Master'sの巻き込まれ事件編 第4話


パトカー集団が多くなって来た様で、セダンやバン等はあらかた潰して回った。

しかし肝心の病院の場所がまだ少し先なのだ。

「ちきしょう、こっちも封鎖されてる!!」

しょうがないので別のルートを通る流斗だが、何だかこのままでは警察に上手く

誘い込まれているみたいだ。

「で、病院は何処だっけ!?」

「ダウンタウンだ!! まだ掛かりそうか?」

「わからねーけど、飛ばせるだけ飛ばすだけだ!」


後ろからはカマロのパトカー……ドラゴンの事件の時に軍事基地まで誘導して貰った

あのパトカーが追って来ている!!

「後ろの奴、バーチャコップとか言う奴等じゃなかったっけ?」

「あいつ等か! めんどくさい事になったぜ!」

「振り切れるか!?」

「正直厳しいけどやるしかないな!」

ストレートではデリケートにアクセルを踏み込み、市街地の交差点のコーナーではなるべく

女に負担をかけない様にする為に丁寧なグリップ走行を心がける。

ドリフトで振り回して女に負担が掛かるのは目に見えるからだ。


後ろからのバンパープッシュも正直に言えば避けたい。バンパープッシュをされない様に

気を使っているが、されてもなるべく的確にコントロールして

絶対に負担をかけない様にするドライビングを心がける。

日本では今でも最強クラスとして名高い2JZエンジンでも、V8にストレートのトルクでは

かなわない。更にコーナーでも4ドアセダンなのでクーペのカマロより不利だ。

しかしそこは今までの長い経験で培ったドライビングテクニックで何とかしのぐ流斗。

兼山の弟子として腕を磨いて来たのでここでその真価が問われる時でもある。


やがてアリストは立体交差を抜けてダウンタウンへと入る。

するとその時、脇道から何と恵のS14が1台で合流して来た!!

「め、恵さん!?」

「後ろのカマロをブロックしてくれるらしい!!」

「そ、そうか! なら任せるぜ!」

アレイレルが連絡を受けた所によると、恵は一旦おとりになってパトカー軍団を振り切り

謎の妨害者達を潰し、そしてパトカー達のサイレンを窓から聞いて大体こっちだろうと見当をつけて

こうして合流する事に成功したのだと言う。


「私もまさか本当に合流出来るとは思ってなかったけどね。奇跡よ!」

「だけど合流出来たんだから良かったぜ! さぁ、クライマックスかな!」

恵自身がびっくりしてる横で和人が緊張を吹っ飛ばすかの様に軽口を叩き、再びさっきの様に

S14でカマロをブロックし始める。

徹底的にカマロが前に出ようとするのを防ぐだけで無く、時にはドリフトでコーナリング中に道を塞いだり

ストレートでも大きくS14を振り回してアリストに追いつかせない様にするのだ。

「前をうろちょろしやがって、目障りなんだよ!!」

そのS14の動きにレイジのイライラもピークだ。


そんなレイジのイライラを見て、スマーティが今更ながら腰のガーディアンKを引き抜く。

「タイヤを狙う。併走できるか?」

「分かった、やってみるぜ!!」

恵のS14のブロックを半ば強引に体当たりしつつこじ開け、スマーティが窓から右手を出して

ガーディアンKの照準を恵のS14のリヤタイヤにロックオン。

だが銃弾が発砲されたかされないかの時に、恵がフルブレーキでカマロの後ろへ回りこむ!!

「なっ!?」

銃撃をかわされて驚くスマーティの反対側……レイジのドライバーズシート側からS14が再び前に出る。


「危なかったぜ!! 間一髪!」

スマーティがタイヤを狙っていたのをS14のナビシートで和人が発見したので、咄嗟に恵にブレーキの

指示を出したのであった。

「助かったわ!」

「どう致しまして! ほら……流斗は無事に逃げ切れそうだぜ!!」

フロントウィンドウからは、S14とパトカー集団を大きく引き離してアリストが走り去る姿が見えていた。


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