Resistance to the False Accusation第11話
とは言ってもただ待つだけでは無く、作戦を練って行動する。
どうやらこの書類に書いてある内容によれば、今自分達が居るこの山道を
上って行ったその先には古びた廃墟となっているそれなりに大きな家があり、
そこで麻薬の製造が行われているらしいのだ。
なのでその書類を信じて上って行くと、確かに頂上の開けた場所にそれなりに
大きな廃墟となっている神殿? の様な場所があった。
「ここが奴等のアジトか」
「家って言うより廃墟だな。何だか遺跡みたいだけど」
「良し、中に入ってみるぞ」
「何が起こるか分からん、充分に気をつけるんだ」
ジェラードがそう忠告し、各自がそれぞれ武器を持って中へと用心深く入り込む。
この場所はそれなりに広そうなので、とりあえず手分けして捜索してみる事に。
「俺達は3人でこっちに回る」
「分かりました」
クレガー、ヴェンラトース、ガラムのチームとジェラード、ピエール、シェオルのチームに分かれて
何か証拠になりそうな物が無いかを探してみる事に。
どうやらこの廃墟は2階部分まである様なので、まず騎士団長チームは1階を捜索開始、
「埃っぽいな」
「ええ……それにしても妙ですね、この薬草の量は……」
だが、そう呟いたピエールの横でシェオルがある事に気がついた。
「あれ、これって……」
「どうした?」
「いや、この薬草って……不良品の薬草なんですよ」
「え?」
「不良品だと?」
目を丸くするピエールと、訝しげに問い掛けるジェラードにシェオルは頷く。
「ええ。たまに薬草の中に不良品が混じる事があって。城の方からはとりあえず纏めて
持って来てくれれば、後はこっちで検品しておくって言われてるので」
その発言は2階に居る残りの3人の内、ガラムも同じ事を言っていた。
「つまり、検品はあなたがやっていた訳じゃないんですか?」
「そうだ。俺は検品はしていない。騎士団からは単純に収穫出来る分は不良品問わずに
全て買い取るって言われてたからな。1度検品してから出した事もあったんだがその時は
何故全て持ってこないんだと文句を言われた。その時からキナ臭い香りがしていたんだが、
もしかしたらこの不良品の山は……」
「間違い無いだろう」
3人とも何となく予想がついた。不良品として捨てられる筈の分をリサイクルして、こうして
ここで麻薬に製造していたと言う事になりそうだ。
「と言う事はやはり、騎士団が関わっていると見て十中八九間違いは無さそうだ」
ジェラードが顎に手をかけて考え込む。
「ここにはそれなりの設備もありましたからね。薬草から麻薬を作る為に火薬を使わないといけませんから
至る所に火薬の粉末が入った袋が山程積まれています」
「だったらここが本拠地として間違い無いだろう。証拠となりそうな物を持てるだけ持っていこう。それと
王城へ援軍を要請したい所だが騎士団に内通者が居るとなれば迂闊に口外は出来ない。
この6人だけで何とかするしかあるまい」
ひとまず、ここが麻薬工場であると言う確証は掴んだ6人だったが……信頼出来る人間が今の所
王のエルシュリーと宰相のレラヴィンだけだ。
「まずいな……このままじゃあ応援も呼べやしない。ひとまず誰かがこの中から王城に戻って、そこで
王と宰相に報告するべきかと思います」
「そうだな、今の所それしかあるまい」
クレガーの提案に渋い顔で答えたピエールだったが、次の瞬間思いもよらない来訪者が6人の元に現れた。
バサバサと言う鳥の羽の音が聞こえて来たかと思うと、何処からか飛んで来た茶色の鷹が
6人の元にやって来た。
「えっ?」
「な、何だこの鷹?」
戸惑うシェオルとガラムだが、その鷹にジェラードとヴェンラトースは見覚えがあった。
「これ、もしかして陛下の鷹じゃあ?」
「そう……ですね。あれ、何か手紙がついてる?」
鷹の足には丸められた小さな紙の束がくくりつけられており、その内容が6人にとって
救世主となるのであった。
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