面協力して

バックアップしてくれるので信頼する事に。

大塚は身軽なので、リーダーの役目を果たすべく逃げ足だけはしっかりしないとな、と自分に

気合を入れる。

(考えても仕方無い。もうこうなったら全力で敵になりきってやるさ)

何かが吹っ切れた大塚の耳に、訓練開始の花火が打ち上げられる音が聞こえて来た。


『訓練だからと言って手は抜かないでね』

「ああ、そっちもサポートを頼むぞ」

『それじゃあ、訓練スタートよ』

「了解」

オペレーターのジャネットの声がインカムから響き渡り、レイジとスマーティはまず陽動作戦の為に

側面の入り口へと回り込んで行く。今までのミッションでも良くあった作戦なので、

まずは自分達が敵を陽動してかく乱させる事が重要だ。


だがそっちにも敵が配備されているので、レイジとスマーティは実弾……では無く訓練用の

特殊模擬弾を、武装して出て来た敵として扮装している警察官達に撃ち込んで行く。

側面を守っている敵達を倒してクリアになったと確信した2人は、まず側面の扉をスマーティが

蹴り開けて突入。そうしてスタジアムのロビーにワラワラと集まって来た敵達を確実に撃破して行く

バーチャコップの2人はそのままスタジアムの中を制圧して行く。

『スタジアムのフィールドに続いている扉は厳重に電子ロックされています。迂回して進むしか

ありません。左斜め前に見えるドアから一旦外に出て、非常階段を使って3階から突入しましょう』

「了解」


「あそこだな」

スマーティが返事をしている横で、レイジは目指すべきドアを見つめる。

そしてそのドアを開けると非常階段が出て来たが、ここにも敵の手は回っている事は

2人にも予想済みだったので階段の上から現れる敵を倒しながら少しずつ進む。

「クリア!」

レイジが指で階段の上を差し、そのまま階段の上へと進んで3階へと進入。


だが次の瞬間、インカムにジャネットの叫び声が聞こえて来た。

『……あ、待って!! その先は大勢の生体反応があるわ。注意して!』

その言葉通り、ドアを開けた先の通路には確かに大勢の適役の警察官達が、

まるでピラミッドの様なフォームで人間バリケードになりながら一斉射撃をして来た。

それを見たレイジとスマーティは強行突破は無理だと判断。互いに頷き合い、懐から

レイジがフラッシュパン(閃光弾)を取り出して人間バリケードに向かって投げ込んだ。

その閃光弾の音と光によって敵が慌てふためく所で、スマーティが人間バリケードを崩して

先に進む事に成功するのであった。


先に進んだバーチャコップの2人はスタジアムの通路を抜けて観客席へ。

その観客席では至る所からわんさか敵が出て来るものの、座席の陰や柱の陰、

それから観客席の高低差を利用して上手く敵を殲滅させて行く。

「クリアだ!」

「こっちもだ、行くぞ!」

観客席の敵も倒し終えたバーチャコップの2人は残りの敵を探そうとし始めたが、次の瞬間

観客席の中にスモークグレネードが投げ込まれて来た!!

「うお!?」

「くっ!」


煙を撒かれては視界も悪くなるので、一先ずは近くの柱の陰にスマーティが、観客席の間に

ほふく前進の形でレイジが隠れる。

そんな2人に向かって、今度は思いっ切り水が降りかかる。

それもその筈、何処からか放水されているからだ。

「ぶわっ!!」

「うおあ!」

観客席が水浸しになる状況だが、それでも何とか放水から逃れてバーチャコップの2人は

放水元を探す。

「くっそ、何なんだ!!」

「あっちだ、レイジ!」


水の飛んで来る方向をスマーティが見つけ、その方向に射撃をするが水の放水元の

人間もそれを上手くかわして再び2人を水攻めにしようとする。

(甘い!)

しかし、それをスマーティは見越していたので放水元の人間を心で一喝し、左手で

レイジにハンドサインを送る。そのハンドサインを見たレイジは小さく頷き、まずは観客席の

下の方まで飛び降りて放水の気を引く。

そうするとスマーティの思惑通りに放水の矛先がレイジに向いたので、一気にそこでスマーティが

放水している人物目掛けてガーディアンKの模擬弾を撃ち込む。


「ぐお!」

そんな呻き声がしてスマーティの弾が当たった事が確認出来た。放水は止んだのだが、

まだその放水をしていた人物は倒れて居ない様なので追い討ちをかけるべくレイジが

立て続けにその人物に模擬弾を撃ち込む。

「ぐあ、うぐ!!」

同じ人物からの呻き声が立て続けに続き、ようやくスタジアムでの戦闘シーンが幕を

下ろした様で終了の合図の花火が上がった。


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