Rescue request of a dragon第16話


そしてついにライオンズ・ヘッドの頂上へと辿り着いた5人を待っていた物は、

さっきよりも遥かに昼でも眺めの良い景色と展望台であった。

「ああー、やっぱりこっちが頂上だな」

「まさにそうだ……それを今俺も凄い実感している」

アイトエルもハリドもうんうんと頷いて、雄大な景色を眺めている。

『地球にもこれだけの眺めの景色があるとはな。このレベルの景色だとヘルヴァナールでも

見られるスポットは限られるぞ』


異世界のドラゴンであるイークヴェスにそこまで言わせる程の景色である場所で、今度は

波動の出所を探ってみる事に。すると……。

「あ、居た居た! あれほら、あの人そうじゃないか!?」

バラリーが指差した先に居た人物、それは……。

「おーい、シュヴィリス!!」

『あっ、ヨーロッパのみんな!?』


ハリドの声に振り返ったのは、青い髪の毛に青い瞳に青を基調とした服装の

小柄な人間の姿のドラゴンである青龍シュヴィリスだった。

『このアフリカの気候は僕には合わないね。何処か水のある場所に連れて行ってよ。

そろそろ干乾びそう』

「ああそうか、水属性のドラゴンだもんなシュヴィリスは」

と言う訳でドラゴンズ・ヘッドを下りて一旦ケープタウン市街へと戻り、そこから今度は

ウォーターフロントを目指す。再開発地域としてテーブル湾とビクトリア&アルフレッドの

入り江で旧港が中心となっており、観光客のみならず地元の人間も大勢訪れる

屈指の人気スポットとしてケープタウンでは知られている。


劇場や水族館、ショッピングセンターにクラフトセンター、ホテルや映画館や

レストラン等もあり、かなり遊べる場所として有名なのだ。

それに加えてケープタウンの中では治安が良い方であると言う事も観光客に

人気の理由の1つとなっている。それを調べていたハリドの提案で、木を隠すなら

森の中であると言う考えから手分けして探そうと言う事になった。

「ちっ、金を持って来てないのが惜しい所だぜ……色々遊べそうなんだが」

「持って来てるには持って来てるけど両替が出来ないもんな……」


残念な表情を浮かべるサエリクスとバラリーだったが、一先ずはシュヴィリスを

干乾びさせない様にする為に周りの目を気にしつつ水を飲ませる。

「ドラゴンは海水でも大丈夫なのか?」

『まぁ、君達人間よりは耐性がある方だから大丈夫だよ……』

どうやら大丈夫みたいなので水を飲ませた後、5人と2匹はあらかじめ集合ポイントを

決めて30分後に一旦合流すると約束。そこから手分けして卵を探す事にする。

しかしながら、その捜索方法がこの5人と2匹にピンチを招いてしまう事に!!


「それじゃあ俺とバラリーはこっちだ」

「ジェイノリーと一緒に俺はこっちへ行く」

「なら俺はドラゴン2匹と一緒にこっちだな」

アイトエルとバラリーとシュヴィリス、そしてジェイノリーとサエリクスとハリドは

イークヴェスと一緒に卵を探す為のグループ分けで2つに分かれる。

観光スポットとして人気があると言ってもその広さは無限にある訳じゃ無いし、VSSEの

追っ手から逃れる為にも手分けして捜索した方が効率が良いのは5人と2匹にも

目に見えているので気は楽な方だ。それでも広い事には変わり無いので素早い行動が

求められるのもまた事実なのだが。


そんな事を考えながら、波動に従ってそれぞれがウォーターフロントを歩いていると

イークヴェス側のグループで事件が起きた。

「もうすぐか?」

『もう少しだな。結構近くなって来ているぞ』

そのイークヴェスの言葉を信じて歩いていると、曲がり角から現れた2人の男とイークヴェスが

出会い頭にぶつかってしまった。


『ぬおっ!?』

「うお!」

「あてっ!?」

ぶつかった衝撃でイークヴェスが後ろに倒れ込みそうになったのを、その後ろで歩いていた

ハリドが支えて阻止する事に成功した。

「大丈夫か?」

『余は平気だ。そっちも怪我は……』

だがそのぶつかった相手が悪かった。相手は自分達と同じヨーロッパの人間である事が一目で分かる。

何故ならその2人の男は、イークヴェスの目の前に銃口を向けていたからだ。


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