Rescue request of a dragon第40話(最終話)


ようやく魔力の貯蔵が終わり、思わずタリヴァルが叫ぶ。

『魔力の貯蔵完了だ!!』

『全てのドラゴン達よ、余の元に集まれ!!』

その念話をイークヴェスが他のドラゴン達に飛ばし、隠れている

メンバー達にも出て来る様に念話を飛ばしてからそれぞれの

ドラゴン達の背中に乗ってあの倉庫の前へと集まる。

『早くしないと奴等が来る!』

『大丈夫だ、後はこれをこうして……良し、卵を置け!!』


エルヴェダーに急かされながらもタリヴァルが最終調整をして、ドラゴン達が

倉庫の中央付近に卵を集めると、何とその卵が眩い光を放ちながら

倉庫の中から消えて行くでは無いか。

「や、やった……!!」

「良し、これでミッション終了だーー!!」

地球に転送されてしまった卵を無事にヘルヴァナールの世界へと持ち帰ると

言うミッションは、これにて無事達成されたのであった。


だが、まだドラゴン達とそのドラゴン達の波動を持つ異世界のメンバーには

やらねばならない事が残っているのが明白だった。

『さて……こいつ等との決着はどうするんだ?』

グラルバルトが、自分達の波動を持つメンバーに問い掛ける様に独り言を漏らす。

今転送を終えたばかりの倉庫の目の前では、異世界との関わりがある35人の

地球人と元の姿に戻っているドラゴン達の連合軍と、バーチャシティ警察特捜課の

バーチャコップと国際特殊諜報機関VSSEとその関係者、そしてそのグループに

入っている首都高と街道サーキットの走り屋達のグループの連合軍が対峙していた。

ちなみに、これ以上は危険だと言う事でG.H.O.S.T.のヘリは撤収したらしい。


とにかく黙って睨み合っていても話が進まないので、異世界グループからは7チームの

それぞれのリーダーとドラゴン達のリーダーであるイークヴェスが歩み出る。

「俺達のミッションはもう終わった」

「つまりこう言う事だ。俺達はここでこうするだけだったんだぜ?」

「後はこのドラゴン達が元の世界に帰るだけですよ」

「それだけだから、もうあなた達が私達を狙う理由も無いと思うわ」

「俺等ももう追い掛け回されるのはこりごりだ」

「ここでお互いに、全てはっきりさせた方が僕は良いと思うけど」

「もう俺達には逃げ場が無いしな……」

『研究対象にされるのは気が進まないのだがな……そこまでして余達の秘密を探りたいか』


それに対して連合軍側からはバーチャコップのリーダーであるカランザ、VSSEのエージェント達の

リーダーでリチャード、街道サーキット組から木下、首都高サーキット組からスティーブ・ブライソン、

名古屋の5人のボスから西山がそれぞれ代表で登場。

「ここまでされて、私達もこのまま……と言う訳には行くまい」

「ああ、俺達VSSEは直接被害を受けた訳だからな」

「ここまで関わったんだし、こんな経験そうそう出来るもんじゃないから最後までつき合わせて貰うぜ」

「まさかドラゴンがこの世に現れるとは思っても居なかったからな」

「それに俺達も、ドラゴンの生態とか異世界の事とかには興味が大有りなんだよ」


どうやら、もう答えは出ている様なので異世界人を代表してハリドがイークヴェスに問い掛ける。

「……すまないが……検査だけでも付き合ってやってくれないか?」

『そう言われてもだな……この世界で余達の事が公になるとまずくは無いのか?』

渋い顔をするイークヴェスが連合軍に問い掛けると、それにカランザとリチャードが答える。

「確かに公になるとまずいが、その辺りの機密保持はしっかりやらせて貰う。G.H.O.S.T.にしっかりと根回しもする」

「もし調べさせてくれると言うのなら、今回の件は全部見なかった事にしても良い」

暗に御前達は断る事は出来ないと言うリチャードのそのセリフに、イークヴェスもため息を吐きつつ一応確認。

『余達の身体をバラバラにするとか言うのは無しだぞ? その時は余達全員が本気で潰しにかかるからな』

「それは無い。約束する」

「それから異世界、とやらについても教えて貰おうか……時間の許す限り、たっぷりと」


こうして結局は、検査する場所がVSSEの本部内からバーチャシティ内の研究所に

変わっただけになった。勿論、ドラゴン達だけで無くそのドラゴンと関わりの深い35人と

その他のトリッカーや首都高の走り屋達も全員が参加する事になった。そして最終的に

空港関係や不法入国の取り消し等でも色々1週間程バタバタしてしまい、ドラゴン達は

軍事基地跡の卵を送った倉庫からヘルヴァナールへと帰り、バーチャコップとVSSE以外の

全員も大幅にスケジュールをオーバーしての帰国となったのであった。



「Rescue request of a dragon」 


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