Speed Produceのストリートレースから始まる陰謀編 第5話(最終話)


アストロバンのフロントウィンドウを蹴り割り、更に中に乗っていたリーダーの女を引き摺り下ろして

1対1の格闘戦に持ち込む。女が持っていたG36Cは真由美の足によって

素早く弾き飛ばされてしまったからであった。

リーダーをやっているだけあってなかなか格闘戦も出来るらしく、ロングヘアーの

髪を振り乱しながら真由美に女は立ち向かう。

しかし真由美もすでに今年で34年目と、キャリアだけならあの百瀬和美でさえも

しのいでいるだけの武術経験があるので技の引き出しが無数に存在している。


右のキックを繰り出されたのでそれを左の脇で真由美は挟み込み、お返しに

女の顔面に右の裏拳を入れる。

更に右の肘をそのまま挟み込んでいる女の右太ももに落とし、女がよろけた所で

右のストレートパンチを女のみぞおちへ。

「ぐっ!」

後ろにたたらを踏んだ女に追撃をかけるべく、今度はムエタイの要領で思いっきり

脳天に右の肘を落とす。

だが女も反撃に前蹴りを繰り出して来て、一旦真由美と女の距離が離れた。


そこから今度はパンチを繰り出し、更に回転しながら肘も繰り出すムエタイスタイルを

駆使して女をだんだんと追い詰める。

更に女のミドルキックをしゃがんで回避し、カポエイラの要領で女の股を潜り抜けて

通り抜けざまに股間にかかとを入れる。

「おうふ!」

女が変な声を上げている後ろで、真由美は素早く立ち上がって今度は左のミドルキック。

そして女が再びそれでよろけた所に今度はテコンドーの要領で後ろに1回転しながらも

しっかりと女の側頭部に右足を蹴り入れる。

「ぐふっ!」


だが女はまだ立ち上がってこようとしたので、させるまいと真由美は側転からそのまま

宙返りに持ち込み、テコンドーの技で女の頭にかかとを落とす事に成功した。

「がっ……」

女はそのまま地面に仰向けに倒れ込み気絶してしまったので、このバトルは

真由美が今までの全てのうっぷんを晴らす事になったのであった。

「はぁ、はぁ……やったぜ……」



「……で、結局どうやってあのベスト爆弾を解除したんだ?」

第2分署での取調べを前に、明が令次と弘樹に向かって聞いてみる。

「ああ、あれは解除はしていないんですよ。あれってベストの前のボタンで留める所を

配線で繋げてる物でしたから、その配線を切っても良い様に別の金属コードを繋げて

並列回路にして、元々の配線を切って脱ぐ事が出来る様にしたんですよ」

「その配線は俺のFCに載っていた応急処置用のプラグコードを引きちぎって、それを

配線代わりに繋げて置いたって訳さ。そして脱いだ俺達はそのベストにGPSが

着いたままだって知っていたからそれぞれの車に載せたままにして、警官隊と一緒にこっちに

戻って来たって訳。それと、突入作戦の時に俺達は素早く車から降りて隠れたんだ」


勿論爆弾は安全な場所で爆発処理させる為に丁重に回収され、5人を拉致した

グループもリーダーの女を含めて全員逮捕一掃された。

令次と弘樹は巻き込まれて仕方無くやっていた事だと判明したので仕方が無いと

言う事で解放される事になる。ただしストリートレースに参加していた事については

勿論5人共こっぴどく叱られた。それに加えて同じサーティンデビルズのメンバーが

少し前にまた来たと言う事も蛇足で報告されて5人は驚きを隠せなかった。


結局事件は解決した物の、何だか気持ちがパッとしないバーチャシティ旅行となってしまった

5人は夜中に解放された。

そうしてお別れの時になったのだが、ふとスマーティがこんな事を言い出した。

「それにしても、俺等警察を振り切る事が出来る程のドライビングテクニックを持っているとはな。

以前にもそんな奴等が居た。同じ日本人だったがな」

「へー、そうなんだ。まぁ速い奴なんていっぱい居るし。ちなみにどんな奴等だったか覚えてる?」

「全部で6人居たな。レイジ、写真があったろ?」

スマーティに問いかけられてレイジがその写真を出して来る。


すると、その写真を見た5人の顔が驚きの表情になる。

「え?」

「あ、あれ?」

「あれ、この人達って……」

「はっ? 何でこんな所に……!?」

そんな令次以外の4人のリアクションにレイジが声をかける。

「おい、どうした?」


そして宝坂令次から衝撃の一言が!!

「この6人、俺達が前に一緒のステージで戦っていた有名人です」

「……え?」

レイジとスマーティも顔を見合わせ、7人の間に妙な空気が流れるのであった。


Speed Produceのストリートレースから始まる陰謀編 

挿入歌:Kiss/Bamboo Bimbo


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