Rescue request of a dragon第39話


銃撃された残りのメンバーとドラゴン達も行動を起こす。

街に出ると厄介な事になりそうなのでこの敷地から出ない様にして

それぞれのドラゴンに変身して貰い、そこからバラバラに分かれて

とにかく狙いを定められない様にするのだ。

戦える者は戦い、あまり戦いに自身が無い者は広大な敷地の何処かに隠れる。

元々軍事施設だっただけあって敷地の内部には様々な隠れる場所が

存在しているし、広さも並大抵では無いので1度隠れたら探し出すのも大変そうだ。


あの倉庫の前においては1番接近戦が得意なグラルバルトが、絶対に倉庫の中に

部外者を入れない様に本来のドラゴンの姿でブロックしている。

『異世界の人間達の実力、見せて貰おうか……』

更に上空においてはレッドドラゴンのエルヴェダーとグレードラゴンのセルフォンが

翼や魔術を使って火と風を起こして、飛んでいる6機のヘリコプターの姿勢を乱す。

『おらおら、そんなもんかぁ?』

『某達竜族の実力を甘く見て貰っては困る!』


そしてジャネットとカランザが乗っているバーチャコップ専用の小型輸送機の相手は

グリーンドラゴンのアサドールに任せる事になった。接近戦は苦手なアサドールでは

あるが、それでもこの巨体を生かして縦横無尽に輸送機の周りを飛び回ってかく乱しつつ威嚇する。

『我輩達の邪魔はさせるものか!!』

「何なのよ、あれは……!!」

「くっ、こんな未確認生物を何体も相手にする事になるとは」

輸送機の中に居るジャネットとカランザは目の前の光景が夢では無い事を確かめた上で、

何とかしてこの状況を抜け出す方法を考えていた。


この輸送機にはただ輸送するだけではなく、令次と弘樹がロックオンされた様に

砲撃の機能も搭載されている。

しかしアサドールが縦横無尽に動き回っているので狙いが定めにくいし、狙いを定めずに

砲弾を乱射する訳にもいかない。

むやみに乱射して地上で戦っているメンバーに当たったりでもしたらそれこそ本末転倒だ。

『後は頼むよ、異世界のみんな……』

そんな状態のジャネットとカランザが乗る輸送機をかく乱しながら、地上を見つつアサドールが呟いた。


その異世界の人間達はブルードラゴンのシュヴィリスと共に、自分達を追い掛け回して来た

バーチャコップとVSSEのエージェントと、現在は敵となっている首都高と街道サーキットの

走り屋達とのバトルを繰り広げる。

しかしその中には戦わずに早々に隠れた人物も何人か居るし、なるべく戦力を分散させる為に

他のメンバーと大きく離れて戦っている。

つまりこの基地跡の敷地内の地上のほぼ全域がバトルフィールドになっているのだ。

『えいっ!!』

不利になっているメンバー達を援護する様に、水を撒き散らすのは避けてドラゴンの武器にもなる

突風を翼で巻き起こしてシュヴィリスは行動する。魔術で水を大量に撒き散らす事も出来るが、

それによって自分達の味方側の異世界人達も一緒に流される確率が高いので使えないのが現状なのだ。


バーチャコップに対しては公務執行妨害になってしまうし、VSSEと交戦するのも避けたいので

とにかく見つからない様にして逃げているのは岸、岩村、由佳の3人だ。

「くっそ……後残り何分だ?」

「後は……2分20秒って所だ」

「5分って結構長いわね」

アインシュタインの相対性理論が、今になって何となく分かる様な気がしていた3人は

1つの倉庫の中に身を隠している。


そして洋子、陽介、ハールのメンバーもまた別の倉庫の中でじっと外の様子を窺いながら身を隠していた。

「魔力が全部注入出来れば、私達は……」

「そうとも! だから早くしてくれ……タリヴァル、イークヴェス!」

「ウチ等はこれが終わらないと帰れないんだからね……!!」

早くこの戦いが終わって欲しいと言う事で、ひたすら時が過ぎるのを時計をチラチラ見ながら

3人も確認している。そして外の戦いも盛り上がって来た所で、いよいよラストのフィナーレを迎える事に!!


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