Run to the Another World Another Stage第15話


と言う訳で魔族を倒しつつ、この穴を塞ぐ為の手段を探し出す8人。

これだけのメンバーが居ればすぐに……と思ったが、その捜索活動を邪魔する存在がまた突然現れた!!

「うっしゃー、お前ら、ここが宝物庫だ。宝を奪え!!」

「え、な、何だ?」

聞き慣れない大声と、バタバタと多くの足音が宝物庫内に響くのを唐突に耳にして

捜索活動に励んでいた8人が一斉に宝物庫の入り口に目を向ける。

そこにはティルとセバートと岩村が見覚えのある男達が!!

「あ、あいつは……!」

「なっ、海賊だとっ!?」

「……何でここに居るんだ……」


静かに驚くティル、大きなリアクションをしながらびっくりするセバート、そしてうんざりした様子の岩村。

宝物庫にやって来たのは、城のお宝を狙って城に向かったは良いものの途中で道に迷って

到着が遅れてしまったガルヴァーニ海賊団だった。

そのリーダーであるヴァレント・ガルヴァーニが部下の海賊に指示を出して宝物庫内の

宝を回収し、魔族をせん滅し始める。

部下達はざっと見る限り30人程。

当然宝物庫内のメンバーも黙っている筈が無く、海賊達と魔族達を同時に相手にしながら

戦う破目になってしまった。

シャルロも腰のロングソードを引き抜いて戦うものの、明らかに分が悪そうなので

ジセンがサポートしている。


そして一方の岩村はと言うと、お頭であるヴァレントと対峙していた。

「やっと見つけたぜぇ? お前の手にあるそれはお宝だな?」

岩村の手にあるセドリックのキーをカットラスの先で差し示すが、岩村はヴァレントのしたい事が

分かっているので先に拒絶の意志を示す。

「……しつこい奴だな。悪いけどこれは俺の物だ。渡す訳にはいかない」

それを聞き、ヴァレントはヒュウと口笛を吹いた。

「へーえ、そうかい。だったら力尽くで手に入れるまでだぜっ!!」

この瞬間、岩村vsヴァレントの第2ラウンドがスタート。

ここまで来た執念は認めるが、やっぱりうんざりするのは変わらないので良い加減ケリを付けたい岩村と、

岩村の持っているセドリックのキーをお宝だと思い込んでいるので何としても奪い取りたいヴァレントのバトルだ。


シヴルが自分にロングソードを突き刺した時の様なあの超常現象が、このヴァレントとの

バトルでも再び起こるとは限らない。

なので岩村は気合を入れて立ち向かう。

しかしカットラスを振って先に飛び込んで来たヴァレントを避けた岩村に、思わぬ衝撃が

襲い掛かって来る。

「ぐわ!?」

ヴァレントが岩村にカットラスでは無く、自分の大柄な身体を活かしてタックルをかましたのだ。

しかし岩村もこのまま黙ってやられる訳には行かない。


タックルをかまされて倒れた岩村の手には、財宝の1つである王冠が当たったので

それを引っ掴んでヴァレントの顔を殴る。

「ぐぅ!?」

ヴァレントが怯んだ所で岩村は王冠を投げ捨てて飛び膝蹴り。

更にローキックからミドルキック。そのミドルキックはヴァレントの股間を蹴り上げた。

「がぁ!」

「おりゃあ!」


ヴァレントの肩を掴んで、勢いのまま膝蹴りをする岩村。

そのままハイキック、ミドルボディブロー、更に回し蹴り。

間髪入れずにヴァレントの顔目掛けて2発右と左のパンチ。そして再び回し蹴り。

その蹴りはヴァレントの腹に食い込み、ヴァレントは後ろの壁に吹っ飛ばされる。

「ぬおおおおっ!!」

岩村が追い打ちを掛けるべくヴァレントに向かって来るので、その光景を見たヴァレントは咄嗟に

傍にある大きな宝石を手に取って投げつける。

「うおっ!?」

そのまま岩村が怯んだ所に前蹴りを食らわせ、カットラスを振り被る。

だが岩村は太極拳で培った反射神経で、逆にヴァレントの腹と顔に左手で連続でパンチをお見舞いする。

それでも隙は必ず出来るので、ヴァレントは岩村の一瞬の隙を見逃さずミドルキックを

繰り出して彼を吹っ飛ばす。

「ぐは!」

今度は岩村が壁にもたれかかって崩れ落ちる。


その岩村がふと見つけた物は宝石の沢山詰まった箱。とりあえずそれを岩村は武器として投げつける。

しかしヴァレントは飛んで来た宝石箱を間一髪で避け、ダッシュで岩村の元へ。

立ち上がりかけた岩村に向け、カットラスを使うと見せかけてフェイントで強烈な前蹴りを繰り出す。

これには流石の岩村も反応出来ず、もろにそのヴァレントのキックを食らってしまう。

そうして床に倒れ込んだ岩村の腹に、ヴァレントは更に蹴りを入れる。

「ぐぁ!」

そのままヴァレントは間髪入れず、自分のカットラスを大きく頭の上に振りかざす。

「おりゃあああああ!」

(やべ……!)


力を振り絞って何とかそれを避ける岩村。

そのままヴァレントに足払いを掛けて倒し、マウントポジションを取って殴りつける。

「っ!?」

「このっ……このぉ!!」

成す術無くヴァレントは殴られ続け、そのヴァレントの襟首を掴んで強引に立たせる岩村。

そして最後に、精一杯の左ストレートを岩村はヴァレントの顔面に叩き込んだ。

「があ!?」

かなりの勢いで殴った為、岩村の左手にも痛みが走る。

(うぐっ!)

手をブンブンと振って痛みを逃がすと同時に、ヴァレントが地面に大の字になって倒れ込んで

気絶したのを見てバトルが終わったんだと実感する岩村。


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