Rescue request of a dragon第30話


「リチャードからの許可も下りたし、そんなに知りたいなら教えてやるよ。あいつ等は……幽霊だ」

「幽霊?」

ゴーストと言う単語に戸惑うメンバーだが、その中で兼山がある事を思い出した。

「あっ!?」

「うわびっくりした、でかい声出すなよ!!」

隣のグレイルからクレームを受けたが、そんな事は気に留めずに兼山は続ける。

「まさかあの集団って……G.H.O.S.T.か!?」


その単語を出した兼山だったが、他のメンバーは戸惑うばかりだ。

「え、何そのゴーストって?」

「G.H.O.S.T.って言うのは特殊部隊。日本でもゲームになってる。とにかく

エリート中のエリートを集めた特殊部隊の集団だから恐ろしいぜ」

兼山の説明に仁史が頷いた。

「良く知っているな。つまりVSSEはそのG.H.O.S.T.にあんた等の捕獲と

ドラゴンの捕獲を依頼しているんだ。そうだろう……リチャード、ハックリー、ネイト?」


そう振られたリチャード、ハックリー、ネイトの3人が10人の元に近付いて来た。

「VSSEのエージェントだけでは限界があるからな。だからG.H.O.S.T.に頼んだ。

仁史とは偶然オーストラリアで出会った。彼はVSSEに協力していた過去が

あったから、今回は御前達に近付いて捕獲のチャンスを掴む為に協力して貰った」

そう言われて、孝司達5人は仁史を睨み付ける。

「って事は、最初から俺等にスパイとして近付いたのか!」

「ああ、もう誰も信用出来ない……」

「ふざけんなよ、マジで……」

「あーあ、イリュージョンBも落ちたもんだぜ!」

「けっ……」


そんな5人に対して仁史は無視を貫き、和美に今度はハックリーが話を振る。

「それで、あんたからも要求があるって言ったな?」

会話の続きを振られた和美は、今度は自分の要求をVSSEに喋りだした。

「私達からの要求は1つ。後ろに居るこのドラゴンと一緒にここからこのまま見逃して貰う事だけよ。

何度も何度も言うけど、これで最後よ。私達は本当に何もしない。このドラゴンを異世界に

帰す為だけに行動しているのよ。そっちもこのドラゴンを調べるのは諦める事ね。まだ他のドラゴンが

今何処に居るのかも分からないし……」

「嘘をつけ」

そこまで言いかけた和美に思わぬ方向から声が掛かって来る。その声の主はハックリーの相棒の

寡黙なエージェントであるネイト・ラッシュだった。


「は? どう言う意味よそれ」

思わず聞き返す和美にも冷静にネイトは答えた。

「そのままの意味だ。本当はドラゴンの行き先を知っているんだろう?」

それに続いて今度はキースが口を開く。

「さっきなんだがな、御前達の仲間が飛行機のチケットを買っているのがデータ送信されて来たんだ。

それによると、ある1つの都市にこぞってチケットを買っている事が分かった。それと御前達が

持っていたあの地図に描かれている赤いポイントは、恐らくドラゴンと卵の合流ポイントだろう。

そして合流した後にドラゴンと一緒にその集合ポイントへ向かって何かをするつもりだった、そうだろう?」


冷静に淡々とした口調でVSSEからの推理を披露するキース。そんな彼の推理に10人は

ぐぬぬ……と押し黙るしか無かったのである。

マークの相棒のルークはその様子を見て思った通りの言葉を吐き出す。

「はっ、図星かよ! 俺達VSSEを甘く見て貰っちゃ困るんだぜ?」

「ネイトの言う通り、俺達が本気を出せば御前達の仲間の居場所なんて

こうしてすぐに分かるんだ。さて……これからどうする、リチャード?」

ハックリーに問いかけられたリチャードは彼の方を向く事無く、真っ直ぐに10人と

ドラゴンを見つめながら一言。

「こいつ等を中へ連れて行って拘束しておけ。それとドラゴンは研究所へ。後はロバートに任せる」

「了解」


リチャードに指示を出されたロバートはそう返答し、彼に続いて他のエージェント達と

名古屋の5人と仁史とクロードとスティーブと真治は10人をひっ捕らえる。

「くそっ、おい離せよ!!」

「嫌だああああ!!」

「ふざけんな、ちきしょおおおおっ!!」

「お、俺達だってやる事があるんだよ!!」

だけど数の暴力には勝てずに結局10人全員が捕まってしまう……と思われた、その瞬間だった!!


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