Training along with the dragon第2話


そうしてホテルへと向かった令次と流斗とシュヴィリスは、大塚と合流してチェックイン。

「あー、長旅ごくろーさん」

「ほんとだよ。でも何で俺達が訓練の対象なんだ? そもそも何でドラゴンなんだよ?」

「直接バーチャシティポリスの上層部に会って話を聞きましょう」

『そうだね、それが良さそうだ』

何で一般人の自分達が呼ばれたのか、そしてドラゴンのシュヴィリスが呼び出された理由も

本当に謎である。確かにドラゴンと言う生物はこの世界では伝説の生物ではあるが、

もうすでにあの世界中を巻き込んだ事件の後で身体のメカニズムの説明等は終わっている筈だった。


その後は2人で1部屋、1人と1匹で1部屋の合計2部屋を取った。

ホテルの部屋の窓から見える夜景をテーブルに向かって描くシュヴィリスの姿を腕立て伏せを

しながら見つめる令次だったり、大塚と流斗で新作のスマートフォンの話に没頭したり、後はアメリカの

色々な料理をホテルから出て堪能したりしてその夜は更けていった。

はるばるアメリカまでこうやって日本からやって来たのだから、せっかくのアメリカをまずはエンジョイする事が

大事だと3人と1匹は思い立って心行くまでその日はアメリカを楽しんでいた。


そうして夜も明け、3人と1匹はホテルを出ていよいよバーチャシティポリスへと向かう。

「えーと、何処だったっけ?」

「第2分署じゃ無いな、確か」

「確か……ああ、郊外のスタジアムで待ち合わせだって言ってたな」

「それじゃそこに行くか……」

インプレッサに3人と人間の姿の1匹が乗り込み、スタジアムへと向かう事にする。

「バーチャシティポリスに認められたって事か、俺等?」

「それはどうか知らないけど、俺達がこうして直々に呼び出しを食らうって事は何かあるんだろ」


大塚と流斗がそう話していたのだが、シュヴィリスは何だか浮かない表情だ。

「如何したシュヴィリス?」

『いいや別に……ただ、僕まで呼び出されたのはどう言うつもりなんだろうなーって』

「ああ、確かにそれは気になるな……」

確かに、ドラゴンと言う未知の生物であると言う事は珍しい事であるのだが、もともと

引きこもり気質のシュヴィリスにとっては大人しくキャンパスに絵画でも描いていたいのであった。


『身体を動かすのは僕、余り好きじゃないし』

「え? でも戦えるんだろ?」

斧持ってるし、実際手合わせした事あるけどそこそこ使えるじゃん、と流斗が疑問符を

浮かべながらシュヴィリスに問い掛けるが、ブラブラと鬱陶しそうに左手を顔の前でシュヴィリスは振る。

『前にもこれ、言ったかもしれないけどさ。君達人間と違って、僕等竜族は長く生きるからね。

100年が君達人間族の寿命だとしたら、僕等はその100倍……長くて1万年の時を生きるんだ。

だからその中で色々と僕達は生きる術を学ぶ。時には同じ竜族と共食いだってしたよ。

そして人間になる事の出来る僕の様なドラゴンは、ドラゴンで居る事に疲れたら

人間として生活する。そうしたら僕も人間社会の中で生きる事になるからね』


そこで一旦言葉を切り、シュヴィリスは窓の外の景色を見ながらブツブツと呟く。

『人間をドラゴンとして駆逐する事は簡単さ。だけど人間社会の中で暴れでもしたら、

徒党を組んで攻めて来るのが君達人間のやり方だよ。迂闊にドラゴンに

戻る事なんて出来ない。だったら、人間としての身を守る術だって身につけなくちゃ

いけないんだよね』

「……要は、生きる為の術ですか」

その話を聞いていたドライバーの令次からの一言に、シュヴィリスは『ああ』と何処か

素っ気無く生返事をした。


そうしてそんな空気の中、インプレッサは郊外に向かってひた走る。

するとインプレッサの横に並んで来る1台の車が。

「……ん?」

「え、あれ、このGT−R……」

大塚と流斗が気がついたのは、インプレッサの左側にスーッと並んで来た1台の

R35GT−R。それも、見るからに只のR35GT−Rでは無かった。

「なぁ、このGT−Rってまさか……」

「ああ、あいつ等だよ」

間違い無い、とばかりに大塚と流斗は確信する。


そして先の信号でインプレッサが停止するとGT−Rは車線を変え、インプレッサの右側に並んで停車。

令次のインプレッサは日本から運んで来た為に右ハンドル。隣のGT−Rは左ハンドルなので

丁度ドライバー同士で隣同士になる。

そのGT−Rのドライバーズシート側の窓を開け、見知った顔が姿を現わした。

「……やはり貴方か」

そう呟く令次に、GT−Rのドライバーであるもう1人の「レイジ」が威勢良く声をかける。

「そっちの令次も元気そうだな!!」

R35GT−Rのカラーリングはバーチャシティポリスのカラーリング。だけど普通のパトカーとは明らかに

違う特別仕様のカラーリングだったので、インプレッサの3人にはすぐに予想が出来た。


そしてインプレッサのリアシートでその姿を見ていたシュヴィリスが一言。

『あれ、バーチャコップの2人じゃん。今日の訓練に参加するって言ってたっけ』

ポツリとそう呟いた視線の先では、令次とレイジが会話を交わしている。

「とりあえず、信号がもう少しで変わりますからこのまま訓練場所まで先導して貰えます?」

「ああ良いぜ。それじゃ俺達について来い!」

バーチャコップのレイジから許可を貰ったサーティンデビルズとSpeed Produceのリーダーの令次が

インプレッサでR35GT−Rパトカーについて行く事になった。


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