Rescue request of a dragon第13話


その2人をディールと連はこう分析する。

「何か、その辺でストリートバスケやってそうな奴……」

「ファッションのチョイスを若干間違えた大学生デビューの人?」

ストリートバスケをやってそうなのは白いキャップを後ろ向きに被り、VSSEと

描かれている赤いシャツに白い短パンの金髪の男。ファッションのチョイス云々と

連が評価したのは青色のジャケットに白いズボンの黒髪の男だった。

「初対面でとんでもない事言ってくれるじゃねぇか、なぁマーク」

「そんな事よりルーク、本部に連絡は済ませたのか?」

「ああ、バッチリだ」


バスケ選手もどきの金髪の男がルーク、大学生もどきの黒髪の男がマークらしい。

「はっ、VSSEって言うのはよっぽど暇なんだな。わざわざ俺達を追いかけて来たのか?」

確認の意味も込めてその2人にそんなセリフを吐く淳だが、意外な答えがマークから返って来た。

「追いかけて来た訳じゃ無い、偶然だ」

「何が偶然なんだよ? なぁアサドール、こいつ等だろ? 嫌な気配の正体は」

『ああ……間違い無い』

連に確認されたアサドールは首を縦に振った。


「で、何処が偶然なんだよ?」

続けて同じ質問をする連に、今度はルークが口を開いた。

「マークの言う事は間違っちゃいねぇよ。俺達、さっきこのサンパウロに辿り着いたばっかなんだぜ?」

「え……?」

「だったら俺達の居場所を特定したとかそう言う訳じゃ無かったのか」

きょとんとする浩夜と、マークに負けず劣らずの冷静な口調で確認するディール。

「ああ。だけど俺達VSSEのエージェントは今頃他の奴等を捕まえている筈だ。あんた等の仲間が

飛行機のチケットを日本で買ったのも調べている。しかしあんた等の居場所を特定する事は

出来なかった。そこで他のエージェントから送られて来た他の奴等の行き先から、残りの

グループの行き先の大体の見当をつけてみたらこうしてビンゴって訳さ」


誇らしげに言うルークをマークが手で制する。

「その辺にしろ、余り内部事情をばらすな」

「へいへい」

「さぁ、話は終わりだ。俺達と一緒にVSSEの本部まで来て貰う」

そのマークの言葉を聞いて、ぷっと吹き出した淳がやれやれと首を振った。

「おい聞いたかよ、話になんねーよこいつ等。たった2人で何が出来るってんだ?」

だが淳の挑発的な態度にもマークは冷静だった。、

「何時、俺達が2人だけだと言った?」


そのセリフに示し合わせたかの様に、ローターの音を立てて戦闘用のヘリコプターが

4機、倉庫の陰から出て来た。

「なっ!?」

「お、おいおい……こりゃあやばいぞ」

驚きの声を上げる連と珍しく焦り気味のディールを見て、ルークが勝ち誇ったセリフを一言。

「はっははは! 俺等VSSEを甘く見るなよ!!」

一気に自分達が不利になったと確信し、淳はエルヴェダーとアサドールに指示を出す。

「仕方無い、戻ってくれ!!」

『勿論だ!』

『あいよ!』


元のドラゴンの姿に戻った2匹はすぐに5人の人間を背中に乗せる……筈だったが。

「うおっ!?」

エルヴェダーの背中に淳が、アサドールの背中に連が乗ったまでは良かったが

残りの3人が乗ろうとした時にヘリコプターから威嚇射撃をされてしまった。

『くそっ、これじゃあまだ駄目だな。俺様達にあいつ等は任せろ』

『その2人はそっちに任せるぞ』

2匹のドラゴンと2人はそれぞれヘリコプターに向かって行き、3人は3人で面識の無い

エージェントの相手をしなければいけなくなった様である。


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