Rescue request of a dragon第37話


「開けてくれ」

『ああ、待っていろ』

閉鎖されているゲートを人間の姿に戻ったタリヴァルが内側から開け、少し手前で

タクシーから降りた10人はそのままスタスタと歩いて敷地の中へと入って行く。

「それで魔力を感じる場所はあるのか?」

『ああ、それなんだが……地上では無いみたいだな』

そう言うタリヴァルの後に続いて広大な滑走路部分を歩いて行くと、ある1つの

格納庫の入り口前に辿り着いた。その格納庫前には地下に戦車を格納する

エレベーターが存在していたが、今はもう動いていない。


『ここだ……ここから強い魔力を感じるぞ』

「ここって確か、前に俺達があのドラゴンと戦った場所だろ」

「日本でゲームプレイしたから覚えてるけど、あの当時の新型戦車が出て来た場所よね」

流斗と恵がそれぞれそう思い出している内に、タリヴァルは魔力の出所を辿って

その格納庫の中に入ろうと扉に手をかけたまでは良かったが……。

「お、おいっ!? 何だあれ!?」

そんなアレイレルの声が聞こえて来たかと思うと、彼の指差す方向に招かれざる物体が

浮かんでいた。


「あ、あれは!!」

「げっ、あれってまさか……!!」

それはバーチャコップ専用の小型輸送機であり、弘樹のRX−7と令次のインプレッサが

かつてロックオンされた経験もある。その小型輸送機を見た事がある令次と弘樹がそんな

声を上げると、それに呼応するかの様にゆっくりと地上にその小型輸送機が下りて来て、

中からバーチャコップのレイジとスマーティとジャネット、そしてカランザ主任に加えて由紀、隆、

木下の3人も姿を現した。


「そこまでだ、全員動くんじゃねぇ!!」

「一体ここで何をするつもりだ?」

「しかもここは立ち入り禁止になっている筈よ?」

「そう言う訳だ、大人しくしてくれ」

「どうやらあなた達もここまでの様ね」

「俺達は今回はバーチャコップの味方だ」

「さぁ、ここで大人しく観念するんだな!!」

レイジとスマーティはガーディアンKを、ジャネットはG36Cを構え、カランザは腕組みをする。

その後ろでは一応街道サーキットのトリッカートリオも空手の構えで身構えていた。


まさかのまさかで、これから全てのクライマックスを迎えようとしていた所に意外な乱入者が!!

「ちょいと待ってくれよ……どうやら、昨日のドラゴンとの関係がありそうじゃないか」

「へ?」

そのセリフは、2日前に別れた筈のあの3人組の内の上原隆の物であった。

「な、何の事だよドラゴンって。しかも何でこんな所に居るんだよ?」

そう問い掛けた岸だったが、隆は腕を組んで10人を睨み付ける。

「シラを切るつもりか。だが……俺達は全て見てたんだぜ?」

「はっ? どう言う事だよ!」


この時点で明は嫌な予感がしていたが、その予感がどうやら的中したらしい

セリフを今度は由紀が喋りだした。

「昨日あの警察署で、あなた達の事を怪しいってバーチャコップの人達が

やっぱり思っていたらしくて。それであの後私達がジャネットさんとカランザ主任に

呼び止められて、貴方達の事を尾行する様に言われたのよ」

「そ、それってつまり……」

愕然とした声色の和人に今度は木下が続ける。

「そう言う事だ。まさか1日何もせずに観光した時は尾行を止めようとまで思ったが、

止めなくて正解だったみたいだ。真夜中に港でこそこそとしていたのも、その長い髪の

奴がドラゴンに変身した所も全てこのバーチャコップに伝えてある」


そう言われて、タリヴァルは地球人達の視線が自分に注がれる事に困惑しながらも

冷静に言葉を吐き出す。

『幻覚かもしれないだろう……? 我がドラゴンだと?』

「ああそうだ。証拠はここにあるんでね!」

そう言いながら隆が取り出した物は、今の時代の地球にふさわしいタブレットで録画した

あの変身シーンの動画だった。

「俺達もまさかと思ったが、まさかこんな現象が起こっているとはな」

「しかも俺達の街で、だ」

「これは取り調べのし甲斐がありそうね」

「ああ、前回の時よりも更に、な。と言う訳でまた第2分署まで来てもらおうか……容疑者として」


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