Rescue request of a dragon第27話


ヨーロッパにあるVSSEの本部……イークヴェス達ドラゴン7匹が突如現れた

広大な施設の中庭に、今度は灰色のドラゴンであるセルフォンが鎖で

イークヴェス以上にきつく縛り付けられていた。そして同じく連れて来られた

Racing Projectの5人もまた念入りに身体検査をされた上に、セルフォンの前に

後ろ手にきつくロープで縛られ座らされる形でエージェント達に囲まれていた。

そのエージェント達の内、取りあえずは彼等5人と面識がある人物のみが残される事に。


「やれやれ、名古屋から戻って来たと思えばまさか囚われの身になっている奴等が

本部の中庭に居るとはな」

寄せ集めサーティンデビルズの5人に逃げられてしまったキースが、口元に笑みを

浮かべながら腕を組んで彼等5人を見下ろす。

「おい、お前等の仲間は何処に行った? 素直に吐けば許してやるが、

もし言わないんだったら痛い目に遭う事も覚悟しておくんだなぁ!?」

今にも5人に飛び掛かりそうな位に興奮して熱くなっているロバートを、キースは

冷静に落ち着いて片手で制して続ける。


「まぁ待て、俺だって野蛮な事は余り好きじゃない。別に無理に仲間の居場所を

言って貰わなくても、俺達には航空チケットのデータと……後それからこの地図がある」

そう言ってキースが傍らで控えている名古屋の5人の内、西山から受け取ったのが

あの品川の倉庫で打ち合わせしていた時にコピーされた地図だった。

「そ、それは……!!」

孝司が身を乗り出したが、そこで葉山と星沢がすぐさま孝司の身体を抑える。

「ぐっ!!」

「大人しくしてろよ、白いカリスマ」

星沢は孝司の事を通り名で呼びつつ、しっかりと彼の身体を地面に押さえつけた。


そしてこの後、続いてDestruction Performersの5人がクロードとスティーブと真治に

連れられて同じく後ろ手に縛られたまま中庭にやって来た。

「うわっ、何だよここは!?」

「ええー、私達これからどうなるの!?」

哲と由佳が驚いた声を上げながら、セルフォンとRacing Projectの5人の前に連れて行かれる。

「あっ、Racing Project!?」

「何でこんな所に居るんだよ! しかもセルフォンまで!!」

「もしかして、俺等と同じく捕まったのか?」

和美と藤尾と永治も驚きを隠せない。


「そう言う事だ」

「残念だったな、もう少しで目的達成だったのにな?」

ケープタウンで縛られて置き去りにされたジョルジョとエヴァンも、何とかあの後脱出して

ヘリで本部へと戻って来ていた。

更にブラジルで戦闘に敗北したルーキーのエージェント2人もそこに合流。

「へぇ、こいつ等とその後ろのドラゴンが黒幕の一部だって?」

「またドラゴンに会えるとは、正直驚きだ」

ルークとマークはヨーロッパの5人と少しだが面識があったので、特別にこの場に残る事を許された。


更にロサンゼルスでドラゴンにポイ捨てされたアランとウェズリーも、一旦VSSEの本部へと

戻って来ていた。

「はっ、お前等の計画はこれで少し狂い始めたな。まぁ見てろ、すぐに残りの仲間も捕まえてやる!」

びしっと10人に指を差して宣言するアランの横から、今度はウェズリーが歩み出る。

「後ろのドラゴンよりも俺達が出会ったドラゴンは大きかった。しかしそれよりも気になるんだが、最初に

ここに現れたドラゴンは7匹だったけどそれ以外に居る可能性も否定出来ない」

ウェズリーは腕を組みながら10人を見下ろして冷静に予想を立てる。


そしてその8人のエージェントと1人の特殊部隊員、更に日本からやって来た7人の後ろから

4人の男がゆっくりと歩いて来た。

その16人は4人の気配に気がつくと、まるでモーゼの様に2つに分かれて道を開ける。

「君達と俺が会うのは初めてか」

「……もしかして、リチャード・ミラー?」

確認の意味を込めた周二の問い掛けに、先頭を歩いて来た黒い革ジャンの男は首を縦に振る。

「俺も有名になったものだ」


驚きと嬉しさが入り混じった様な声を出すリチャードに、今度はグレイルが口を開く。

「だって日本であんた等の活躍がゲームになってるから知ってるよ。セルシアの事とか

冤罪事件の事とかも。それからそっちの角刈りの黒髪の人はクロード・マクガレンだろ。

確かイギリスの特殊部隊のリーダーだ。マシンガンは爽快だったなぁ……」

プレイの感想で懐かしむグレイルだったが、そのグレイルの額にイギリスの本人からマシンガンの

銃口が押し当てられた。

「だったら貴様でその爽快感を試してやろうか?」

「遠慮します」

黙り込んだグレイルを見てクロードもマシンガンを離し、今度はリチャードと一緒に歩いて来た

3人の内、赤髪の男の仁史が口を開いた。


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