Rescue request of a dragon第25話
午前0時5分と言う日付が変わった直後の飛行機で羽田空港から
飛び立ち、そのまま乗り続ける事10時間。ようやくMaster'sの5人は
アメリカはカリフォルニア州、ロサンゼルス空港に辿り着いた。
ロサンゼルスと日本とは17時間差があり、日本の方が進んでいるので
前日の午後5時にロサンゼルスに着いた事になるのだ。
「ああ、時差ボケ覚悟だぜ」
「そうだな……北アメリカの2人は地元みたいなもんだから慣れてるだろ」
だけどその流斗と和人の会話にリーダーのハールは首を横に振る。
「アメリカは余り実は来た事無いんだ。カナダで時差は慣れているとは言っても
やっぱりアメリカとカナダでも時差があるから何とも言えない」
そしてこのロサンゼルスから感じる波動は2つだったが、その2つの波動が何と
1つに纏まっているのであった。
「俺達は楽そうだぜ」
「ええ、何だか申し訳なくなるけどしょうがないわね」
アレイレルに恵も同調し、5人はタクシーでロサンゼルスの郊外へ。
そこはアメリカのドリフトの整地とも呼ばれている、アーウィンデールスピードウェイだった。
現在ではトヨタがネーミングライツを取得して、アーウィンデール・トヨタ・スピードウェイと
言う名前になっている。2012年の2月13日に倒産したが、そこからまた復活した
今ではドラッグレースもドリフトも盛んに行われている。
「ここはアレイレル走った事ある?」
「ああ、あるけど……北海道から沖縄行くより遠いから5回位しか無い」
「そう言えばアレイレルはデトロイトだもんな、地元」
西海岸はアレイレルの地元であるデトロイトからは、直行便の飛行機でも
5時間以上は掛かるので彼の言う事は最もである。それに加えてサーキットの場所は
ロサンゼルス近郊とも言われているが、実は結構田舎の方に存在しているので普段は
人気が余り無い。
そんなこんなでアーウィンデールスピードウェイに辿り着くと、もう営業時間は終了していた。
だが5人にとっては田舎にある事もプラスして逆に都合が良い。
「1週間毎日やっているけど、9時から17時で終わりなんだな」
和人がスマートフォンで調べてそう言うと、サブリーダーのアレイレルがニヤリとする。
「ならば、存分にドラゴンを探せるだろう」
そうした考えだったのだが、良く良く考えてみれば正面ゲートが閉まっているので
中に入る手段が見つからない事に気がつく。
「それは良いけど、どうやって中に入るの? 防犯カメラもあるだろうしさ」
「うーん、そうだなぁ……」
どうしよう? と5人が考えていると、そこで恵がある事に気がついた。
「ねぇ、あれは何なの?」
彼女が指差した先には、アーウィンデールの隣にあるもう1つ大きなスポットが。
「あそこは採石場。見ての通りど田舎だし、ああ言う事するなら持って来いだ」
しかし、ハールがその採石場の横に大きな影がある事に気がつく。
「あれ? 何だろう」
その影に近付いて行って見ると、それは何と……。
「あっ……これが卵じゃ無いのか?」
白くて大きな卵。ここまでのサイズは5人も見た事が無いし少し汚い。
「でも……それだと波動の場所からしてこの近くにもう1つ卵があるか
ドラゴンが居るかじゃないか?」
流斗がそう言って、辺りを5人が見渡し始めた次の瞬間だった!!
「うおあ!?」
「おわっ!?」
乾いた発砲音が辺りに響き渡る。それは5人の足元に威嚇射撃の銃弾が
撃ち込まれた事を示す物であり、事実着弾した衝撃で火花が飛び散って少し
その部分のアスファルトが削れた。
「見つけたぜ〜! やっぱりここに来たか!」
「そのまま5人とも動くんじゃない」
銃弾が撃ち込まれた方向を見てみると、そこには茶髪にサングラスを引っ掛けた男と
金髪に青と黒のジャケットにネックレスと言う男が1人。この5人とは以前のバーチャシティの
ドラゴンの事件で顔見知りだ。
「アラン・ダナウェイにウェズリー・ランバートか」
「何作品目だっけ?」
「確か3作品目だった気がする」
彼等の登場作品をボソボソと確認し合うアレイレル、和人、恵だったが残りの2人は
何でここに彼等が現れたのかと言う疑問で頭が一杯だった。
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