Run to the Another World Fighting Stage第4話
リュシアンの指示で放った水魔法は、勢い良く空へ飛んでいった。
そしてその勢いのままドラゴンの翼にぶち当たる。
パアッ!と強い衝撃とともに水しぶきが飛び散った瞬間、魔法とともに翼の元へ向かった種から強力なツルが伸びた。
シュルシュルとドラゴンの翼にツルが絡み付き、バランスを保てなくなったドラゴンはふらふらと落下しはじめた。
「きゃーー!!やりましたよ!!当たっちゃいました!!当てちゃいましたよーー!!」
和美はドラゴンライダーの槍と剣による二刀流を上手くエスクリマのテクニックで裁いていく。
そして剣を持つ右腕を取ってそのまま相手のわきの下を潜り抜けつつ、肩の骨を反対方向にへし折る。
「あがああああっ!?」
ライダーである女の絶叫が聞こえたところで素早く槍を持っている左腕の関節を今度は逆方向にへし折り、
そのままとどめに背骨をへし曲げる。
「ぐぎゃっ!?」
最後に思いっきりライダーの首を捻って絶命させ、彼女の戦いは終わった。
ドラゴンの落下した場所へ走ると、強大なその姿に圧倒された。
「…どうにか動きは封じているがドラゴンなんてどうやって倒すんだ?」
考えあぐねていると、リュシアン以外の2人がこちらまで駆けてくるのが見えた。
「おい、このドラゴ……っ!」
すると、リュシアンの背後にいたドラゴンが尾を使いリュシアンに攻撃をし、無防備だったリュシアンは
和美の方へ向かって吹き飛ばされた。
「わああ!まだこの子動けたんですか!!」
リュシアンを吹き飛ばした勢いで尻尾を振り回し続けこちらを威嚇するドラゴンに、フロレアは警戒態勢をとる。
「うー、私水魔法以外は得意じゃないんですけど…っ!」
くるくると杖を回し、ドラゴンにかざす。「光魔法、ぴよぴよ!!」
パアッと激しい閃光が当たりを包む。その光に目をくらまされ辺りがよく見えなくなったドラゴンは、少し大人しくなった。
和美は飛んで来たリュシアンを上手くキャッチしつつ自分も後ろに飛んでショックを和らげる。
「大丈夫みたいね、だったら後はあのドラゴンだけ!!」
そういうと和美は傍に落ちていた敵兵の使っていた長斧を手にとって、そのままドラゴンに向かって駆け出す。
そして大体の目測でドラゴンに向かってジャンプしつつ、えびぞり体勢で思いっ切りドラゴンの頭に斧を叩き付ける!!
「うおりゃああああああああああ!!」
和美に地面に下ろされて、ドラゴンの尾にあたった衝撃で目を回したリュシアンは怒りに燃えていた。
「わけのわからん世界に来てドラゴンに襲われるなんて……!!許さん!!!」
リュシアンは、倒れている兵の剣をとるとその重みに腕が上がらなかった。
(………重い;;;;いつも使っている城の剣と全然違うぞ!?)
リュシアンは知らなかった。守り役のピヴィアーツォに通常の剣をリュシアン用に軽い剣にすれ違えられていたことを…。
リュシアンは、畑のクワを持っている気持になって剣を引きずりながらドラゴンの方へ向かった。
「ひゃああ!!なんですかなんですかーー!」
ドラゴンを大人しくさせた直後、長斧を構えた和美が勢いよくフロレアの前を横切り、ドラゴンに飛びかかっていった。
それにびっくりしておろおろしていると、そのあとから重そうに剣を引きずり同じくドラゴンの方へ向かってくるリュシアンを確認した。
「え、えーと、これは私もドラゴンに攻撃するべきなのでしょうか…?」
なんてよくわからない考えになりながら、フロレアはその様子をおろおろしながら眺めていた。
ずどんと音をさせつつ、ドラゴンに叩きつけた斧には確かに手ごたえがあった。
そうしてドラゴンの頭から血が噴出し、それを浴びないように和美はすぐに離れる。
「はぁ、はぁ、やったわ・・・・・・」
後ろに下がって絶命していくドラゴンを見ていると、どん、と背中に誰かがぶつかってくる。
それはロングソードをずるずると引きずってきたリュシアンだった。
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