Rescue request of a dragon第28話
「そっちの5人は、俺の事覚えているか?」
Destruction Performersの5人に仁史がそう問うと、すぐに藤尾から返事が。
「俺と同じシルビア乗りってだけじゃなく、ドリフトでもかなり有名だ。
俺等以上にドリフトが上手いって言われる程の実力者で、C1グランプリを
制覇しないと戦う事が出来ないって位レベルの高い男、イリュージョンBこと
谷本仁史だな? そしてあんたは、栗山の警備会社の同僚でもあるだろ!」
詳しいプロフィールまで言われ、思わず驚きの表情になる仁史。
「ほーう、こいつは驚いた。やっぱりドリフト関係では忘れられてなくて良かったぜ。
まぁ……栗山が近くに居るとなればそこまで詳しい事実も頷ける」
すると今度は由佳からもこんな話が。
「私はそっちの2人も知っているわ。1人はSPバトルで仁史君と同じ位有名で、
しかもこのVSSEのエージェントと同じく傭兵でしょ。名前は黒羽真治ね。
そしてもう1人は横須賀の米軍基地の軍人だけで構成されている、チームアルファって
所のリーダーのスティーブ・ブライソンだ。テキサスの白狼って言う方が正しいかしら?」
「俺等の事も知っているとは」
「そう言えば12時過ぎのシンデレラだったか、あんたは……」
そして永治からは名古屋の5人に関する正体が語られる。
「名古屋のボスとして有名な5人だな。炎のドラゴンの探偵葉山藤一、Jこと歯科医の
宮島浩介、D3の1人で税理士のザ・ルーク中村直樹、D3の2人目でザ・ビショップの
通り名を持つ食品会社勤務の星沢慎太郎、最後にD3のリーダーで探偵のザ・ナイトの
西山貴之。これでどうだ?」
それを聞いて真っ先に口を開いたのは宮島と中村だった。
「何でそんなに俺等の事に詳しいんだ?」
「確かあんたは紅の悪魔の白井永治……。驚異的な記憶力の持ち主で、1度でも
バトルした走り屋の顔と名前は絶対に忘れないって噂は本当だったのか」
「職業はC1グランプリの時に見たよ」
最後に、連れて来られた10人もそうなのだが名古屋の5人も知らないエージェントの
2人が自己紹介をする。
「で、そっちの2人は俺達見た事無いんだけど……」
「俺等をこうして連れ去って来たから、間違い無くここのエージェントなんだろ?」
そんなグレイルと孝司の呟きに対して、先に口を開いたのは茶髪交じりの黒髪の男だ。
「ご名答。いかにも俺等はこのVSSEのエージェントだ。まぁ、ここには本来エージェントと
その関係者しか入れないがな。ああそうそう、俺はハックリーだ。1つよろしく頼む」
ハックリーに続いて今度は金髪に青いアーマーを身に着けた男が歩み出る。
「ネイト・ラッシュ」
「あ、結構無口なタイプか」
自分の名前だけを名乗ったネイトにそんな一言を葉山が漏らす。
だがそんな葉山の横で、ある事実に気がついた永治がネイトにこんな質問を。
「1つ聞いても良いかな」
「……何だ?」
「アメリカ軍に知り合いって居たりするのか、あんたは?」
その問い掛けに反応したのはネイトでは無く、ジョルジョとエヴァンのラテンコンビだった。
「彼はラッシュ大尉とは何の関係も無いぞ」
「そーそー。つか、ラッシュって苗字は別に珍しくも何ともねぇよ」
別にあんた等に聞いてないんだけどなぁ……と思いながらも、永治は納得した素振りを
見せてその言葉をのみ込みつつ引き下がる。
「ラッシュ大尉ってまさか……4作目?」
「ああそうそう、その2人が主人公だった奴だよ」
由佳と橋本がお互いに小声で確認しあい、お互いの確認も終わった所でずっと疑問に思っていた事を
孝司がここから口に出す。
「それにしても、何でそんな首都高の走り屋達がこうしてVSSEの手先になってるんだ。
そこがまるで俺等には分からない。何でなんだよ、教えてくれよ?」
そう聞いた孝司に、VSSEのエージェント達のリーダーであるリチャードと
期待のルーキーとされているルークとマークも続く。
「俺も興味ある」
「俺もだぜ。そのドラゴンとも関係あるのか?」
「俺にも教えてくれ」
なので、まずは名古屋の5人と仁史とVSSEの関係について
当事者のエージェント達が話し出す。
「……こんな感じだ。バーチャシティにも縁がある様だが、こっちにも縁が
ある様だな。だけど俺達もこの2人とは今日初めて会ったんだ」
そう言いながらキースは黒羽真治とスティーブ・ブライソンの方へ顔を向ける。
「あんたの知り合いか? クロード」
リチャードは先日のイギリスの事件でクロードと協力して事件を解決したので
彼との面識はあるが、リチャードもクロードも真治とスティーブとの面識は無かった。
「いや、俺も無い。ただこの2人がその5人と一緒に居たからこうして協力して
貰っているだけだ」
その5人と言うのは和美率いるDestruction Performersの5人だ。
それを聞いたリチャードがそのリーダーである和美に近付く。
「大体の事情は飲み込めた。しかし、俺達はまだその生物と御前達の関係を良く知らない。
だからこれからじっくり話して貰おう」
「別に話す事なんて無いわよ」
間髪入れるか入れないか位のタイミングで和美がそう答えると、横からロバートがつかつかと
和美の元へ歩み寄る。
「おい、これ以上俺達が我慢出来ると思ったら大間違いだぞ。俺達だって人間だから
我慢の限界があるんだよ!!」
「まぁまぁ……」
「落ち着け、ロバート」
切れそうなロバートをキースとリチャードが手で制し、その横から今度はルークとマークが
やって来て話し掛けて来た。
「見ての通りだ。あの俺達の上司はああ言う風に気性が荒いんだから、素直に吐いちまえよ?」
「素直に話せば手っ取り早く終わるんだが」
すると、孝司もその話に加わって来た。
「だ、か、ら。俺達が話す事なんて何も無い。じゃあ逆に聞くけど、俺達があんた等に何かしたのかよ?」
孝司のセリフを皮切りにして周二、藤尾、由佳、兼山、橋本、哲、グレイル、永治もVSSEに対しての
堪忍袋の緒が切れてしまうのであった。
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