Secret Data Battle第2話


『あれですね?』

「ああ、あれだよ」

金色のドラゴンは気配を完全にシャットアウト出来る為、乗っている渡辺もVSSEの対空レーダーにも

センサーにも感知される事は無い。なのであっさりとVSSEの敷地内に降り立った渡辺は、金色のドラゴンには

空で待機して貰う事にして VSSEの本部へと潜入する。と言っても真正面からは無理なので、地下の下水道から

続く中庭へのマンホールを通ってになるのだが・・・。

(うわ、ここを進むのか)

とにかくサーバールームさえ破壊すればミッションコンプリートなのだが、いかんせん広い敷地。

ここは龍皇の力を借りる必要がありそうだ。

「何処か・・・電気が多く集まっている部屋は無いか? 俺の目指す部屋はかなりの電力を使う筈だから」


その問い掛けに、龍皇の言葉が直接渡辺の頭の中に流れ込んで来る。

『そこからかなり距離があります。大体1キロですね。次の角を右です』

「遠いけど行くしか無いか」

下水の臭いに顔をしかめながら、余り広さの無い地下の通路を渡辺は歩く。

天井には換気用のダクトが張っているので 換気通路の様だが、それにしても臭い場所だ。

コツコツコツと自分の靴音だけが響く通路で、渡辺は龍皇のナビゲートに従って進む。

『そのまままっすぐ道なりに進んで、突き当たりを左に曲がった所に本部の中庭に続くマンホールがある筈です』

そうして歩いて行く渡辺だったが、物事はそうそう上手く行かない様だった。


「おーっと。ちょっと待ってくれる?」

渡辺の行く手を阻むように仁王立ちするルークとマーク。

「キースをどうにかするのには同意だが、うちのサーバールームを壊されるのは困る」

「・・・・・何で俺が来た事が分かったんだ」

かつての仲間が今の敵に。バーチャシティで助けて貰った事は感謝しているが、邪魔をされる訳にはいかない。

VSSEの若手ホープエージェントコンビ、ルーク・オニールとマーク・ゴダートが目の前に立ちふさがった。

「キースとサーバールームにだけ用がある。大人しく道を開ければ俺は何もしないけど」

冷静な口調で渡辺が言うものの、2人は無言でアイコンタクトをしてから腰のハンドガンに手をかける。

それを見て、渡辺は溜め息を1つ吐いた。どうやらここは実力行使で突破するしか無さそうだ。

しかし真っ向勝負では無理なので、渡辺はルークとマークの後ろに目を向けて手を振る。


「っ! しまった、フェイント…!」

後方をちらと見て何もないことを視認したマークが前方に視線を戻すと、その隙に近づいてきた渡辺に銃を取り落とされる。

武器を失った以上は白兵戦で対応するしかない、回し蹴りに切り替える。 ルークも拳による応酬を。

ルークのパンチを受け止めて、そのまま手首を掴んで背負い投げ。その背負い投げたルークをマークにぶつけてダメージを与え、

先に起き上がろうとしたマークをドロップキックで下水に突き落とす。

そして残ったルークのパンチをガードの体勢のまま避けつつ突っ込んで、ガードに成功した所で同時にルークの首に肘を突っ込む。

ガードと攻撃を両方同時に出来る所がキーシファイティングメソッドの特徴だ。


そうして首に肘を入れられて大きく隙が出来たルークに思いっ切りハイキックを入れて倒し、後ろの壁に叩きつけて終了。

「だから言ったんだ、素直に道を開けろとな」

冷静に呟いて立ち去る渡辺だったが、ここに忍び込んでいる事がばれた以上は緩慢な行動はしていられない。

駆け足で突き当たりの角を曲がり、その先にあるマンホールからVSSE本部の中庭へ。

『その先の扉が1階のエントランスに繋がっています。待ち伏せが居るかもしれませんから気をつけてください』

「分かった」

そんなアドバイスを受けた直後、またもやVSSEのエージェント2人が渡辺の目の前に立ち塞がるのであった。


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