Speed Produceのストリートレースから始まる陰謀編 第4話
このワインディングは余りきつくない勾配なのだが、やたらトンネルが多い。
だがそのトンネルを利用しようと令次は考えていたのだ。
しかし今はまだまだ後ろを振り切れていないので、ここから先は限界ドライビングで後ろの
パトカー集団との差を広げる事が先だ。
(行くぞ……)
令次がペースアップしたのを見て弘樹も同じくペースアップ。だけど後ろのバーチャコップの
2人がそれを黙って見ている訳も無く、今回助手席に座っているレイジが窓から右腕を出して
まずは弘樹のRX−7から仕留めるべく、ベテランのガンシューティングテクニックを見せる。
最初に威嚇射撃として1発、2発と発射し、RX−7のリヤガラスと右リヤライトを打ち抜く。
「うわ!?」
いきなり後ろから撃たれたので弘樹は大いに焦るが、それでも気を取り直してアクセルを踏み込む。
きついコーナーが無いので差を広げにくいものの、テクニックでは弘樹の方が勝っている様だ。
それを後ろから追いかけるスマーティも実感している。
(かなりのテクニックだな。俺は相当無理しているが、向こうも無理をしているのか?)
カマロで追いかけるのに必死なので、スマーティは援護射撃に加われない。
そのまま長いストレートから令次も弘樹もスクランブルブーストで一時的にブーストアップをし、
一気にカマロや他のパトカーを引き離して行く。
……が、2台はパトカー軍団を振り切ったかと思いきやすぐ先にある脇道へと逃げ込んだ。
さっきチラッとその脇道の先にトンネルがあるのを見つけたのだ。
そうしてインプレッサがハザードを点けたのを見てRX−7も同じくトンネルの中で停車。
まずは令次が市長をさっさと解放する。
「色々連れ回してすみません。でも今は一刻も早く俺達から離れて下さい。ここは危険です」
「え?」
「良いから早く。このままさっきの道に出て、警察に保護して貰って下さい。俺等はいけません」
急な展開にキョトンとする市長だが、2人は本当に自分を解放する気だと信じていた。
しかし何か理由があるのでは無いかとも思い、理由を聞いてみる事に。
「どう言う事だ? まさか、やりたくてやっている訳じゃないのか?」
そう問いかけるものの2人は黙って答えようとしない。
するとその時、トンネルの外からパトランプの光とサイレンの音が聞こえて来た。
「動くな!! そのまま両手を頭の後ろに組んで膝をつけ!!」
「顔を上げて俺達に見せろ!!」
続いて指示を出すレイジとスマーティの声も聞こえて来た。
だが令次も弘樹もそれには従いたくないので、ジャケットのファスナーを下ろして爆弾を露出させる。
「俺達だってこんな事、したくてやってる訳じゃないんだよ!!」
「なっ……!?」
「え!?」
突然の光景にバーチャコップの2人も唖然とした顔になった。
「話は後です。今はこの爆弾を解除する方法があります!」
令次の言葉に従い、まずは爆弾を解除する事から一同の反撃がスタートした。
「GPSがこっちに向かっている。どうやら作戦は成功した様だな」
女はGPSの位置情報を確認し、2台がこっちに向かっている事を確認する。
「御前達の仲間は本当に良くやってくれたよ。名残惜しいが、もう少しで別れの時だ」
「は?」
「お、俺等を解放するんじゃねーのかよ!?」
キョトンとする岸とまさかの言葉に声を荒げる真由美だが、そんな2人の反応を見て
女はほくそ笑んだ。
「誰が御前達を解放すると言った? 私の復讐は最後に御前達全員を爆弾で
木っ端微塵に吹っ飛ばして終わるんだ」
とんでもない事を言い出した女だが日本人チームはどうする事も出来ず、ついに倉庫の外に
インプレッサとRX−7の排気音が聞こえて来た。
「帰って来た様だな」
部下に倉庫の外へと様子を見に行かせて、確かに2台が帰って来ている事を確認させる。
「よーし、そのまま下りて市長を連れて来い」
だが、その命令が実行される事は無かった。インプレッサとRX−7からは動きが全く無いのだ。
「……?」
様子が変だと思いつつ、リーダーの女は自分自身で2台の様子を確かめる為にドアを開ける。
「はっ!?」
インプレッサの中、そしてRX−7の中には誰も乗っていなかった。そしてそこから事態は急転して行く。
まずはバーチャコップの輸送機が上空から現われて女の目を引き、その間にバーチャコップ率いる
警官隊が倉庫へと突入する。
プラス、倉庫の中の日本人トリオはその隙に脱出して外の倉庫の陰に隠れていた弘樹と令次と合流。
後は逃げるだけ……と思っていたのだが、リーダー格の女がバーチャコップや警官隊の目を盗んで
アストロバンで逃げようとする!
「あの野郎!!」
それを目ざとく見つけた真由美が素早く走り出し、アストロバンのフロントウィンドウ目掛けて
ダッシュからのドロップキックで足から突っ込んだ!!
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