Speed Produceのストリートレースから始まる陰謀編 第3話


そんな事を考えていると、また目の前に1台の車が飛び出て来る!

「おおっと!?」

しかしその車は良く見てみるとパトカーではなく、弘樹のRX−7だった!

『2台が合流した様だな。後は何とかして港まで来い。待ってるぞ』

あの後に弘樹だけが令次と合流して逃げるのを手助けする様に言われ、そこからこうして

GPSの位置情報を頼りに道案内まで女にされて令次と合流したのであった。

更に弘樹は今、令次が何をしているのかまで聞いていた。


(市長を拉致だと!? ますますやばいぜ!!)

とんでもなく大きな犯罪を自分達がしているのだと分かったが、今更どうしようもないので

今はとにかく警察を振り切るしか無い。

(このまま闇雲に逃げていてもどうしようもない。だったら何処か人目のつかない所……ん?)

その時、令次の頭に1つの考えが浮かんだ。だがそれは同時に危険な賭けでもある。

けど爆弾を解除出来ると言えばこの方法しか無さそうだ!

「ちょっと教えて欲しいんですけどね……」

令次はその作戦を実行する為に、後ろに座っている市長に1つの質問をしだした。



「あの車は罠だと!?」

「俺達はまんまとはめられたって事か!!」

バーチャコップのレイジとスマーティはこの日、朝から市長の護衛として借り出されていた。

そして今、市長を誘拐しようとしている令次のインプレッサを追いかけている。

「さっきは銀行強盗もあったって言う情報だが、現場から逃げたのは赤いスポーツカーって話だ!

もしかするとあの派手な車と一緒に走っているのがそうじゃないのか?」

「だとすると、この2つの事件はリンクしてるって事なのか?」


そう考えるのが妥当な線だと考えた2人は、何としてでもあの2台を止めるべく

カランザ主任にコールを飛ばしてとある応援の要請をし始める。

それはこの街中では余りにもリスクが大きい物であるのだが、なりふり構っては居られないと言う

考えからその応援要請を出したのである。そしてそれは更に令次と弘樹を追い詰めて行く

手段になると言う事を、追われているその2人は当然知る由も無かったのであった。

(絶対に……逃がさねぇ!!)

レイジもスマーティもガーディアンKの残弾を確認し、出来れば応援要請の前に止めたいと

言う事で何とかしてインプレッサとRX−7に近づこうとしていた!



市長からある情報を聞きだした令次は、弘樹のRX−7の横にぴったりとつけて

窓を開けて大声で叫んだ。

「弘樹さん、弘樹さん!!」

令次が何かを叫んでいるのに気がついた弘樹も窓を開けて応対。

「な、何だぁ!?」

「俺に着いて来て下さい! 考えがあります!!」

「はっ!?」


風と排気音で良く聞き取れないが、それでも何とか令次も声を振り絞って叫ぶ。

「考えがあるんです! 着いて来て!!」

「あ、ああ、分かっ……た……」

だが視線を前に戻した弘樹が見た物は、空から何かが自分達の元に向かって来る

光景であった。

「ちょ、おい、何だあれ!?」

令次のインプレッサから離れて固まらない様にし、その空から降りて来る物体を確認する。

(せ……戦闘機!?)

車以外には乗り物の事は疎い弘樹なのだが、よくよく見ると戦闘機では無さそうだ。

だけど得体の知れない恐怖感が令次と弘樹を襲う!


それはバーチャコップが特殊な作戦の時に使っている武装小型輸送機であり、

バーチャコップ専用に保有されている物でもある。

『ロックオンしたわ。いつでもミサイルの発射準備は可能よ』

レイジとスマーティのインカムからジャネットの声が聞こえて来る。

「了解。しかし青い車には市長が乗っている。タイミングが合えば発砲許可を

下ろすからそれまで空からの追跡を頼むぞ、ジャネット」

『分かったわ』


そんな輸送機にまで追われているので日本人の2人はたまったものでは無い。

それでも今は令次に弘樹がついて行く形で逃げるしか無い。

そして令次はと言えば、兼山と大塚と洋子がカーチェイスを繰り広げたあの

ワインディングとはまた別のワインディングへと入って行く。

(峠か!)

自分達の得意分野で振り切ろうと言う作戦なのだろうか? と弘樹は考えながらも

令次に先導される形で後ろのカマロ率いるパトカー集団を振り切ろうとアクセルを踏み込んだ。


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