Run to the Virtua City第2話


「ジャネット、あのシルエイティの位置は分かるか?」

『勿論よ。捕捉しているから位置をマップに表示するわ。ローカルポリスの

応援のパトカーも向かっている筈よ』

「了解」

レイジの質問にオペレーターのジャネットが当然と言った感じで答え、

スマーティが返事をしてGT−Rの車内に設置されているホログラムのナビに

表示されているマップの点滅ポイントへとGT−Rパトカーを走らせる。


どうやらシルエイティは、郊外に存在している工場地帯へと走り去って行った様だった。

「逃げ込み易そうな場所だが……俺達から逃げようったって、そうはいかねぇっ!」

そう意気込みながらレイジはその点滅ポイントへとGT−Rを走らせる。

そして辿り着いた工場地帯の一角には確かにあの時のシルエイティが存在していた。

そう、そのシルエイティ『だけ』が……。

「あれ、ドライバーが居ないが?」

「何だって?」


スマーティが油断無くガーディアンKを構えながらシルエイティの中を覗き込むが、キーは

抜き取られておりしっかりとドアもロックされている。

そのシルイエティは、かつて自分達がカマロパトカーで雨の中で軍事基地まで先導していた

あの時に後ろからついて来ていた30台の車の先頭を走っていたシルエイティ……つまり

Master's with 13 Devilsの高崎和人のシルエイティに間違い無かった。

「この近くに居るかもしれない。探してみよう!」

「応援のローカルポリスにもそれっぽい人間がいなかったか聞いてみる!」


しかし、応援のローカルポリスもドライバーの姿は見ていないと言う。それから工場地帯を

くまなく探し回ってみたがやはりシルエイティのドライバーの姿は何処にも見当たらなかった。

「逃げられたか……くそっ!!」

地面を蹴りつけて悔しさを表現するレイジだったが、そこで冷静なスマーティがこんな一言を。

「でも、ここは結構広いエリアだ。くまなく探し回った筈なのに素早く逃げられる物なのか?」

「それもそうか……。徒歩で移動出来そうな距離は限られているし、ローカルポリスの話じゃあ

シルエイティは結構な人数が目撃しているから目だってしょうがない筈だろ。まして、この派手な

ジャックナイフのステッカーとくればイメージに焼きつきやすい筈だからな」

レイジも自分の推理を展開し、もう1度ローカルポリスに対してシルエイティのドライバーが

近くに居なかったかどうかを聞いてみる。


すると、気になる証言をローカルポリスの1人から聞き出す事が出来た。

「え?」

「気になる車が2台、この近くから走り去って行った?」

その気になる車と言うのが、1台は灰色のスターレット。もう1台が赤いAE86レビンとの話だった。

どうもこの2台はつるんで走っていたらしく、ドライバーの位置を見てみるとどうやら右ハンドルとの

事であった。この街、いやこの国でも右ハンドル車自体が相当に珍しい。そんな車が2台も

つるんで走っていた事、それからこのシルエイティも右ハンドル。

バーチャコップの刑事としての勘と経験が、1本の過程を生み出して行く。


「良し、まずはその走り去った2台の行方を追うとしよう。それからこのシルエイティが

ヘリコプターに追われ始めていた位置の特定。派手にやっていた筈だから絶対に目撃情報が

ある筈だ。俺達が出動していない事件でも、何か手がかりに繋がるヒントが見つかるかもしれない」

「そうだな。俺達は聞き込み調査に向かう。ジャネットは町中の防犯カメラからヘリコプターとシルエイティの

今までの位置、それから走り去った2台の車の特定もよろしく頼むぞ」

『任せといて!』

スマーティの提案にレイジがジャネットにそう指示を下し、2人はシルエイティをそのまま放置して

地道な捜査に向かうのであった。


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