Run to the Virtua City第4話


と言ってもすぐにあの銃撃戦の現場だった所に向かうのは気が引ける。

まだあの銃撃戦が行われているかもしれないし、騒ぎになっている可能性も高い。

なので真夜中を待って、3人はスターレットとレビンでその場所へと向かった。

「事後処理は終わっているみたいだな」

「ああ、確かここだったよ。俺がアタッシュケースを投げ込まれたのは」

車通りも真夜中なので一切無く、自分達の足元のアスファルトをスターレットと

レビンのライトが照らしている。


「そのアタッシュケースが投げ込まれた時……何か変わった事は無かったか?」

「え?」

変わった事……と拓也に聞かれても、特に思い当たる節が全く思い浮かばない

和人は首を横に振る。

「いいや全然。俺は本当にたまたまそこを通り掛かっただけだし、投げ込んで来た奴が

一体何の意図があって俺のシルエイティにこのアタッシュケースを投げ込んで来たのか

さっぱりだからなぁ」

このアタッシュケースが原因なのはさっきの港で武装集団に狙われたのも関係している

事なんだろうと想像がついた3人は、もう1度アタッシュケースの中身を調べてみる事にした。


だが、ここでふと妙な気配に気がついた山本が視線を明後日の方向に向ける。

釣られて和人と拓也も視線をその方向に向けると、そこにはやや広めの脇道の様な路地の

中にライトをつけて佇んでいる1台の車の姿が。

そして、その車の色合いは和人にとって見覚えのあるカラーリングでもあった。

「あ……あのカラーリングは!!」

「え? と言うよりもあれって……」

「間違い無く警察の……パトカー……?」


路地の中で斜めに停まっているし、距離もそこそこある。尚且つレビンとスターレットのライトで

状況を確認していた3人の元にまではライトの光が届き難かったと言うのもある。

そしてその車のカラーリングも車種も、何だかパトカーと言うには不釣合いの車種選択であると

同時にこの街のパトカーとはちょっと違うカラーリングだったので拓也と山本は訝しげだった。

しかし、和人だけは自分の記憶を辿ってみて間違い無いと確信する。

「……行こう。あいつ等に目をつけられたら厄介だ」

「どう言う事だよ?」

「あいつ等って……あんた、知り合いなのか?」

「ああ。どっか別の場所で話そう」



目をつけていた2台の車が、自分達の目の前から走り去るのを見てバーチャコップの2人は

GTーRパトカーの中からそれを目で追いかける。

「……如何思う、レイジ」

「何かを確かめに来たって感じがするな。そしてあのアタッシュケースも非常に気になる所だ」

「俺も同感だな。だが、もう少し泳がせてみるとしよう」

スマーティはレイジの答えに1度頷き、そう提案する。今焦って捕まえると何かを見逃して

しまいそうな気がするし、何よりあのアタッシュケースの行き先を知りたいのでもう少し

2台の動向を探る事にしたのである。


一先ず、バーチャコップの2人もこの日は家へと帰って睡眠をとってから次の日の朝に

あの2台の位置をジャネットに知らせて貰う。まだこのバーチャシティに居る様だ。

「良し、早速そいつ等の所へ向かおう」

「どうやら今は移動中らしいから、早めに追いつかなければな」

それも向かっている所はどうやらあの工場地帯らしい、とスマーティが言うと

レイジも無言で薄く笑ってからGT−Rパトカーのアクセルを踏み込んだ。


そうしてその工場地帯へとやって来たのはスターレットとレビンが先だった。

「あれ、俺のシルエイティ……てっきり破壊されたか警察に押収されたと

思っていたのに?」

自分が放置した時と何ら変わらない状態で、自分の愛車のシルエイティがその場所に

ひっそりと佇んでいた。眠気を堪えて朝早くにやって来たからかまだ周囲の人気は少ないので、

さっさとシルエイティを回収したい所だ。

しかし、そんな和人だったがどうにも嫌な予感が拭えない。そしてその予感が当たっていたと

確信するのは次の瞬間だった。


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