Resistance to the False Accusation第9話
あの書類をシェオルが見つけ出して4日後。ガラムとシェオルの
2人は北では無く南にあるナーブバックスの森へと入り、そこを通る
小さな川を渡ってまだ南へと進む。そして西から南にかけて
広がっている王国唯一の山脈、タリザ山脈に入って行くのだ。
何故この2人がアーエリヴァに向かわず、こちらのタリザ山脈迄
来たのかと言う事には当然理由があっての事。
それと言うのも、あの書類に書かれていた事が原因なのである。
あの書類に書かれていた事は衝撃的な事実の羅列であった。
それは王国の内部事情を表していた物なのだが、それが
こうしてシェオルの手に渡り、それによって疑いが自分にも
向けられると踏んだガラムは、自分達で証拠を押さえようと
タリザ山脈へと向かっているのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「あいつ等、本当に来るんですかね?」
「来て貰わなければこっちが困るさ。そうしなければこの計画が
全て台無しだ。だから俺達はここに居る」
自分達がこの山脈を登っているのはとある人物達を引きつける為、
そして証拠を得る為だ。
そのまま山脈を登っていると、後ろからザワザワと誰かの話し声が聞こえて来た。
「……!」
その声に気がついたガラムがシェオルに声をかけ、2人は岩場の陰に隠れて
様子を見る事に。引きつけた奴等なのかも知れないと言う事を考え、
注意深く気配を消して観察する。
だが次の瞬間、ガラムとシェオルは思わぬ事態に目を見開く事になる。
「えっ……な、何で……!?」
シェオルが声を上げるのも無理は無い。森の方から登って来た人影は
4人。そしてその内2人は知っている顔であった。
「ジェラルド団長にピエール副団長! 何故だ……!?」
まさか奴等も引き寄せる筈の奴等の仲間なのかと考えていた矢先、
シェオルが岩場の陰に落ちていた小枝を踏んづけてしまう。
パキンと何かが折れる音に気がついたクレガーが、その音が
聞こえて来た方向に方向に目を向ける。
「何か、今音が聞こえませんでした?」
「ああ、確かに」
ヴェンラトースもそれに気が付いており、2人は一旦その岩場を見に行く事に。
するとその瞬間、2人の人間が飛び出して山の上に向かって走って行く。
「ま、待て!」
当然その2人を4人は追いかける。
そして追いかける途中でピエールから衝撃の言葉が。
「あの2人はもしかして、ガラムとシェオルでは無いでしょうか?」
「えっ?」
「王城で何度かお見かけした事があります。勿論後姿もね。
背格好はそっくりだし、騎士団の服装を片方はしている」
そのピエールの言葉に、4人は更にペースを上げた。
森から先は馬では通れないのでこうして徒歩で来た結果、
ターゲットとなる2人を発見する事が出来た。ここで絶対に逃がす
訳には行かないと4人は心に決め、その2人を追いかけて行く。
全てはこの王国に災厄をもたらす物を排除する為に。
Resistance to the False Accusation第10話へ