Training along with the dragon第1話


あの数々の事件が展開されていたバーチャシティに、2016年4月28日の

この日は日本から3人の日本人と1匹のドラゴンが召集されていた。

ドラゴン以外は勿論不法入国では無く、3ヶ月前に呼び出しを食らってから

きちんと飛行機を使ってバーチャシティまでやって来た。それも、条件付きで

渡航費まで出してくれたのだから助かったと3人の日本人は喜んでいたのだが……。

その条件と言うのが、バーチャコップとローカルポリスとの合同訓練に参加すると言う物であった。


そして何と、その合同訓練はストーリー仕立てで行いたいので3人と青いドラゴンの

シュヴィリスにストーリーを考えて来て欲しいとの事だったのだ。

ちなみに呼び出されたのは大塚誠、鈴木流斗、そしてリーダー格の宝坂令次だ。

「……部外者にストーリー制作任せるなよ。……一応考えて来たけど、こんな感じでどうだ?」

「……で、それに俺等も付き合うのか?」

「別に良いけど、ドラゴンも参加するのかよ? ドラゴンも参加させるってなるとこんな感じだけど」


大塚が出して来たシナリオシートにはこんな内容のストーリーが記載されていた。

大体ゲームの様にステージ構成を考えた、全4ステージ。

まずはステージ1から見て行くと、最初のステージ1では敵の数が少な目と言う設定の様だ。

生物兵器として育てられたドラゴンがこの世界の何処かに居ると突き止めたバーチャシティポリスでは、

その生物兵器を破壊する為に犯罪組織の幹部を追いかけて情報を聞きだす為に強襲を開始する。

この幹部役は大塚に任せるとの事らしい。

「お、俺がいわゆるボスになるのか……」

まさかの抜擢に大塚はうーんと首を捻るしか無かった。


次のステージ2のボスは流斗が担当する事になっているらしい。 内容としてはこんな感じになっている。

幹部の大塚を捕まえたが、情報を聞き出す前に何者かに狙撃されて死亡してしまう。

幹部から残された手がかりを追ってドラゴンが居るとされる場所へと向かうバーチャシティポリスだが、

それを阻止せんと傭兵部隊が立ちふさがる。この傭兵部隊のリーダーとして流斗が部下を従えて

ステージ2のボスとして登場するとの事だ。

「傭兵って言えば栗山だけど……まぁ、良いか……」

自分と同じ孤児院の出身であり、ヘルヴァナールにトリップしたメンバー全員の中でも1、2を争う戦闘能力を

持つ栗山がこの役は適役なんじゃないのかなーと思う流斗を横目に、令次に第3ステージの説明が入る。


幹部の1人を狙撃した傭兵部隊のリーダーの流斗を倒してようやくアジトを突き止めたバーチャシティポリスだが、

すでに生物兵器は完成されて世界に放たれようとしていた。生物兵器が世界に放たれる前に

阻止しなければいけないので、敵の本拠地でバーチャシティポリスは生物兵器開発者と死闘を繰り広げる。

これがステージ3、いわゆるファイナルステージだ。

「それで、このステージのボスが俺ですね……」

そして最後に、令次を倒した後にまだ時間が余っていた場合にはエクストラステージの訓練となるとの事であった。

そこのストーリーも考えて来てくれ、との事だったので勿論日本からの来訪者達は考えてある。


令次を倒した筈だったが、寸での所で令次は生物兵器を起動させてその背中に飛び乗る。

そして自分はバイクに乗って銃撃して来る令次と、起動させた生物兵器とファイナルバトルでエクストラステージだ。

『令次にプラスして、ここのボスとして僕も一緒に戦うと言う訳だね』

これまでの展開を考えて、そしてこのストーリーの内容からして自分達がボスになると言う事が容易に 予想出来た令次と

シュヴィリス。それぞれの敵役の3人にはバーチャシティポリスのローカルポリスの警官達が部下役としてつくとの事であった。

勿論ストーリー仕立てで実際の現場ではどう言った不測の事態が起こるか分からないので、今回の

訓練ではこの日本からの来訪者達が敵役を務めると言う事以外は、バーチャシティポリスの上層部

以外には勿論バーチャコップ達を始めとして伝えられていないのだった。


「またここに来たのか……俺等」

「ああ、来る度に事件に巻き込まれている気がするけど、今回の俺達は

バーチャシティポリスとの訓練だから事件には巻き込まれないと思うぜ」

「それ、嫌な予感の前触れの様なセリフですね」

夜のバーチャシティ空港へと降り立った3人は、一先ずはヘルヴァナールの

青いドラゴンのシュヴィリスと合流する為に夜の港へと向かう。

「本当は先にホテルに行きたい所ですけど……」

「そうだよな。なら俺がチェックインしとこうか?」

「良いのか? それじゃ御前さんに頼むぜ」

と言う訳で令次と流斗でシュヴィリスに会いに行き、大塚はホテルにチェックインする為に

市街地方面へと向かう。ちなみに大塚はバスでホテルに向かったのだが、令次と流斗は

今回令次のGDBインプレッサを空輸して来た。これもシナリオ作成の時に空輸費を

出すと言う条件があったからだ。


『結構遅かったね。おかげで1枚絵画が出来ちゃったよ』

待ちくたびれたかの様に、完成したプロの絵画を迎えに来た令次と流斗に見せびらかす

シュヴィリス。本来はドラゴンでも、人間の姿では画家になる。

「相変わらずすげーなー、御前さんは。俺なんて美術の成績あんまり良くなかったし

こう言うのなんて高校の美術の時で技術がストップしてるから」

『ふぅん。ま、その道に進まないなら良いんじゃないの? 進みたくなったら習えば良いし』

心底興味無さそうにそうぼやくシュヴィリスは、ガサゴソとA4の画用紙に鉛筆で描かれた

そのバーチャシティの港のイラストをファイリングして本題に入る。

『あれ、大塚は如何したの大塚は』

「大塚さんならホテルです。チェックインしに行きましたよ」

『ああそう。それじゃ僕達も行こうよ』


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