Run to the Virtua City with VSSE Agents Story第6話
(こ、こっちに来る!!)
何故だ、一体何故なんだ。自分はただ単にドリフトの大会に出る為だけに、わざわざ日本から
バーチャシティまでやって来たと言うのに。何でバーチャシティに来るとこうして事件に巻き込まれるのか。
(そもそも弘樹もバーチャシティで以前事件に巻き込まれたって言うし、このバーチャシティ自体と
俺達の相性って相当悪いんじゃないか!?)
そんな事を考えながら陽介は、とにかく近付いて来る連中の様子を窺う。
(数は2人・・・? でも、さっきの連中を倒している様な気がする・・・ああでも、別の奴等が
この情報を狙いに来たのかもしれないし!!)
今はとにかく、自分の車まで行ければ何とかなる。しかし自分の180SXは身を隠す為に降りてしまって
港の入り口側に止めっ放しだ。キーを引っこ抜いてきたので盗まれはしないだろうが、さっさと弘樹と合流して
ホテルへと戻りたい。
そもそもなんで、自分が今握っているこのマイクロチップを手に入れたのかと言うと・・・・?
(何で俺等、あの時ピザ屋に入ったんだよおおおお!?)
弘樹と一緒にピザ屋に入ったは良い物の、そこでいきなり銃撃戦に巻き込まれた。
そして1人の男がマイクロチップをそれぞれ弘樹と陽介に手渡してきて、「これを頼む」と言われた直後に
男が撃たれてしまい、何が何だか訳が分からないままとにかく弘樹と陽介はそれぞれ180SXとRX−7で逃げた。
だが、その途中で敵の待ち伏せや襲撃にあってしまい、やむなく2人で別行動。良くも悪くも自分達の車は目立つので、
ひとまず180SXの機動力を活かして港に逃げ込んで来た。
(ちっきしょー!! こうなったらとことん逃げるしか無い!! 弘樹に電話しようにも電波が届かないから無理だ。
とにかく、何とかして180SXまで辿り着かなきゃあ!!)
そう思った陽介は、今まで高校の社会科教師と言う身分を利用して学校の敷地を利用して培って来たフリーランニングの
テクニック、それからディールに教わった近接格闘テクニックを信じ、まずはコンテナの上へと身軽に飛びつく。
そうしてコンテナの上から銃声のする方向を身を屈めながら確かめる。
(2人相手なら逃げ切れるかもしれないな。ここはコンテナが密集しているし、何とかなりそうだ!!)
そう考えた陽介は2人に気が付かれない様に、更にコンテナの密集地帯へと向かって振り切る為にコンテナの上から
ジャンプして飛び降り、ダッシュで駆け出した。
粗方周囲の兵士を片付け終わった頃、後続が現れず、二人のいる場所とは別方向に兵士が駆けていくのが見えた。
「…なあウェズリー、あいつら、なんか追えとか言ってないか?」
「そうだな…俺たちよりも、あちらを優先しているようだ。様子を見てみたほうがいいかもしれない」
「そうだよな。陽介たちかもしれないし。キャサリン、場所は?」
地形が入り組んでいるため、彼女のサポートが不可欠だ。
「そのまま右へ。…その次の角を左、さらに右よ…そのまま真っ直ぐ…これなら回りこめるわね」
ナビゲート通りに進み、前方に望み――かどうかはわからないが、少なくとも兵士ではない人物が見えた。
「いたぜっ!お前――」
「くっ!」
見つかった。ヤバイと感じ、素早くそばのコンテナに飛びついてよじ登る。
そこから今度はコンテナからコンテナへと向かって大ジャンプ。フリーランニングはジャンプ力が縦にも前にも命だ。
後ろからは威嚇射撃をして来るので、振り返らない。振り返りたくない!!
(もう戻れない。後戻りする余裕なんて無い。自分を信じて、迷いを捨てたらただ真っ直ぐに!!)
何処かで聞いた歌の歌詞を思い出しながら、陽介はその歌詞通りにただひたすらフリーランニングで突き進む。
コンテナにかかる梯子を素早く上り、そこから2段下のコンテナに思いっきりジャンプして飛び移る。
更にそこからまたコンテナへと大ジャンプして、後ろの2人との距離をどんどん引き離して行く。
(確かもうすぐだ!! もうすぐで俺の180SXを停めている場所がある筈だ!!)
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