Secret Data Battle第4話
「えー、本当にやるのかよ…気が進まないんだけどな」
「やるしかないんだ。ここまで来ているということはルークたち、ジョルジョたちも倒されたということだからな。
それとも、お前は山のような始末書を書きたいのか?」
「そ、そうじゃないし、俺だってちょっとはVSSEクソくらえとは思ってるけどさあ…給料とかどうすんだよサーバー壊されたら」
「………はぁ……お前…、っと、無駄話している暇はない。エレベーターが来たぞ」
階数表示盤の光は続々と上がっている。ドアが開いたところからは一見見えない位置に立ち、エレベーターが開くのを待つ。
訝しんだ渡辺が確認のため歩き出した瞬間を見計らって、引きずり出そうと二人は突撃した。
ポチッとサーバールームがある14階のボタンを押し、エレベーターに乗り込んで目を閉じて集中力を上げる渡辺。
(もう少しだ・・・・もう少し・・・・)
そうして目を閉じて精神集中していると、チーンと音がしてエレベーターが止まる。
だが目を開けてゆっくりと顔を上げた渡辺の目には、『5F』の文字が表示されているエレベーターの階数表示盤があった。
「・・・・!?」
何で? と思っていた渡辺だったが、ここで止まってしまったら困るとばかりにエレベーターのクローズボタンを押す。
しかし、その瞬間いきなりエレベーターの外側から出て来た手に手首を捕まれて思いっきり引っ張られる!!
「うおおおぁ!?」
手首を引っ張って来たのは何と、あのバーチャシティの時のエージェントの1人で金髪の工学博士の
ウェズリー・ランバート。 そして相棒のアラン・ダナウェイも待ち伏せていた。
「悪いなっ、お前をサーバールームに行かせるわけにはいかないからな!」
「俺の給料のために止まってくれよな!」
「お前まだそれ引きずっているのか!!空気読め!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐVSSEの2人だが渡辺は相手にしていられないので、まずはアランに言い返した直後のウェズリーに
手首を掴まれたままの状況から脱出する為に、ウェズリーの手首を掴み、そこから飛びあがってウェズリーの首に足を絡ませ
プロレスチックに床へと倒す。
次に自分も背中から転がった勢いでウェズリーの腹に手をついて前方回転して、アランにハンドスプリングからの踵落としを
しようとするが上手く避けられる。アランはハンドガンを突き出して来たが、それをまたしてもガードしながらの攻撃で
防御と回避を一緒にしながら懐へと飛び込み、プッと唾をアランの顔に吹きかけて怯ませる。
「うあ!」
怯んだアランの顔面に頭突きをして、ウェズリーが起き上がって来るのが見えたのでアランを突き飛ばして受け止めさせて
動きを封じる。
「ふっ!」
アランのおかげで身動きが取れないウェズリーにも、まとめて2人同時に回し蹴りで側頭部を攻撃してアランを撃破。
残ったウェズリーが体勢を立て直す前に持ち上げて、壁に設置されている消火栓のガラスに背中から全力で叩きつけて終了。
再びエレベーターに乗り込んで渡辺は14階を目指した。
『目的地はその階の通路を左に曲がった先の大きな部屋です。案内を終了します』
(カーナビか、御前は)
心の中で龍皇にそう突っ込みながらも、警戒しながら渡辺は進む。しかしその後ろでは1人の男が背中に手を回している事に
気がついていないまま、サーバールームのドアを渡辺は開けるのだった。