Resistance to the False Accusation第10話
「待てっ!!」
ヴェンラトースとピエールは水色の髪の男を追い、クレガーと
ジェラルドは青色の髪の男を追いかける。と言っても1本道の為に追いつくのは
容易かったが、2人はそれぞれの武器を構えて抵抗を始める。
「ガラム・シャレーフォンだな?」
「そうだ」
数日前にも出会ったばっかりだが、形式上一応名前を確認してみるとあっさりと肯定の返事が返って来た、
「抵抗するのであれば容赦はしないぞ」
「ならやってみるが良い」
そのまま双剣を持って向かって来るガラムに、ヴェンラトースもハルバードを抜く。
ピエールは狭いこの山道では加勢は逆に足手まといになると、離れて様子をうかがう事に。
ガラムの腕は決して悪くは無い。しかしヴェンラトースもハルバードを巧みに
操り、次第にガラムを追い詰めて行く。
(く、くそっ!)
このままではまずいと思ったガラムは、ロングソードでハルバードを
受け止めて下へと押しやりヴェンラトースがバランスを崩した所に蹴りを放つ。
その蹴りはヴェンラトースの喉を直撃した。
「うごおっ! がはっ!!」
まさかの衝撃に悶え苦しむヴェンラトースであったが、それを横目に
ピエールが大剣を抜き放つ。そして大剣とは思えない程の早業の
コンビネーションを見せ付け、ガラムの2本の剣を吹き飛ばし
ガラムの喉元にその大剣を突きつけた。
「う……あ……」
岩壁に追い詰められた事もあり、ガラムはここでギブアップ。
「大丈夫か、ヴェンラトース?」
「ええ、何とか」
「どうやら、向こうも決着がついた様ですよ」
ヴェンラトースを心配するピエールが上の方に目を向けると、
そこにはガラムの弟子のシェオルがクレガーとジェラルドに槍と
大斧を突きつけられているのが見えたのであった。
「さて、それではこの王国において一体何が起こっているのかを
話して頂きましょうか? ガラム」
ピエールがそう問いかけると、ガラムはあの書類を懐から取り出した。
書類を見た騎士団の4人は驚きの声を上げる。そこには
騎士団の中に麻薬組織と繋がっている者が居ると言う情報が
細かく記載されていたからだ。
そうして、ガラムは全ての事情を話し始めた。
「全てその書類に書いてある通りだよ。だから俺達はまず北へ向かったと
見せかけて、この書類をシェオルが拾ったトイレにメモを残して来た。
この書類を返して欲しければ、南のタリザ山脈まで来いと。
そして、この山脈でそいつ等と話して証拠を出来るだけ集めるつもりだった。
勿論実力行使も辞さない考えだったけどな。俺だけでは無くシェオルも
はめられた様なもんさ」
「流石にそれは無茶だろう。しかもこれがあるなら俺達に教えてくれれば良かったのに」
それを聞いたヴェンラトースは、ため息を吐きながらガラムに向かってそう言った。
しかしガラムは首を横に振る。
「それは出来なかった。もし御前達が組織と繋がっているのであれば、
教えたその時点で殺されるかもしれないと思ったからだ。国王に話す為に
謁見の予定を取っても、その謁見に行く前に御前達に殺される
可能性もあったから、可能な限りの証拠を集めてほとぼりが冷めた頃に
アーエリヴァへ出向いて、そこで真相を全てぶちまけるつもりだったんだ」
そして、今度はシェオルが口を開く。
「……本当に4人は繋がっていないと判断して宜しいのですね?」
「勿論だ。王からの直々の命令だからな」
その言葉にジェラルドが力強く答える。それを聞いて今度はピエールが口を開いた。
「では、この書類に書いてある通りの連中が登って来るのを上にあるとされるアジトで
待つとしますか。こうして私達もここ迄追って来たのですから、同じく来る筈です」
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