Rescue request of a dragon第24話
仁史がインカムでそう指示を出した途端、5人の足元に突然
幾つもの銃弾が威嚇射撃として撃ち込まれて来た。
「うお!?」
「な、ちょ!」
「わっ!?」
「うおわ!」
「ああっと!?」
5人がそんなリアクションを同時にしたかと思えば、まずは仁史が素早く
橋本の身体を地面に押さえつけて手錠をかけて拘束。
「なっ、何すうぎゃ!?」
橋本の姿が一瞬視界から消えた事に4人が気を取られていると、今度は
何者かによって兼山は背中を思いっきり蹴られて何が起こったか分からない内に
素早く手錠で拘束され、周二は仁史ともう1人に飛び掛かられて反応が遅れた所で
同じく拘束されてしまう。
「く、くっそ!」
残ったグレイルと孝司は、自分達がこうして襲われているのは間違い無くこの仁史の
せいだと感じて彼に向かって飛び掛かろうとしたが、そんな2人の前に2つの影が割り込んで来た。
グレイルの前に現れたのは、黄色いコートを着込んで赤いTシャツを肌着として着込んでいる
中年の茶髪交じりの黒髪の男だ。
「なっ……」
その男はまるで刑事みたいな風貌だが、自分達に銃弾を撃ち込んだ原因であろうハンドガンが
彼の右手に握られているのがグレイルの視界に入ったので、勿論グレイルも咄嗟に応戦する。
男はこの狭い場所ではハンドガンを使わずに格闘戦で対抗しようとして来るので、グレイルは静かに燃えている。
(俺に格闘で対抗しようってのか、面白い!)
そして孝司の前に現れたのは、あのバーチャコップの奴とはまた違う青いアーマーを着込んでいる金髪の
若い男である。その男は無表情で孝司に攻撃を仕掛けて来るので自分もムエタイと和美から習っている
カンフーで応戦。
(何だこいつは……!?)
いきなりの襲撃に焦りながらも、異世界ではこんな事も良くあったなぁと思い返しつつ応戦。
若いだけあって孝司よりも動きの切れは良いが、スピードでは勝っている様だ。
こちらの男もハンドガンを使わずに格闘で応戦して来るので、何とかここは凌ぎたいと思っていたのだが……。
「ふっ!」
背後から息を吐く声が聞こえて来て、それと同時に孝司は足払いを掛けられて地面へと尻から転倒。
「ぬぐ!?」
足払いをかけて来たのは、傭兵として活躍して来た栗山から色々と武術を習っている仁史だった。
同じ警備会社に勤務していて車の趣味も同じと言う事もあり、護身術を教えて欲しいと頼んだ事から
仁史は栗山の弟子としてほぼ毎日12年前からクラヴマガ、エスクリマ、CQCなど軍隊系の武術を習っている。
そんな経験を持っているので、転んだ孝司もさっきの3人の様に同じく拘束するのは容易い事であった。
孝司を拘束され、最後に残ったグレイルには3人がかりで応戦。30年位の武術の経験があるグレイルでも
3人がかりで来られたら圧倒的に不利な状況になってしまう。
最終的にはその3人にいっぺんに飛び掛かられてしまい、5人全員が拘束された。
「くっそぉ、何だよこれぇ!」
「どう言う事だよおい、説明しろよ!」
「ってか、セルフォン! 変身してくれよぉ!!」
だがその兼山、橋本、孝司の3人の願いは届かなかった。
『無理だ……ここじゃ狭いし、それに……あいつ等が某の事を狙っている』
「え?」
セルフォンの視線の先を周二が最初に見てみると、何時の間にやらライトブルーの
大型ヘリが3機、5人のかなり近くを飛んでいるではないか。
「さぁ、有無を言わさずに俺達の本部まで来て貰うぜぇ?」
「黙秘権も無いぞ、証拠があるからな」
そんな中年の男と金髪の男の2人のセリフを最後に、自分達にいきなり襲い掛かって来た
3人と一緒に、5人とセルフォンはそのライトブルーのヘリコプターで何処かへ連れて行かれるのであった。
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