Run to the Another World Fighting Stage第2話


「ちょ、ちょっと!! 突っ走ると危ないわよ!!」

和美はフロレアを追いかけようとしたが、いまだにリュシアンが後ろにいるのを見て彼の胸をど突く。

「何ボーっとしてるのよ! 早くあの子を追いかけるわよ!!」

長年培った、今でもまったく衰えることの無い筋力でリュシアンを引っ張ってフロレアを追いかける。

そんな和美は、何か得体の知れない恐怖感に包まれていた。


「きーさーまぁあああ!!!!!このクラブ国の王であるボクを!そんな粗末な扱いで運ぶな!無礼者が!」

リュシアンは思いっきり和美の後頭部を殴った。

意外と力の強かった一撃に和美はよろめき、足を止めて掴んでいたリュシアンの手を離した。

「このド阿呆が!ボクの事は丁寧に扱え!愚民!言っておくがボクは走らない。抱えろ」

リュシアンは手を伸ばして和美に訴えた。その間にフロレアの姿はだんだんと遠ざかっていく…。


フロレアは後ろで二人が一悶着していることなどつゆ知らず、一人で暴走していた。

しかし流石に一人で突撃するには、相手が多すぎた。

すぐさま憲兵団に見つかり、ここらでは見かけない不審者として追いかけられることとなる。

結果、たくさんの敵を連れてフロレアは泣きながら二人の元へ戻ってきた。

「わあああああ!!!和美さーーん!!!リュシアンさーーん!!!助けてくださーーーい!!!」


「へぇ・・・ああそう、王様が人を殴るなんていい度胸じゃない」

和美はお望みどおりリュシアンをマッハで抱え上げる。

しかしその抱え方はまるでプロレスのように両手で頭の上に抱えるものだった。

そしてふと前を見てみれば、フロレアが泣きながらこっちへ戻ってくるではないか。・・・・大量の兵士を引き連れて。

「はっ・・・!?」

このまま真正面からまともにぶつかっても勝ち目は無い。そう感じた和美はリュシアンを武器代わりに兵士達に

投げつけて先制攻撃だ!!


「っ!?丁寧に扱えと言っただろうが!貴様は脳無しなのか!―――って、うわぁあ!!!」

リュシアンは敵に向かって体を勢いよく投げ出され、1人の敵に頭からぶつかった。

「〜〜〜〜っ!!こんのド阿呆怪力脳無し女が!!人を投げるな!」

ぶつけた頭が痛かった。和美に向かって綺麗な顔を怒りで歪ませて叫んだが、よそ見をしていると敵がリュシアンを

狙って剣を振り下ろしてきた。

「!」


「ひゃああ!!」

いきなりこちらに向かって飛んできた(投げ飛ばされた)リュシアンにびっくりして、フロレアは思わずしゃがんで避けた。

おそるおそるリュシアンの方をうかがうと、敵がリュシアンに向かって剣を振り下ろそうとしてるではないか。

フロレアはとっさに杖をバトンにように回すと、水魔法の詠唱を始めた。

「清らかなる流れに…うーん、もうなんでもいいや!とにかく敵の剣を跳ね返しなさーーい!水のバリアーー!」


リュシアンを投げ飛ばし、和美は続いて向かって来た敵の槍をかわして関節技で相手の首をへし折る。

更にその後ろから来た兵士には背負い投げをかまし、更に水のバリアを展開するフロレアに加勢するべくリュシアンを再び持ち上げる。

(こういうときは人間も武器になるのよ!)

リュシアンをまるでダンスのパートナーのようにして抱え、リュシアンの足を使って向かってくる兵士達の攻撃を上手く受け流す。

だがそんな彼女の頭上に、大きな影が迫っていた・・・・。


リュシアンは和美に踊らされ(振り回され)目が回っていた。

「こ、このド阿呆愚民っ!ボクを使うな!!め、目がまわr」

リュシアンは視界が暗くなったことに気づき上を見上げた。

「!!?ドラゴンだ!おいド阿呆愚民!上を見ろ!」

リュシアンは和美の足を踏んで進む足を止めさせると無理矢理上を向かせた。


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