Rescue request of a dragon第10話


そして置いて行かれた寄せ集めサーティンデビルズとVSSEの2人と西山だったが、

ロバートが隣で縛られている西山の口元が緩んでいるのに気がついた。

「……どうした?」

「あんた等のアドバイス通りにしておいた」

「ああ、そうか」

その一言だけで西山の逆隣で縛られているキースは何かを確信したらしく、寄せ集め

サーティンデビルズの5人が話し合いをしているのを見ながら倉庫の外に耳を済ませる。


するとその時、倉庫の外から改造マフラーの音が聞こえて来た。

「ん? 何だ?」

「RBエンジンとそれから……JZエンジンか?」

最初にエンジン音に気がついた洋子と、その音だけでエンジンの形式を当てた岩村だったが

エンジン音の主は何と倉庫の中に猛スピードで突っ込んで来た!!

「うおっ!?」

「おわぁ!?」

飛び込んで来たのは白のJZX90マークKと茶色のR32スカイライン。そのマークKの中からは

小柄な男と木刀を持った3色の髪の色が特徴的な男。それからスカイラインから出て来たのは

あの時名古屋港の倉庫で見かけた緑髪の男と水色の髪の男だった。


まずスカイラインから出て来た男2人と木刀の男が寄せ集めサーティンデビルズに襲い掛かって行き、

その間に小柄な男がVSSEの2人と西山の鎖を手早く解く。

「大丈夫か!?」

「ああ何とか。それにしても良くここが分かったな」

「西山のGPSを頼りにしていたからな」

そう言いながら男は鎖を解き終わり、VSSEの2人と西山と共に残りの3人に加勢する。

「御前等、よくもやってくれたなぁ!?」

「絶対に5人全員逃がすなよ」


アメリカでも最強と名高いネイビーシールズの元隊員であるロバート、それからイギリス最強と言われる

特殊部隊SASの元隊員であるキース、元刑事の西山が解放された事で一気に倉庫の中は

バトルゾーンと化した。

「くっそ、増援か!!」

栗山が5人の中では1番強く、VSSEのキースと水色髪の男を担当する事に。洋子は小柄な男に

向かって行き、それから博人と大塚でロバートを潰しに掛かる。残った岩村は緑髪の男と木刀の男と

西山との3対1になった。


しかしながら、異世界での死闘を散々潜り抜けて来た猛者達でも数には勝てなかった。

まずは岩村が3vs1と言う数の利点を駆使されて連係プレイで敗北を食らう。それから洋子は小柄な

男を追い詰めていたものの岩村を倒した3人に加勢されて4vs1となり制圧。

大塚と博人はなかなか良い勝負を繰り広げていたが、これもまた加勢に来た彼等の仲間に

一気に畳み掛けられ、最後に残った栗山も7vs1では勝ち目が無く寄せ集めサーティンデビルズが

今度は逆に倉庫の柱にがっちりと縛り付けられてしまう羽目になってしまった。

「さぁーて、お楽しみの尋問タイムと行こうか?」

ロバートが物凄く楽しそうな口調で5人に詰め寄る。


だがそのロバートでは無く、乱入して来た4人の内の2人の顔に洋子は見覚えがあった。

「あれ? あなた達はD3のザ・ルークとザ・ビショップじゃない?」

その疑問に木刀の男の顔つきが変わる。

「ほう……俺等の事を知っているのか?」

「うん。それからもし間違ってたら申し訳無いけど、そっちの「J」って青い文字で描いてある茶色の

スカイラインのドライバーはまさか、伝説のコーナリングで語り継がれている名古屋の「J」……?」

「その名前で呼ばれるのも久々だな」

水色髪の男も感心した様に洋子の疑問に答えた。


それを横で聞いていた博人が今度は口を出して来る。

「そう言えば聞いた事があるな。後、名古屋にはもう1台オレンジのダッジバイパーが居るって

話だったけど……まさかとは思うけど、あのオレンジのスカイラインが今の……」

「そのまさかだよ、真夜中の銀狼」

「だったらあなたが、名古屋のボスの1人「炎のドラゴン」ね」

名古屋港で見かけたあのR33スカイラインのドライバーである緑髪の男の噂を、遠く離れた

東京の首都高速でも博人と洋子は聞いていた。

「御前達、知り合い……では無さそうだがそれなりに有名らしいな?」

そのやり取りを見ていたキースが疑問をぶつける。


それに答えたのは西山だった。

「ああ、最初にキースから電話が掛かって来た時に言っていた噂程度の奴って言うのが、この

5人の内の2人って訳さ。だけど……どうもVSSEもこの5人と初対面って訳じゃ無さそうだな。

俺等の事を話しても良いから、じっくりとそっちも話して貰うとするか」

「いや、俺達から全てを話すとしよう」

キースのそのセリフで、わざわざ名古屋からやって来た5人は品川の倉庫でVSSEと

寄せ集めサーティンデビルズと他のメンバーを含めたあの35人との繋がりを聞かされた。


「さて……それじゃあ俺達からも質問がある。他のメンバーは何処へ行った?」

話し終わったキースが、右手をホルスターに収まっている愛用のHK45ハンドガンの

グリップに手をかけながら尋問する。だけどこんな尋問で簡単に喋る5人では無かった。

「知らねぇ。それに知ってても御前等に俺達は教えねぇ」

目を合わせないまま博人がそう呟くと、やれやれと言った感じでキースは首を横に振る。

「どうやら尋問はここでしない方が良さそうだ」


そう言ってロバートに目配せをし、頷いたロバートは懐からクロロホルムと布を取り出す。

「さぁ、少しおねんねだ」

「はっ!?」

驚きの声を上げる大塚だったが、それに構わずにキースも同じ様に布を受け取って

5人全員が眠らされた。

「俺達はこれからこの5人をヨーロッパにあるVSSEの本部へと連れて行く。

そこでなんだが……御前達にもついて来て貰いたいんだ。そいつ等の見張りとして」

「え、ほんとに?」


と言う訳で機体の底面に天使のイラストが描かれているVSSEの輸送ヘリ……2人が

乗って来て近くに着陸させたそのヘリに眠らされた5人と名古屋の5人とVSSEの2人の

総勢12人が乗り込んで上昇して行く。その中で中村が感心した様に呟いた。

「しっかし良くやったな。西山からメールが来た時は何事かと思ったけど」

「保険掛けておいて正解だったぜ」

あの倉庫のバトルで突然マークKとスカイラインが現れた理由は、バックアップとして葉山、

宮島、中村、星沢に西山がメールを新幹線の中で送っておいたのだった。


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