Run to the Virtua City with VSSE Agents Story第8話


「了解っと。んじゃ、行くぜ!」

言い終わらないうちに真っ先に駆け出したのは勿論ルークだ。

案の定、通りの物陰から兵士が飛び出してくる。

やっぱりな、と予測していたため、反射的に撃ち抜いていく。

「まあ、こうなると思ったが」

すぐに飛び出す相棒の性格をわかっているため、自分はその背後のサポートに回る。

後ろに身体を反転させると、数は少ないがやはり兵士が見える。冷静に撃ち抜いていった。

レイジとスマーティはVSSEの2人に前後を任せ、レイジは左、スマーティは右側で左右をカバーする事に。


しかし、飛び出して来たのは武装した集団だけでは無かった。

その集団に混じって民間人も人質に沢山取られてしまっていた様で、誤射でもしてしまったら大変だ。

自分達が使っているハンドガンのガーディアンはVSSEの2人が使っている銃器類とは違い、普段はスタンガンの

役目を持つスタン弾と、生物以外を撃った時に破壊力を増す普通の銃弾に瞬時に切り替わると言う優れ物だ。

ただ自動的に銃弾が切り替わるのはゴーグルを着用している時だけであり、ハイテク装備を嫌うレイジは

スマーティとは違ってゴーグルを着ける事をせず、マニュアルセレクターで手動の切り替えを瞬時にしているのだ。

年齢が上がるに連れてやはり体力の衰えや反射神経が落ちて来てはいるものの、それでもVSSEの若手2人には

まだまだ経験の差等で遅れはカバーできると自負しているバーチャコップの2人。


(世代交代にはもう少し待って欲しいもんだな!!)

レイジは心の中でそう叫び、ビルの陰から射撃して来る兵士に上手く銃弾を命中させる。

(この人数の多さは只者では無さそうだ。しかし、考えを変えてみれば何処に敵の本拠地があるかが分かる)

第2分署のみならず、全バーチャシティポリスの中で彼に敵う者は居ないとされているその射撃テクニックは今でも

衰えないスマーティ。そんなスマーティはビルの2階の窓に居る敵を正確に撃ち抜きつつ、冷静に敵の居場所を分析していた。

(敵が多く出て来る方向を探って行けば、おのずとその先に敵のボスが居る確率が高い!!)

そう考えたスマーティが目線だけで見つめた方向。それは、バーチャシティの地下を走る高速地下鉄道、ジオメトロの入り口だった。


人質がいるというシチュエーションでの戦闘は何回か経験済みだが、慣れるものではない。

(つうか、慣れてもなんか嫌だけどな)

慎重に、だができるだけ兵士のみを撃っていく。

所属する組織は違えど、左右を固める二人のベテランの存在に、マークは助けられているのを自覚した。

(まだまだ、俺も経験が足りない、か)

自分が経験があるなどと驕りはしないが、技術に対する自信はあるつもりだ。

ふと、マークが後方を向いたまま左側を見ると、スマーティがじっと地下鉄の入り口を見つめていた。

兵士に対処しつつ時折自分もそちらを見ていると、どうやらそこから兵士が現れているようだった。

(もしかして、あそこに向かえばいいのか?と、すると)

前方を先行している相棒の姿を見る。このままだとあいつは素通りしかねない。


「ルーク!」

大きな声で呼び、振り返った相棒に銃で地下鉄の入り口を指し示す。

にやりと笑って片手を上げる姿を確認し、まずは目の前の敵を片付けることに集中した。

ルークも前方の敵を片付け終わったようで、やはりというべきか一足先に地下鉄入り口へと走っていくのが見える。

「先行ってるぜぇ!」

「………」

この先に何があるかもわからないのに、先行するのは哀しいかな慣れてしまった。 顔を見合わせて残されたマークを

きょとんとした顔で見るレイジたちに肩を竦めて応え、自分も後を追って地下鉄へと 向かっていった。


「何か、昔の御前みたいだな」

「確かにそうだなー。俺もあいつ位の時はとんがってたっけ」

スマーティがぼやくように言えば、それにレイジが同意する。初めて顔を合わせた時に殴り合いをしたのも遠い昔の話だし、

スマーティにレイジが突っかかって行って軽くあしらわれていたのも昔の話。そんな時代があってから、2人は徐々に

幾つもの事件を解決して行く中で信頼関係を築き上げて来て、今ではバーチャシティと言えばバーチャコップありと

言われるまでになった。

「マークも大変だな」

昔の暴走気味なレイジに苦労していた自分とマークを重ね合わせ、苦笑いしながら先行するルークに続いてマークと一緒に

レイジとスマーティも地下鉄へと乗り込んで行った。


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