Traitor and Escape第5話
別ルートに進んだジョルジョたちだが、先ほどよりも激しい兵士たちの挨拶を受けることになってしまっていた。
しかも、先に進む通路はレーザートラップで塞がれてしまっており、解除には時間がかかるため、
兵士の対処で手一杯な現在、 八方塞がりとなっている。
「オッサン!このままじゃ先行けねえよ……っ!」
「せめてアランたちと合流できれば……」
「はいはい、お待たせっと!」
この場にはあまり似つかわしくない明るい声が飛ぶ。振り向けば、アランとウェズリーが救援に来てくれたようだ。
「俺がトラップを解除する。援護を頼む」
「行ってきなウェズリー!さ、博士様の邪魔する奴は黙らせちまおうかね!」
頼もしい助っ人に、エヴァンも、ジョルジョでさえも無意識に安堵の息を洩らした。
敵もトラップもクリアし、4人は奥へと進んでいく。
続いて到着したのはエントランスだ。見ると、仁史、そしてエヴァンには見慣れた顔だったイグナシオの姿があった。
「ちっ、また邪魔が入りやがった」
「え?」
苦々しくイグナシオが見る先には、何時の間にかやって来ていたVSSEの4人の姿が。
「お、御前等・・・」
しかし感動の再会を喜ぶのはどうやら後になりそうだ。逃げ出したイグナシオを追いかけて5人は走る。
「御前等、敵だ!!」
イグナシオが指示を出せば、VSSEの目の前に敵がワラワラと立ちふさがる。
それを仁史は上手く潜り抜けつつイグナシオを追いかける。
(何処まで行く気だ!?)
上の階へと向かいつつイグナシオに少しずつ引き離される仁史が視線の先に見た物は、屋上から飛び立とうとしている
大型のヘリコプターに乗り込むイグナシオだった。
「出せ!!」
イグナシオの指示でヘリコプターが離陸する。しかしここまで来て逃がす訳には行かない。
仁史はそのままの勢いで走り抜け、ヘリコプターに向かって思いっ切りジャンプ。何とかイグナシオのはみ出ている足を掴んだ。
「うぐお!?」
まさかの展開にバランスを崩したイグナシオは仁史もろとも転落。そのまま下に吊り下げられていた大きな交換用の硝子板の
上に落っこちた。
「逃がすわけには……」
「行かない、な!」
尚も逃げようとするヘリを逃がすまいと、ウェズリーとジョルジョのグレネードがヘリへと放たれる。
さすがに連続で食らっては無事で済むはずもなく、派手に爆発し黒煙を巻き上げながら墜落していった。
「ぐうううう!! ああああああ!!」
ギリッギリで何とかロープを掴んだ仁史とは対照的に、イグナシオは握力を駆使して硝子板の上に這い上がる。
そして同じくロープで這い上がって来た仁史を逃がすまいと、仁史の足を掴んで硝子板の上に引き摺り下ろす。
「ぬあ!?」
「逃がすかよ」
そのまま硝子板の上でどうやら戦うしか無くなった様だが、普通のバトルフィールドと違うところは何よりも
揺ら揺らシーソーの様に揺れるのでバランスが取りにくい事。それから下が透けて見えるので恐怖心との戦い、
そしてVSSEのエージェントが銃撃したり、同じ場所に飛び降りたりでもして来れば間違い無くガラスは
割れてしまうだろうと言う事だった。