Rescue request of a dragon第2話


同じ頃、イークヴェスの声に従ってモナコに集まっていたEuropean Union Fightersの5人は

不信感を隠せない。1箇所に集まれるのであれば集まって欲しいとイークヴェスの声にそう頼まれたからで

あるのに、それ以降イークヴェスの声が途絶えてしまったからである。

「イークヴェスの声、聞こえなくなったな」

「ああ……突然聞こえなくなったと言うのもおかしな話だ。不定期だけどずっと

2日前から聞こえて来てたのに、今はプッツリだ」

European Union Fightersのサブリーダーであるサエリクスもリーダーのハリドに同意している。

「まずいな、このまま声が聞こえないんじゃあ俺達はお手上げだ」

「ああ。流石にヨーロッパには来ていないと思うけど」


冷静なジェイノリーとバラリーも焦りの色が声色に出ていた。

「と言うかヨーロッパ云々じゃなくて、ドラゴン達はこっちの世界の何処に

居るかすら分からないって言ってなかったか? それが分からなければ

幾ら俺達がこうして集まった所で無理だろう」

メンバー最年長で最重量級のアイトエルが他の4人にそう告げる。

「ああ、せめて居場所を特定出来る様なセリフがあればと思ったんだがな」

ボリボリと頭を掻いて、どうにもならないのかとハリドはため息を吐いた。

「あー、どうしよ……せっかくこうして集まった時間が無駄になるぜ!!」

「そうだな……ん?」


メンバー中で唯一海を渡って来ていたアイトエルがそう漏らした瞬間、

ポケットの中で自分の携帯電話が鳴っている事に気がついた。

「アイトエルだ」

『よう……久しぶりだな、ジョルジョだ』

「VSSEの?」

電話の相手は、何と以前バーチャシティで顔見知りになったVSSEの

エージェント達の1人であるジョルジョ・ブルーノだった。

尋問の時に当然ながら35人の個人情報もバーチャコップとVSSEにファイリング

されており、それで電話をして来たのだろうと察しがついた。

「電話なんて珍しいな。何か用か?」


しかし、その後に聞こえて来たジョルジョの声にアイトエルの身体が固まる。

『7色のドラゴンを知っているだろう』

「えっ……?」

『VSSEの本部の演習場がそいつ等に襲われた。今からこちらに来て欲しいんだが、都合をつけてくれ』

「いや、ちょ……っと待ってくれ……。ハリドに代わる」

「……俺?」

いきなり自分の名前が出て来た事にびっくりしているハリドだが、それでもアイトエルから電話を受け取った。


「ハリドだ。……ああジョルジョか、珍しいな。……え?」

電話越しにジョルジョからドラゴンの事を聞いたハリドも声が固まった。

『そっちは何処に居る? 今2人で居るのか?』

「いや、サエリクスもジェイノリーもバラリーも居るから全部で5人だ。みんなでモナコに来てるんだ」

『そうか、なら話は早い。そこに今から迎えのヘリコプターを向かわせる。場所を教えてくれ。そしてそこから動くなよ』

電話を切ったハリドはアイトエルにそれを返し、他の3人にも説明をする。

「その7色のドラゴンってまさか……」

「あいつ等しか居ないだろう」

「ああ、ヘルヴァナールの伝説のドラゴンだな」

3人の予想が完全に一致し、またややこしい事になったと5人の口から自然とため息が漏れた。


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