Run to the Another World Fighting Stage第3話


「…っ!」

声につられて上を見上げると、確かにそこにはドラゴンがいた。

しかしすぐ視線を下に戻す。敵兵はドラゴンなど珍しくもないようで、相変わらずこちらに向かって攻撃を続けてくる。

フロレアは攻撃をなんとか避けつつ、上を見上げ固まる二人に襲いかかる敵兵を魔法で退けていく。

(もしドラゴンがこのまま襲ってきたら…私はお二人を守れるのでしょうか…?)


(また・・・ドラゴン・・・・)

何だか縁があるなーと思いつつ、自分の足を踏んだリュシアンを最後の憲兵に投げつけて同士討ちで撃破。

上から迫ってきていたのは大きなドラゴンであったため、和美はある作戦を思いつく。

(何とかしなきゃね・・・だったら!)

和美は走り出し、タイミングを合わせてまずは立ち上がってきたリュシアンの方に飛び乗り、彼を踏み台にしてジャンプ。

そしてドラゴンの足に飛びついた!!


「ぐあっ!!?」

リュシアンは肩を踏まれた反動で地面に倒れた。

「……ゆ…るさん……!!!」

沸々と湧き上がっていた怒りがピークに達して、リュシアンは、服の泥をはらいながらフロレアの方を向き言った。

「おい貴様、先程魔法を使っていたな…他にどんなものが使える?さっさと答えろ」

「ひえっ!?」

いきなりそう訊かれ、フロレアはおもわず変な声を上げた。そして若干どもりながら答える。

「わっわわわ私は水魔法しか使えないです!なんかこう、水がブワーーっとか、バシャーーって感じの…!」

ジェスチャー付きで必死に使える魔法を説明していると、視線の端にドラゴンにしがみつく和美の姿が見えた。

「っていうかリュシアンさん!和美さんをほっといてていいんですか!?」


和美はドラゴンの足にしがみつきつつ何とかよじ登る。

「ぐっ・・・この・・・・!!」

そして何とか背中の部分まで辿り着き、そこに座っている豪華な装飾のされた鎧を着込んだ操舵主の背後から飛びつく。

「らあああっ!!」

その操舵主はどうやら女らしいが、そんな事よりも今は操舵主と共に地面に落下する自分の身を守るため、操舵主を

クッション代わりに地面へ落ちる!!


「あのド阿呆なら大丈夫だろ」

リュシアンは、上を見上げながらそう言うと上着の胸ポケットから一粒の種を出した。

「この種は水をかけてから対象物に当てると、強力なツルが伸びて対象物を拘束することが出来るんだ…あのドラゴンに当てて飛べなくしてやる」

「………だが、あのドラゴンに当てられる自信がない!!!!」キッパリ

そう言ってリュシアンは、自分の力が弱いからとその種をどうにかドラゴンに当てろとフロレアに押し付けた。

「えええ!?私がやるんですか!!?」

結構な難易度のミッションを押し付けられ、フロレアは少したじろいだ。

「…でもでも、これって水をかけてから当てればいいってとこは、水をかけながら当ててもいいってことですよね!」

フロレアはニッコリと得意げに笑うと、笑顔のまま杖をまたくるくるとバトンのように回しピタッと上のドラゴンに合わせて高く掲げる。

「つまり超強力な水鉄砲をドラゴンに当てればいいんですよねぇ?!」


「だあああああっ!!」

上手く空中で身体を半回転させ、和美はドラゴンライダーを下にしながらまっさかさまに落下。

そのまま地面へとドラゴンライダーをクッション代わりに叩きつけ、自分は生き延びる。

しかしドラゴンライダーはまだ生きていたようで、しぶとく和美に襲い掛かってくる。

「あんたに用は無いのよ、死にたいならかかってきなさいよ!!」


「あぁ、それでも可能だ。思いっきりあのドラゴンの翼を狙え!!」

右腕をドラゴンに向けて伸ばし指差した。

それを合図にフロレアが魔法を使った。

「届けぇえええええ!!!!!」


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