Rescue request of a dragon第35話


「動くな、そのままじっとしてろ」

「妙な真似はするなよ?」

「えっ……?」

突然背中に何かを突きつけられた隆はきょとんとするが、隆の向かい側で

その光景を見ていた弘樹と明が驚愕の表情を浮かべる。

「あっ、あんた等は……!!」

「バーチャコップ!!」


隆の背中に突きつけられていたのは銃口でも何でも無く、レイジの

人差し指であった。

「おおう、びっくりした!! 何だよあんた等。いきなり……」

そんなリアクションを取る隆にスマーティが口を開く。

「久しぶりだな。それに懐かしい顔も居るとは。こんな所で何をしている?」

「何って俺達は……」

しかしそんな隆をレイジが手で制する。

「せっかくだ。特捜課のオフィスに来いよ。余り部外者が署内をうろつくのは

感心しないが、今回だけは特別だ」


と言う訳で8人はバーチャコップと一緒に第2分署特捜課のオフィスへと向かった。

そこで8人はそれぞれの関係、それから以前の事件でそれぞれのチームが

バーチャコップと関わりを持った事を話し合った。

「成る程な、木下君は空手家だからジャンを使ってたって訳だ」

「ああ。だが聞いての通り俺は耳が聞こえないから画面だけ見て判断するしか無くてな。

真由美さんも1からサラを使ってるだけあって強いんだな。俺は4から始めたが」

「どうもありがとう。それより3人は何でこの街に?」

「俺等はRDSの帰りなんだよ」


それを聞いた弘樹が反応する。

「え? RDSって確かロシアのドリコンだろ?」

「そう。それに俺等は出場して来たって訳さ。でもまさかこうしてまたサーティンデビルズの

メンバーに出会えるなんてな。それにバーチャコップの皆さんも本当に久しぶりだよ」

「ええ、確か以前の事件が7年前だったからそれ以来ね。懐かしいわ」

ジャネットがその事件のデータを調べながらしんみりとした声を出した。


次に主任のフランク・カランザがふとこんな事を言い出した。

「それにしても日本人はみんな空手を習っているのだな」

「えっ?」

「そうなの? 俺達は真由美と明以外は違うけど」

きょとんとする岸と弘樹だったが、その空手云々を説明し出したのは由紀だった。

「その時の事件の2ヶ月前から私と隆君は空手を木下君に教わっていてね。

それでその事件の後にもっともっと強くならなきゃって思って、もう空手暦7年になるわ」


由紀がそう言ったのを聞いて納得する岸と明だったが、ここでスマーティがこんな

質問をして来た。

「そう言えばそっちの5人は何でこの街に?」

「俺達? 俺達は……観光だよ。また来て見たいって思ってな」

だがそう答えた明に、1番先に疑問を感じたのがジャネットだった。

「何か今、答え方に間があったわね」

「そ、そうか? いきなりそう言われたらちょっと考えちゃうぜ、俺だって」


そう答える明だったが、この後の会話を強引に終わらせようと岸が続ける。

「僕達もこれからまだ観光するよ。別にそっちに迷惑かけるつもりなんて無いし」

無難に話を纏めたつもりだったが、レイジことマイク・ハーディから次にこんな一言。

「1つ聞くが、ホテルは取ったのか?」

「え? いや、まだだけど……」

「その割には随分と軽装だな? 荷物も少ないし……」

弘樹の答えにそんな疑問が湧き出て来るバーチャコップと街道の3人に、段々とやばい

雰囲気を感じ取るSpeed Produceの5人。


だがその時、オフィスに備え付けてあるスピーカーから放送が鳴り響いた。

「事件だ! すまないが俺達は行かなければならない」

「あ、ああ分かった。それじゃあ俺等も退散するよ」

バーチャコップの出動を要請するその放送で、Speed Produceの5人は何とかギリギリで

本来の目的がばれずに済んだのであった。

「仕事中に邪魔したな。それじゃあ俺等もこれで」

「ああ、楽しんでな」

ジャネットとカランザに見送られ、8人はまたそれぞれのグループに分かれる。


「危なかった……間一髪だったな」

「全くだぜ、冷や冷やしたぞ……」

明と弘樹がホッと胸を撫で下ろすそばで、岸がこれからの予定を令次に尋ねる。

「それで令次、これからどうする?」

そう問われた令次はある1つの結論を導き出した。

「そうですね……あえて今日の夜は卵を探索に行くのは止めましょう。俺達の事は

何処で見られているか分かりませんから。あえてここは1日置いて、明日の真夜中に

港へと向かいましょう」

Speed Produceのリーダーの提案にメンバーの4人は従い、その日はホテルへと向かうのであった。


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