Resistance to the False Accusation第2話


オレデヴァール・ハークヴァール。ヘルヴァナール世界地図の南東に位置する地域であり、

縦に長いのが特徴的。オレデヴァールとハークヴァールと言う2つの神が創ったとされている。

その為、2つの神の名前を繋げて名前が付けられた。

隣の雨の日が多いハーエリソンとは違って、1年の内半分以上が温暖な気候で、

雨が降ると蒸しやすくなりやすいのが特徴。

王国の半分以上を自然が占めているのが特徴で、人間が住める地域は限られている。


そしてそこを統治するのはヴィーンラディ王国。元々は別の地域から移り住んで来た人物達が

建国したとされている王国で、現在まで約1000年以上の歴史がある。自然が多いと魔物も多く、

騎士団は日々魔物の討伐に駆り出されている。王都近くには幾つかの村が存在しているが

それ等よりは圧倒的に王都に住んでいる人間の方が多い。

隣国の1つである、広い領土を持つアーエリヴァ帝国とは友好的な関係であるが、最近になって

その帝国の方から衝撃的な事実がヴィーンラディにもたらされる事に。


「麻薬だと……?」

「その様です、陛下」

ヴィーンラディ王国の現国王であるエルシュリー・ディルトルートと、王国宰相の

レラヴィン・ラノバートは隣国アーエリヴァからの親書を見て深刻な表情になっていた。

「これは一大事だな。もし本当にこのヴィーンラディから麻薬が出ているとなれば、

その出している場所を突き止めなければならない」

「はい。麻薬組織が動いていると言う事ですからね。しかし大事にすれば組織に

ばれてしまう可能性もあります。そこで、内密に騎士団に調査部隊を設置しましょう」

「そうだな。ではレラヴィン、頼むぞ」

「お任せ下さい、陛下」


そしてこの事件を担当する事になったのは騎士団であるのだが、

まずは騎士団長のジェラルド・シュエリヴォルにエルシュリーから事件の連絡が行く。

それからこの事件を担当する騎士を選ぶ訳なのだが、団長のジェラルドとその

副官でもあり副騎士団長でもあるピエール・プレデバーグは、あの2人に担当して貰う事にした。

その2人とは配下の兵士に呼びに行かせた、この国の警備隊のトップとナンバー2である。

エルシュリーの執務室に通されたその2人は、主君の前に片膝をついて頭を垂れる。

「御呼びでしょうか、陛下」

「ああ。御前達を呼んだのには理由がある。とりあえず話は長くなるから座って話す事にしよう」

そう言われて、執務室の陛下が座るデスクの前にセッティングされた応接セットの片方のソファに

2人並んでクレガーとヴェンラトースが座った。


エルシュリーは隣国アーエリヴァからの親書の内容を話し、その内容について

2人に調査をする様に王命を下したのである。

「俺達がですか?」

「そうだ。それで、この麻薬事件の裏に居る黒幕を突き止めろ。既にジェラードとピエールにも話してある」

その時、丁度良いタイミングでその2人も入って来た。

「失礼致します、陛下」

「おお、来てたのか」

クレガーとヴェンラトースの姿を見たジェラードが2人に気が付いて声を上げた。

「はっ。今丁度陛下から調査の任を承った所です」

「そうか。なら話は早いな。陛下、後は私達だけでお話したいのですが宜しいでしょうか?」

「わかった。任せるぞ」


エルシュリーの執務室を出た4人は、今度はジェラードの執務室へ向かう。

「中に入ってくれ」

執務室へと通され、椅子に座らされる2人。

「大体概要は陛下から聞いているとは思うが、もう1度整理しよう」

事件はまず、アーエリヴァからの親書が送られて来た事から発覚した物であった。

幻覚作用をもたらし、結果として異常な行動を取らせてしまう様になってしまう

麻薬が、ヴィーンラディの方から流通して来ていると言うのだ。

当然アーエリヴァには捜査権が無い為に、流通元とされるヴィーンラディによる

調査をする様に命じる文章も書かれていた。

「そこで、この麻薬にはどう言った人物や組織が関わっているのかと言う事を

クレガーとヴェンラトースの御前達2人が中心となって捜査をするのだ」

「もちろん、私達も協力は惜しみませんよ」

副騎士団長のピエールも頼もしい言葉を投げかけてくれ、この事件を2人は引き受ける事にしたのである。


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