Run to the Virtua City with VSSE Agents Story第13話
やはりというべきか遠くから怒声が飛び、ルークは悪いなー、と遠くから苦笑を飛ばした。
「何やってるんだお前はっ」
「ぁいてっ」
周囲の敵を掃討し終わったマークが頭をはたく。
「だって手助けしようと思ってさぁ」
「もう少しタイミングを考えろ…と、あいつが逃げるぞ!」
他の6人も対処が終わったようで、同時に顔を見合わせ男を追うが、それを阻むように前方から兵士が出現する。
「ちょっと、出るなら一気に出てくれねえかなあ!?」
連続した戦闘による疲労で気分がささくれ立ち不満を洩らすアランだが、ウェズリーが男を見咎める。
「あいつ…あれはなんのレバーだ?」
何かを操作しているようだが、何かが起きる気配がない。
男も想定外だったようで、戸惑いながらも何度もレバーを操作している。
「・・・何故だ・・!?」
ガチャガチャと何度も何度もレバーを下ろすが、レバーの操作で開く筈の天井のドームが開かない。
天井が開かなければせっかくのミサイルも発射する事が出来ない。
男は焦りの表情を見せながら戸惑うが、そこに復活して来た弘樹が突っ込んで来る。
「りゃあああああ!!」
レバーの操作で反応が遅れた男は弘樹からのキックをモロに食らってぶっ飛び、ぶっ飛んだ所で体勢を立て直すも
今度はそのすぐ近くにいた陽介が駆け寄ってフリーランニング仕込みのアクロバティックな空中回転回し蹴りを男の側頭部へ。
「ぐがあ!」
最後にもう1度駆け寄って来た弘樹が、陽介に胸倉を掴んで引き起こされて肘打ちでぶっ飛ばされてきた男を打ち返す感じで
思いっきり頭部目掛けてドロップキック。
そうすれば、頭部に多大な衝撃を加えられた男はそのまま気絶してバーチャコップとVSSEの方へとぶっ飛んで行った。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・往生際が悪いんだよ、このボケ」
これでようやく、1つの事件に終わりが告げられる事になったのだ。
なんとか兵士を片付け、奥へと向かっていると、ちょうどと言うべきか弘樹に蹴り飛ばされた男がこちらへ転がってきた。
「全く、手間をかけさせてくれたな…」
気絶はしているだろうが、念のため銃を構えつつ男に近寄るレイジ。
しばらく反応がなかったため、スマーティが地上に応援を要請した。
応援が来るまでの間、暇を持て余したルークとエヴァンが弘樹たちのもとへやってくる。
「いやー、さっきは悪いな!いけるかと思ったらタイミング間違えてさあ」
反省はしたのだろうが、それを感じさせないあっけらかんとした謝罪。
エヴァンが目の前のミサイル群、さらに上の開閉式の天井を見ながら呟く。
「にしても、これを発射しようとしてたのかねえ、さっきは。なんで開かなかったんだ?この上になんかあったか?」
「えー?なんか停まってたんじゃねえの?車とか」
「あ、だったら間抜けだよなあ!それのおかげで計画失敗とか」
そんな話をVSSEのメンツがしている時に、ふと弘樹と陽介が1台の車に目を止める。
「あれ、このコルベット・・・確か・・・」
「渡辺の車じゃないのか?」
VSSEとバーチャコップのメンツが話している場所から少し離れた所で2人が黒のC5コルベットに注目していると、
その車の持ち主が怪我の治療を終えてやって来た。
「ああ良かった、俺のコルベットは無事だったか」
「やっぱりそうか・・・・でも、何でこんな場所に停めたんだ?」
陽介の質問に、渡辺は苦い顔をしながら答える。
「いや・・・停めたくて停めた訳じゃなくて、いきなりここでさっきの集団に誘拐されたんだ。
だからキーもそのままにここに置きっ放しだったって訳だよ。とりあえずここは邪魔だから移動して良いか?」
「そう・・だな」
いかにもアメリカンスポーツカーらしい、チューニングされたV8エンジンの野太い音を響かせながら渡辺がコルベットを動かす。
しかし次の瞬間、渡辺がコルベットを動かした場所がゆっくりと左右に開き始めた!!
Run to the Virtua City with VSSE Agents Story第14話へ