Secret Data Battle第5話
サーバールームに侵入した渡辺の背後に冷たい刃の感触。
「予想より到着が早かったな。あいつらじゃ役不足だったか? まあ、それはそうと。
わざわざ本部にまでようこそ…と、 言いたいところだがな。先に言っておく。あれはお前に
送りたくて送ったわけじゃない。宛先を間違えてな。…言い訳と 取ってもらっても構わんが。
それは事実だ。ちなみに、元データはまだ俺が持っているし、ここのサーバールームを破壊しても
意味がない。わざわざVSSEがこんなわかりやすい場所に大切なサーバーを置くわけがないだろう。
…そんなわけで、ここで 暴れたいなら思う存分暴れられるが。だが、ここまでドンパチやったお前を、
VSSEのエージェントとして見過ごすわけにはいかない」
隻眼の目が渡辺を射抜く。
「送り間違え、か。あんな動画や画像を俺に送りつけて来る訳が無いしな。・・・しかし、あんたも暇人だな。
あんたがキースとかって言う奴だろう?」
首筋に寸分の狂い無く刀を突きつけられていても、渡辺は冷静な態度を崩そうとはしない。
「でも、俺は御前が持っているそのデータが欲しい。それと御前を殴りにここに来たんだよ!!」
自分から見て右側に突きつけられている首をまずは反対側に下げる。と同時に左足でキースの腹を
蹴飛ばしてその勢いで前方に転がった。
「くっ!!」
しかしキースは左手でハンドガンを撃って来たので、これはまずいとばかりにサーバーを利用して隠れつつブロック。
ここの方が渡辺にとっては障害物が沢山あるので戦いやすかった。
「…邪魔だな…なら」
ホルスターに装備していた折り畳み式の手裏剣を組み立て、渡辺のいる場所に目星を付けて投擲する。
と同時に、手裏剣と挟み込むようにして渡辺が隠れているだろう棚の間を捜し、ハンドガンを数発。
「ちっ!」
手裏剣はサーバーに当たって渡辺の所には飛んで来なかったが、それは渡辺の注意をそらすフェイントだった様だ。
その手裏剣の後ろではキースがハンドガンを発砲して来たが、上手くサーバーとサーバーの間を低い姿勢で転がって移動。
だがそこを見越していたかの様にキースが一気に接近して来て刀を振り回す。渡辺は咄嗟に後ろにブリッジする体勢で
避けながら素早く上半身を起こして元の体勢に戻り、キーシファイティングメソッドのガードと攻撃を一緒にするスタイルで
接近戦に持ち込む。
でもやはりキースもイギリス最強の特殊部隊SAS出身だけあって非常にやりにくい。サーバーが障害物になっていなければ
自分は負けているだろう、と心の中で思いながらもキースの首を掴む事に成功。
そこからヘッドコントロールで重い頭を軸にしてキースの上半身を回転させ、むき出しになった胸目掛けて肘を5発程落とす。
するとキースのベストの間から何かが落ちた。
(・・・ん?)
気になった渡辺はキースを一旦起こして両手で突き飛ばしミドルキックで更に蹴り飛ばして、キースが落としてしまったで
あろうUSBメモリースティックを拾い上げた。
「くっ…!」
落としてしまったメモリースティックを取り戻すため、威嚇射撃を行おうとハンドガンを構えるキースだったが、
思わぬ乱入者が登場する。