Rescue request of a dragon第17話


「こっちも大丈夫だけど、そっちはこれから大丈夫じゃなくなるぜぇ?」

「ヨーロッパ人同士、水入らずで話し合おうか?」

3人と1匹に銃口を向けていたのは、何とVSSEのエージェントであるジョルジョ・ブルーノと

エヴァン・ベルナールだった。

「な、んで……ここが……」

何時に無く唖然とするジェイノリーに、同じフランス人であるエヴァンが誇らしげに答える。


「あんた等の仲間をこっちは捕らえたんだよ。その仲間が持っていた世界地図の印から

何処に居るかが特定出来た。そしてアフリカに派遣されていた俺達がこうして駆けつけたって訳さ」

ニカッと白い歯を見せて笑顔を見せるが、そんなエヴァンの目は全然笑っていなかった。

「と言う訳で、俺達と一緒に来て貰おうか」

厳しい表情でジョルジョは隙を見せずにそう言ったが、次の瞬間ジョルジョとエヴァンの身体がフワッと

宙に浮いた……いや、持ち上げられた。

「え?」

「うお!?」


2人の身体を持ち上げたのは、別ルートで探索を続けていたバラリーとアイトエルとシュヴィリスの

グループだった。VSSEの2人に銃口を向けられているのを合流前に見かけ、そっと後ろから

近づいてこうして持ち上げたのである。

アイトエルはジョルジョを持ち上げる事は造作も無い程のパワーがあり、まるで

丸太の様に太い両腕で資材を運ぶ時の様に彼を担ぎ上げている。

一方のエヴァンはバラリーに足を、シュヴィリスに頭をロックされて持ち上げられて

しまっているので身体をよじる事すら出来ない。

「待たせたな。卵も無事に見つけたぞ。そっちにある」

顎でアイトエルが指示した方向にイークヴェスが行ってみると、間違い無く

ドラゴンの卵がそこに置かれていた。


「うわ、これ重いな」

『ああ、それじゃあ僕が持つよ。と言うか多分それは僕達ドラゴンじゃないと持てないと思う』

そう言ってシュヴィリスはハリド、サエリクス、ジェイノリーの3人掛かりでも持てなかった卵を

軽々と持ち上げる。

「ああ、やっぱりドラゴンとのパワーの差は歴然だぜ」

それを見て、ハリドが諦めにも似た声色で呟いた。


「で……どうする、こいつ等?」

『んー、このままここに置いて行っても良いけど……そうしたらまた突っ掛かって来る

だろうからとりあえず合流ポイントの近くに向かうとしようか、一緒に』

そう提案するシュヴィリスだったが、そこにジェイノリーが素早く手でバツマークを作ってNGを出す。

「いいや、それは俺は賛成出来ない。合流ポイントがばれてしまうだろう? それにVSSEの

エージェントが誘拐されたなんて事になったらまた色々と厄介だろうしな」

『ああ、それもそうか……』


そして悩みぬいた結果、ウォーターフロントの人目のつかない所で彼等の服を

ロープ代わりに使って縛り上げて置く事にした。

「て、てめぇ等こんな事してただで済むと思うなよ。俺等VSSEは何処までも

追いかけてやる。たとえ地獄の果てまででもなぁ!!」

エヴァンがギャンギャン吼えるが、アイトエルとバラリーは聞く耳を持たない。

「……一体あんた等は何をするつもりだ?」

一方のジョルジョからそう問われるが、ハリドは至って真面目にこう答える。

「別に何もしないぜ。だけど俺等の邪魔をしなければあんた等はこうならずに済んだんだ。

世界征服をしようとか、VSSEに危害を加えようとか、そう言うのなんて考えもしてない」


「ざっけんな、おい、くっそ〜〜〜っ!!」

エヴァンが不恰好な体勢でまた叫ぶが、ヨーロッパの5人も2匹のドラゴンもそれを華麗に

全部スルーしておく。

「大丈夫。暴れてりゃその内ほどけるさ。それ程きつく縛ってねーよ」

サエリクスが縛られている2人にキザっぽくそう言って、ジェイノリーがイークヴェスに指示を出す。

「では、集合ポイントまで飛んでくれ」

『分かった。それじゃあ余が変身するからそのまま頼むぞ』

イークヴェスが元の姿に戻って卵を腹のポケットに入れ、シュヴィリスは人間の姿のまま

ヨーロッパの5人と一緒に彼の背中に乗ってアフリカから飛び立つのであった。


Rescue request of a dragon第18話へ

セガ&ナムコサイドに戻る