Rescue request of a dragon第20話


「君達、ちょっと良いか?」

「え?」

「ん?」

Destruction Performersの5人と別れて再びモナコ観光を楽しもうと思っていた

真治とスティーブだったが、出発しようとした瞬間1人の男が声をかけて来た。

中年の白人で黒髪黒目、頭は角刈りでガタイも真治とスティーブに負けない位良い。

「何だ、俺等に用か?」

「ああ。さっきレストランで一緒に食事を取っていた日本人の5人について聞きたい」


そのセリフから2人はこの男がさっき自分達の近くに座っていたんだな、と予想がついた。

しかし1つの疑問も浮かんだのでそれをスティーブが問う。

「……何故俺達の相手が日本人だって分かったんだ?」

「それはここでは話せない。余りここでは大声で話せない内容だからだ」

「分かった。だがその前にあんたの身分証を提示して貰おうか」

知らない人について行っちゃいけませんと言うのは日本だけでは無いので、真治はまず

男の正体を明かして貰う事にした。

「良いだろう。俺は……」



一方、Destruction Performersの5人は持ち帰りでお土産用として食事を買い込み、

真治とスティーブと別れてグラルバルトの元へと向かった。

「お待たせー」

『待ちくたびれたぞ』

「悪い悪い。けどその分買い込んで来たから」

永治がグラルバルトの目の前に食事を差し出し、人間の姿の黄龍が食事を

始めるのを5人全員微笑ましい顔つきで見ていた。


『ふぅ、こちらの食べ物も悪くは無い物だ。私は腹ごしらえも済んだし、後は夜を待って

そのまま集合ポイントに向かうとしよう』

だがそれに対してストップをかけたのがリーダーの和美だった。

「いや、ちょっと待って」

『どうした?』

「それなんだけど、私達はきちんと空港から出なければいけないわ。ちゃんと集合

ポイントの国へ行く日程も決めてあるし飛行機のチケットも取った。入国したまま無断で

出て行く訳には行かないし、そうなったら行方不明者扱いになっちゃうのよ」


その回答にグラルバルトはうんうんと頷いた。

『そう言えばそんな話も向こうで聞いた覚えがあるな。出国審査だったか?』

「そうそれ。だから私達はちょっと面倒だけどきちんと空港を通るわ。その方がリスクも少ないからね。

でもあなたはぶっちゃけた話不法入国者だし、そのまま集合ポイントへ夜になったら向かって」

『承知した』

「なら私達はそろそろ行くわ。飛行機を乗り継いで行かなければならないから結構時間が掛かるのよ」

『ああ、それでは集合ポイントへ向かう。魔力の波動がここでも感じられる程強いから私は道に迷う心配は無い』

「それを聞いて安心した。それじゃあまた」

物陰に隠れたグラルバルトを見て、メンバーに出発しようと和美は促す。


そうして和美とグラルバルトの会話も終了し、いざニースへと戻ってそこからパリを目指そうとなったのだが

そんなDestruction Performersの5人の目の前に人影が現れた。

「……あれっ? 貴方達……」

由佳がその人影を見て真っ先に声を上げる。

「何だ、良く会うな」

「本当。やっぱ日本人同士引かれ合うのかな?」

哲と藤尾も感心している。それもその筈、目の前に現れたのは先程別れたばかりの筈の

黒羽真治とスティーブ・ブライソンだった。


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