Secret Data Battle第6話
「そこまで!さ、そのスティックを離してもらうぜ」
「床に置いて、そのまま離れろ。ここから直接撃ち抜いて壊す…っけほ、」
ぼろぼろやずぶ濡れになってはいるが、エヴァンとマークだった。それぞれキースと渡辺・・・・の持っている
メモリースティックにハンドガンの照準を合わせている。
しかし、その要求に渡辺は窓の外を見る。
「・・・・もしかして、俺が1人だとでも思っているのか?」
それなら間違いだとばかりに渡辺は素早く走り出し、何の躊躇も無く窓の外へと身体全体で飛び降りる。
そのまま落ちるかと思いきや、窓の外は中庭。そこに待ち構えていた龍皇のファーレアルが飛んで来て
空中で背中に渡辺をキャッチ。
「それではな! もうそのサーバールームにも御前達の情報にも興味は無い。この変な画像と動画の
元データだけで俺は十分だよ!!」
メモリースティックをしっかり握り締めながら、金色の龍皇ファーレアルと一緒に渡辺は夜の空へと消えて行った。
「う、わっ!?」
「くっ、まずい…!」
威嚇射撃を数発するが意味もなく、そのまま渡辺と龍皇を取り逃がす結果に終わってしまった。
「あーーっ!!あぁ…もー……ほんっと…」
疲れ果てて座り込むエヴァンだが、後ろから足音が聞こえ、振り返るとルークに肩を貸されたジョルジョ、
その後方からアラン、ウェズリーが駆けつけてくるのが見えた。
「…あっはは、オッサン、男前な顔が台無し」
「うるさい」
「あー…頭がずきずきする…走ると響く…」
「……やっぱり反則だな…いろいろと…」
「…で、あんた、データを取られたにしてはやけに冷静なんだな」
マークが問うと、腕を組んでいたキースは笑みを見せる。
「まあ、な。あれはコピーだ。本当のデータは別にある。もう暫くは、お前たちと遊びたいからな?」
「ふっ…ざけんなよてめぇ!今すぐ消せ!今すぐっ!」
「エヴァン…怒鳴るなって頭に響くんだって…俺だって怒鳴りたいけどな…」
「ファーレアル、助かった」
龍皇と別れて東京の自宅に戻った渡辺は、早速メモリースティックを再生。
「ふむふむ、あいつ等はこういうのが好み・・・ん?」
色々な動画や画像を見て行く渡辺だが、別のフォルダに信じられない情報の数々がファイリングされている!!
「な・・・んだ、これは・・・!?」
その情報を見た渡辺は、ああ、これがあったからVSSEの連中があんな必死だったんだな、と苦笑するしか無かった。
しかも・・・。
「こ、コピー・・・だと?」
18禁動画のファイル名の後ろにコピー、と名前の修正前の表示が残ったままなのを見つけ、渡辺は肩を落とした。
「・・・・もう、良いか」
これはコピーだったのかと肩を落としたが、VSSEの奴等・・特に送り主のキースをボコボコに出来たのだから
悔いは無いと小さく笑みを浮かべるのだった。