Soldiers Battle第8話


再び角笛の音が響き、また先程と同じく見慣れぬ服装の者達が現れた。

「またかっ!!」

即座に戦闘体制に入り、再び迎撃する兵士部隊一行。

だが、その中からやけに中々倒れない4人の男達が現れたのは、迎撃を始めて

少し経ってからの事であった。

(ふう、あらかた倒したかな?)

何とか周りの敵を倒して殲滅したかと思いきや、男達が現れた林の奥から

間髪入れずに4人の人影が現れる。

その内の1人に、ヴィンテスとパルスは見覚えがあった。


「……んっ?」

黄緑色の髪の毛に、青い上着に黒いズボン。

その男はあのカルヴァル将軍と密会していた男だと、2人の頭の中で

記憶の線が即座に繋がった。

そして、2人のその戸惑った様子に気が付いたその男が口を開く。

「中々実力がある様だ。だが、俺達はそうは行かない!!」

男の数は今の所、全部で4人。

まずは口を開いた青い上着に黄緑の短髪の男。武器は手斧を持っている。


「ふーん、あんた等が兵士部隊のヴィンテスとパルスか」

次に、紫色の肩まである髪の男が口を開く。上着の色は灰色で

武器はヴィンテスと同じく弓だが、ヴィンテスが短弓なのに対して彼は長弓だ。

どうやらこの男は2人の事を知っている様だ。

「何故俺達の名前を知っている!?」

「そりゃあ知ってるさ。まぁ、それは僕に勝てたら教えてあげても良いけど」


「逃げるなら今の内ですよ?」

槍を構えた黒髪の、赤い上着の男は挑発するかの様にそんなセリフを口にした。

「逃げるだとぉ!? 騎士団が敵に背中を向けるなんて事をしてたまるか!!」

その余りにも侮辱的な発言に、一気にパルスの怒りのボルテージが跳ね上がる。

「落ち着けパルス! だが、その発言は俺も聞き流す事は出来ないな」

ヴィンテスも静かに怒りを露わにするのを見て、黒髪の男は武器の槍をゆっくりと構える。

「そうですか。では、ここで大人しく死んでいただくのが手っ取り早いですね」


「そんなに気負う事も無いだろうよ。俺達4人でかかればあっと言う間に終わりそうだぜ?」

最後は黄色い上着にピンク色の髪の男が、黒髪の男と同じく舐めきった発言をする。

「こ、この野郎!!」

「だから落ち着けってパルス。でも、俺達の実力を侮られるのは心外だな」

パルスの怒りがまたも頂点に達し、それを落ち着かせながらも内心ではピキピキと

来ているヴィンテス。

「あっそ。だったらその実力とやらで、俺達を倒して見せるんだなっ!!」

武器は大剣であり、攻撃範囲が広い為に厄介な相手になりそうだ。


そしてその4人とヴィンテスとパルス、それから生き残って来た

部下達とのバトルが始まった。

基本は2対1であり、ヴィンテスは黒髪の男と紫髪の男、それからパルスが

大剣の男と槍の男を相手にする。

部下の兵士がヴィンテスとパルスのそれぞれについているとは言えども、

油断できる相手では無さそうである。


その証拠に、兵士達を相手にしているそれぞれの4人の男達の顔には

どことなく余裕の表情が浮かんでいる様に見える。

勿論ヴィンテスとパルスも加勢するが、それでも少し表情に余裕が無くなっただけで

まだまだ余裕がありそうだ。

この男達の実力はもしかしたら、いや、もしかしなくてもかなり高いレベルにあると見える。


そうして次々と兵士達が倒されて行き、残ったのはとうとうヴィンテスと

パルスだけになってしまった。

「だから言ったでしょう? 逃げるなら今の内ですよって」

黒髪の男が楽しそうにそう言いながら、槍を構えてヴィンテスの方へと向かう。

それと一緒に大剣の男もヴィンテスへ向かう。

残った2人の男は勿論パルスとバトルを繰り広げるが、その時に思いがけない

援軍が現れた。


山の上へと向かう登山道の方から、バタバタと足音が聞こえて来る。

その足音に気が付いたその6人がお互いに攻撃をストップして

そちらの方を見てみると、先に行った筈の兵士部隊が大勢で駆け下りて来るのが見えた。

「くっ、ここは退くぞ!!」

疲れが溜っている事もあり、槍の男が残りの3人にそう指示して素早く林の中へと姿を消した。

「おい、待てっ!」

「パルス、深追いはするな!」

地の利はもしかしたら向こうにあるかもしれないので、とりあえず今は自分達の疲れを

回復させるのが先決だとヴィンテスは判断し、パルスをぐっと押さえ込めた。


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