Rescue request of a dragon第22話


成田空港の飛行機で、日本から約8時間から約10時間。赤道を挟んで

いるので日本とは季節が逆の南半球に位置しており、地球儀で

見ると日本のほぼ間逆に位置している。国土は日本のおよそ4分の3。

そんな地球儀上の日本とは正反対の位置の国が、グレイルの故郷でも

あるオセアニアのシンボルオーストラリア。日本と同じく左側通行で車が走って

いる為に、オーストラリアの車は右ハンドルなのも特徴的だ。

世界で1番目と2番目に大きい一枚岩がある事でも知られているこの国に

降り立ったのは、そのグレイル・カルスの属するRacing Projectだ。


5人は自分達の行き先が決定された直後からそれぞれスマートフォンで

航空券の予約をして成田空港へと出発。

午後7時50分のシドニー行きの飛行機は品川からでは間に合わないので、

午後9時20分のケアンズ行きの飛行機で翌日の5時50分にオーストラリアの

地を踏んでいたのだ。そこから今度は朝6時45分の飛行機に現地で慌しく

乗り換えて、ケアンズからシドニーへ向けて3時間のフライト。そうしてようやく

シドニーの地面を踏む事が出来たのは現地時間の午前10時40分だった。


シドニーは日本より1時間進んでいる時差となるので、現地時間の午前

10時40分であれば日本では午前11時40分となる。

「あっちーな……やっぱ夏なんだな」

「まぁこれだけ着こんでたら仕方無いさ。一旦上着だけでも脱ごう」

グレイルは元々現地の人間なので涼しい顔をしているが、他の日本人4人に

とってはそうはいかない。

「サンタクロースがサーフィンするのも頷けるぜ」

橋本がそんな事をぼやきながら、5人は波動の出ているとされているスポットを目指す。


きちんと円をオーストラリアドルに両替して来たので準備はバッチリの筈だったが、

最初のスポットはお金が要らない場所であった。

「えーとここって……遊園地なんだ?」

「ああそうだ。ここは無料で楽しめるちょっと個性的な遊園地さ」

グレイルが紹介しているのは、ミルソンズポイントから5分も歩けば辿り着ける

シドニー湾沿いの遊園地のルナパークだった。

「ちょっと寂れてる気がするが……」

「でもそこが良い」

周二の疑問にグレイルがそう続け、遊園地を楽しみに行く……のでは無い。


不気味な顔に出迎えられた後は中を探索して行くのだが、ここで橋本が一言。

「日本と比べると、乗り物がなぁ……」

「しょぼいぜ」

橋本の後に周二がはっきりと続けた。

「とりあえず何か食べ物を買おうぜ。ピクニックするにはここが最適なんだろ?」

「ああ……そうだな、ここはダーリンハーバーの傍にあるからランチでピクニックってのも珍しく無い」

孝司の質問にグレイルが返し、腹が減っては戦は出来ぬと言う事で食事を買って

ダーリンハーバーを眺めながらのランチにする。


「今頃、他の奴等は何してるのかなー」

「さぁな。でも上手く行ってくれないと困るぜ。俺等だってこうしてはるばる大急ぎでシドニーまで

来たんだ。ドラゴン達だって別にこの世界に危害を加えないって言っている訳だし」

そんな孝司のセリフに、周二がボソッとこんな一言を。

「そうか?」

「え?」

「俺は何か裏がある様な気がするんだ。何故俺達をこうして駆り出す事にしたのかを考えると、

また何かドラゴン達にまつわる悪い事がある様に思えてならない」


そんな事を言い出す周二に橋本がなだめる様に口を開く。

「お、おい〜よせよ周二、そんな縁起でも……」

「だと良いが」

口数も少ないし、無愛想で仲間内では知られる周二だが他のメンバーは何故か

真っ向からその意見を否定する気にはなれなかった。

そうしてランチも終わり、再び遊園地の中を5人が見回っていると観覧車に辿り着いた。

「観覧車も小さいな」

「でも乗ってみようぜ。何か見えるかも」


と言う訳で乗ってみたのだが、シドニーの町が見えない……。

「ちょっとしか見えないぜ……」

「……でも、違う物は見えるぞ」

心底がっかりした様子の孝司だったが、周二がボソッとまた一言。

「え?」

「ほら、あれ……」

周二の指差した先には、ライトブルーに輝くヘリコプターが2機。それも大型だ。

「何だありゃ? まさかVSSEか!?」


観覧車が下に着くと同時に慌てて身を隠す5人だったが、良く見てみると違う様だ。

しかしグレイルは違和感を覚える。

「おかしいな……こんな所にヘリなんて飛んでたっけ」

「遊覧飛行とかじゃ無いのか?」

「そんなサービスはこの遊園地には無い。となればやっぱりVSSEなのか?」

どちらにせよ何か悪い予感がするので、さっさと遊園地から離れようと5人は歩き出す。

しかしその途中で1人の男が声をかけて来た。

『もし、そこの5人!!』

「んっ?」


何だか古風な呼ばれ方をした5人が声の方を振り向けば、そこには会いたかった人……

いや、人間に化けたドラゴンの姿があった。

そしてその隣には赤い髪の毛をしている東洋人の姿が。

「あっ、ま、まさか……!!」

「セルフォン!?」

『久しぶりだな、某もやっと会えたと言う感じだ』

再会を喜ぶ5人と1匹だったが、その隣の赤毛の男は果たして誰なのだろうか?


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